【完結】旦那様、溺愛するのは程々にお願いします♥️仮面の令嬢が辺境伯に嫁いで、幸せになるまで

春野オカリナ

文字の大きさ
47 / 61

願い事は…

しおりを挟む
 俺は、祖父譲りのこの顔が嫌いだった。この顔のせいで女難が続いた。

 勝手にすり寄って来て「思っていたのと違う」「冷たい」「本当は男色なんじゃないの」と言われた。

 特別な人間はヴィオレットだけだ。その彼女が産んだ女の子

  『ジョゼフィーネ』

 ジョーを始めて王宮で見た時は、胸が高鳴った。今まで他の誰にも感じた事のない感情が溢れてきた。

 俺との年の差は10歳程だ。貴族社会では当たり前だ。

 彼女が5歳の時に俺は王宮魔導士としてヴィオレットから紹介された。

 彼女の髪は茶色だった。でも姿形をいくら変えても俺には【神眼】を使って本当の姿を見ることが出来た。

 その魂の美しさに奪われていた。こんなに心引かれたのは生まれて初めての事で、家庭教師として、ジョーに会う日は心踊った。

 ヴィオレットはあの日の約束通り、俺とジョーの仲を取り持つように計らってくれた。

 でもそんな時、王宮のお茶会に参加したヴィオレットが浮かない顔を見せた。

 「どうしたんだ、ヴィオレットそんな浮かない顔をして…」

 「…」

 「何が合ったんだ?」

 ヴィオレットの様子からただ事ではないと感じた俺は問い詰めた。

 「実は、ジョゼフィーネに第三王子との婚約の話が出て、実家のクリーク公爵家から打診をお断りしていたのだけれど…」

 「まさか、受けたのか!」

 「ええ、ビクトリア女王の命だと告げられたわ」

 「何だと!あのババア、ふざけやがって、ジョーは俺の唯一だ絶対に誰にも渡さない」

 「ま、待って。いくら貴方でも王命に逆らったら…」

 「ふん、その時はジョーを拐って一族毎、他国に行くよ。俺達を欲しがっている国は其処ら中にいるからな」

 俺は、頭に血が上り善悪の判断がつかないまま女王に会いに行った。

 「婆さん、やってくれたな。ジョーを第三王子と婚約させやがって、散々待たせた挙げ句、約束を反故にする気か?」

 「何の事だ。妾は何の命も出してはおらぬぞ?」

 「じゃあ、又あんたの実家が勝手に名前を使ったんだな!いい加減見棄てろよ。どれだけの犠牲を払わせれば、あんたはあの一族を見放すんだ。もう良いだろう?」

 「待て、もうしばらく泳がせねばならない」

 「もし、ジョーに何かしたら俺はこの国を棄てる。それだけは覚えておけよ。俺は爺さん見たいな優しさは持ち合わせていないからな」

 そう言って、女王の前から俺は消えた。

 その後もジョーの家庭教師として、彼女の周辺を気遣った。

 王子も彼女を大切にしていたから、余計な口を挟まなかった。

 (俺も爺さんと同じ道を歩むのか)

 そう考えていた。だが、5年の歳月が過ぎた頃、ヴィオレットは死んだ。それは余りにも突然過ぎる死だった。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

唯一の味方だった婚約者に裏切られ失意の底で顔も知らぬ相手に身を任せた結果溺愛されました

ララ
恋愛
侯爵家の嫡女として生まれた私は恵まれていた。優しい両親や信頼できる使用人、領民たちに囲まれて。 けれどその幸せは唐突に終わる。 両親が死んでから何もかもが変わってしまった。 叔父を名乗る家族に騙され、奪われた。 今では使用人以下の生活を強いられている。そんな中で唯一の味方だった婚約者にまで裏切られる。 どうして?ーーどうしてこんなことに‥‥?? もう嫌ーー

束縛婚

水無瀬雨音
恋愛
幼なじみの優しい伯爵子息、ウィルフレッドと婚約している男爵令嬢ベルティーユは、結婚を控え幸せだった。ところが社交界デビューの日、ウィルフレッドをライバル視している辺境伯のオースティンに出会う。翌日ベルティーユの屋敷を訪れたオースティンは、彼女を手に入れようと画策し……。 清白妙様、砂月美乃様の「最愛アンソロ」に参加しています。

【R18】愛され総受け女王は、20歳の誕生日に夫である美麗な年下国王に甘く淫らにお祝いされる

奏音 美都
恋愛
シャルール公国のプリンセス、アンジェリーナの公務の際に出会い、恋に落ちたソノワール公爵であったルノー。 両親を船の沈没事故で失い、突如女王として戴冠することになった間も、彼女を支え続けた。 それから幾つもの困難を乗り越え、ルノーはアンジェリーナと婚姻を結び、単なる女王の夫、王配ではなく、自らも執政に取り組む国王として戴冠した。 夫婦となって初めて迎えるアンジェリーナの誕生日。ルノーは彼女を喜ばせようと、画策する。

恋は、やさしく

美凪ましろ
恋愛
失恋したばかりの彼女はひょんなことから新橋の街中で上司にお姫様抱っこされ……!? ――俺様な美形上司と彼女とのじんわりとした恋物語。 性描写の入る章には*マークをつけています。

鉄壁騎士様は奥様が好きすぎる~彼の素顔は元聖女候補のガチファンでした~

二階堂まや♡電書「騎士団長との~」発売中
恋愛
令嬢エミリアは、王太子の花嫁選び━━通称聖女選びに敗れた後、家族の勧めにより王立騎士団長ヴァルタと結婚することとなる。しかし、エミリアは無愛想でどこか冷たい彼のことが苦手であった。結婚後の初夜も呆気なく終わってしまう。 ヴァルタは仕事面では優秀であるものの、縁談を断り続けていたが故、陰で''鉄壁''と呼ばれ女嫌いとすら噂されていた。 しかし彼は、戦争の最中エミリアに助けられており、再会すべく彼女を探していた不器用なただの追っかけだったのだ。内心気にかけていた存在である''彼''がヴァルタだと知り、エミリアは彼との再会を喜ぶ。 そして互いに想いが通じ合った二人は、''三度目''の夜を共にするのだった……。

貴方の✕✕、やめます

戒月冷音
恋愛
私は貴方の傍に居る為、沢山努力した。 貴方が家に帰ってこなくても、私は帰ってきた時の為、色々準備した。 ・・・・・・・・ しかし、ある事をきっかけに全てが必要なくなった。 それなら私は…

第3皇子は妃よりも騎士団長の妹の私を溺愛している 【完結】

日下奈緒
恋愛
王家に仕える騎士の妹・リリアーナは、冷徹と噂される第3皇子アシュレイに密かに想いを寄せていた。戦の前夜、命を懸けた一戦を前に、彼のもとを訪ね純潔を捧げる。勝利の凱旋後も、皇子は毎夜彼女を呼び続け、やがてリリアーナは身籠る。正妃に拒まれていた皇子は離縁を決意し、すべてを捨ててリリアーナを正式な妃として迎える——これは、禁じられた愛が真実の絆へと変わる、激甘ロマンス。

女性執事は公爵に一夜の思い出を希う

石里 唯
恋愛
ある日の深夜、フォンド公爵家で女性でありながら執事を務めるアマリーは、涙を堪えながら10年以上暮らした屋敷から出ていこうとしていた。 けれども、たどり着いた出口には立ち塞がるように佇む人影があった。 それは、アマリーが逃げ出したかった相手、フォンド公爵リチャードその人だった。 本編4話、結婚式編10話です。

処理中です...