【完結】旦那様、溺愛するのは程々にお願いします♥️仮面の令嬢が辺境伯に嫁いで、幸せになるまで

春野オカリナ

文字の大きさ
36 / 61

疑惑

しおりを挟む
 私は、夫を愛した事は無かった。恋慕う気持ちより、ただ国王として接していた。

 それなりに関係は良かったと思う。二年後に王女が誕生した頃は、お互いに政務が忙しかった。

 だから淋しい等と言う感情は持っていなかった。

 でも彼は違っていた。私に愛を求めた。恋もしたこともなく婚約者もいなかった私には、男女の愛は到底理解する事ができなかった。

 彼は、とても淋しい人だった。その思いを紛らわす様に多くの女を求めた。

 『蛙の子は蛙』

 と宮廷雀達は噂した。先王は、無類の女好きで浪費癖が酷かった。そのお蔭で財政が乏しくなった。

 私に王太子妃の話が来たのもそのせいだ。

 なのに、今度は夫が同じ鉄を踏もうとした。

 折角、国が安定し始め、民が彼を次代の賢王と崇め始めた時に、全ての努力が水の泡となる。後の世に愚王と歴史に名を残す事になると私は彼を諫めた。

 彼は私が女達に嫉妬したとして、責め立てた。不意に身体を押された私は転倒した。

 この時私は懐妊していた。だが、四人目の子供は生まれず程なく流産した。そして、医師から二度と子供を生むことは出来ない事を告げられた。

 だが、もう別にどうでも良かった、既に三人の子供達がいるから、この先夫の子供等、生みたくも無かったし、必要も無かった。

 私は、どれ程政務に追われても子供達との交流は保つように努めた。

 私は、恐れていた夫の愛人が自分の子供達を害するのではと、予感は的中した。

 公務で一週間程、地方へ慰問に出掛けた時、嫡子が毒を盛られた。

 その場にいたメイドの対応で大事には至らなかった。だが、この頃から不穏な気配が後宮に合ったのに私は、見過ごしていた。

 私は、王宮の東側に【秘密の花園】を作り、子供達を隠した。

 その手助けをしてくれたのが、先々代辺境伯のエドワード・ブラックボンドだ。この頃は、まだ子爵だった。

 彼は、黒い艶やかな髪にルビーの瞳をした。端麗な顔立ちの優男だった。 

 だから、皆その容姿に騙される狡猾で容赦ない彼は、欲しいものは必ず手に入れた。

 彼は、愛妻家で妻以外の女を持たなかった。妻であるサリアは子爵家の娘で婚約が決まりそうになると、横槍を入れ奪い取った。

 その手口は、巧妙だった。婚約予定者に次々と別の女を紹介と云うより、偶然を装い接触させた。美人局紛いな事を平気でやってのけた。

 サリアを害した令嬢は、修道院に入ったり、年老いた男の元に嫁いだりして、排除した。酷い時は、破滅させた。

 だが、唯一私を理解し、支え続けた男でもある。

 嫡子が3歳の誕生日、先王の子供が池に落ちて死んだ。

 その日から、皆が私を見る目が変わったまるで私が殺ったように冷たい目で見ていた。

 数人の側近以外は、私の仕業だと噂が流れた。

 その後も次々と彼の子と王の子が死んでいった。彼も私が犯人だと言わんばかりだった。

 エドワードだけは

 「何処にそんな必要があるのだろう」

 と吹聴して回った。その通りだ。王太子妃の嫡子がいるのにどれ程、彼の子がいようとも次代を担う王太子には選ばれない。何故なら、王太子妃は実質的な権力を握っているのだから、小細工等必要が無かった。

 最早、王太子との確執は修復不可能になった。

 そんな時、王が崩御し、夫は即位した。
私は王妃となり、『ビクトリア女王』の尊称を与えられた。

 そして、事件は起きた。
 
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

女性執事は公爵に一夜の思い出を希う

石里 唯
恋愛
ある日の深夜、フォンド公爵家で女性でありながら執事を務めるアマリーは、涙を堪えながら10年以上暮らした屋敷から出ていこうとしていた。 けれども、たどり着いた出口には立ち塞がるように佇む人影があった。 それは、アマリーが逃げ出したかった相手、フォンド公爵リチャードその人だった。 本編4話、結婚式編10話です。

唯一の味方だった婚約者に裏切られ失意の底で顔も知らぬ相手に身を任せた結果溺愛されました

ララ
恋愛
侯爵家の嫡女として生まれた私は恵まれていた。優しい両親や信頼できる使用人、領民たちに囲まれて。 けれどその幸せは唐突に終わる。 両親が死んでから何もかもが変わってしまった。 叔父を名乗る家族に騙され、奪われた。 今では使用人以下の生活を強いられている。そんな中で唯一の味方だった婚約者にまで裏切られる。 どうして?ーーどうしてこんなことに‥‥?? もう嫌ーー

束縛婚

水無瀬雨音
恋愛
幼なじみの優しい伯爵子息、ウィルフレッドと婚約している男爵令嬢ベルティーユは、結婚を控え幸せだった。ところが社交界デビューの日、ウィルフレッドをライバル視している辺境伯のオースティンに出会う。翌日ベルティーユの屋敷を訪れたオースティンは、彼女を手に入れようと画策し……。 清白妙様、砂月美乃様の「最愛アンソロ」に参加しています。

完結(R18 詰んだ。2番目の夫を迎えたら、資金0で放り出されました。

にじくす まさしよ
恋愛
R18。合わないと思われた方はバックお願いします  結婚して3年。「子供はまだいいよね」と、夫と仲睦まじく暮らしていた。  ふたり以上の夫を持つこの国で、「愛する夫だけがいい」と、ふたり目以降の夫を持たなかった主人公。そんなある日、夫から外聞が悪いから新たな夫を迎えるよう説得され、父たちの命もあり、渋々二度目の結婚をすることに。  その3ヶ月後、一番目の夫からいきなり離婚を突きつけられ、着の身着のまま家を出された。  これは、愛する夫から裏切られ、幾ばくかの慰謝料もなく持参金も返してもらえなかった無一文ポジティブ主人公の、自由で気ままな物語。 俯瞰視点あり。 仕返しあり。シリアスはありますがヒロインが切り替えが早く前向きなので、あまり落ち込まないかと。ハッピーエンド。

【完結】 初恋を終わらせたら、何故か攫われて溺愛されました

紬あおい
恋愛
姉の恋人に片思いをして10年目。 突然の婚約発表で、自分だけが知らなかった事実を突き付けられたサラーシュ。 悲しむ間もなく攫われて、溺愛されるお話。

聖女でしたが国に使い捨てされたので、代わりに魔王にざまぁしてもらいました。

柿崎まつる
恋愛
癒しの聖女として国に仕えるエルヴィーラ。死ぬまで搾取された彼女が次に目を覚ましたのは敵であるはずの魔王の居城だった。ドアマット聖女が超絶美形の魔王に溺愛されて幸せになる話。気持ちちょろっとグロあります。苦手な方は閲覧にご注意ください。ムーンライトノベルズにも掲載しています。

【完結】 表情筋が死んでるあなたが私を溺愛する

紬あおい
恋愛
第一印象は、無口で無表情な石像。 そんなあなたが私に見せる姿は溺愛。 孤独な辺境伯と、一見何不自由なく暮らしてきた令嬢。 そんな二人の破茶滅茶な婚約から幸せになるまでのお話。 そして、孤独な辺境伯にそっと寄り添ってきたのは、小さな妖精だった。

貴方の✕✕、やめます

戒月冷音
恋愛
私は貴方の傍に居る為、沢山努力した。 貴方が家に帰ってこなくても、私は帰ってきた時の為、色々準備した。 ・・・・・・・・ しかし、ある事をきっかけに全てが必要なくなった。 それなら私は…

処理中です...