【完結】旦那様、溺愛するのは程々にお願いします♥️仮面の令嬢が辺境伯に嫁いで、幸せになるまで

春野オカリナ

文字の大きさ
48 / 61

彼女が残したもの

しおりを挟む
 あの日、ジョゼフィーネは学園の行事で、郊外の商業都市として栄えていたマルクル伯爵領に見学会に参加していて留守だった。

 彼女が帰宅するとヴィオレットが部屋で倒れていた。

 直ぐに医師の診断を受けたが助からなかった。

 診断は表向きは風邪を拗らせた肺炎だったが、本当はウィストン・ダンドーラに使われた同じ毒を飲まされていた。

 普段の彼女なら気付いただろう。でも、彼女はこの時、体調を崩していた。正確には妊娠していたのだ。

 だから薬には気を付けていたはずだ。

 不明な点は幾つもあるが、彼女はその日ある人物と会っていた。

 その人物が彼女に毒を飲ませた。

 「これ、何か分かる?」

 俺は、ジョーに無造作に聞いて見た。彼女は首を横に振った。

 「ヴィオレットから依頼された不妊の治療薬だよ」

 透明なガラスの液体を左右に振りながら俺はダンドーラ侯爵の方をチラリと見た。

 彼も予想していなかっただろう。ヴィオレットが望んだ事を

 「この薬は、もう完成していてダンドーラ侯爵にヴィオレットが密かに飲ませていた。酒に混ぜてね。酒に混ぜると媚薬的な効果も得られるし、男が飲むと精が濃くなる。女が飲むと妊娠しやすくなる」

 「何故、ヴィオレットがこれを…まさか…」

 「そうだよ。ダンドーラ侯爵、貴方の為に開発された薬だよ。俺の一族の専門家が作った物だよ。折り紙つきさ。効果は合ったよ。彼女は妊娠していた」

 「何だと、じゃあ死んだ時には俺の子を宿していたのか?」

 「ああ、俺も彼女の検死に立ち合った。ジョーの弟か妹を妊娠したいた。あの頃は貴方は種がないと思われていたからね。だからあの女は、相手がロバート・アンサンブル侯爵だと思ったんだ。だからあの日、この薬を彼女に飲ませた。これは東方の植物から取れる幻覚作用も引き起こす薬だよ」

 俺は、別の小瓶を見せた。その液体は、振ると色が変色した。

 「これって、ウィストンが飲まされた物か?」

 「そうとも言えるし、違うとも言える」

 「どういう事じゃ?アン」

 「婆さん、アンって呼ぶのを止めろ。子供みたいな嫌がらせするなよな」

 俺が拗ねたような仕草をすると、ジョーが頭を撫でた。

ーーーくそっ、皆して俺をガキ扱いしやがって

 「ジョー、後でたっぷりお仕置きしてあげるよ。二人きりでね。昼まで起きれないかも知れないね」

 俺はジョーの耳元で甘く囁いた。ジョーは見る見る内に真っ赤になった。

 その様子に俺は、誰もいなかったら押し倒していたかも知れない。自分の言った通り彼女を可愛いがって、一晩中貪り尽くしただろう。それは絶対間違いない。自信を持って云える。

 そんな彼女の一房の髪を手に取ると口付けをした。真っ赤な顔をして恥ずかしそうにしている彼女に、少しは意趣返しが出来た事を確認して、話の続きを促された。

 ーーーもう少し、可愛いジョーを堪能したかったのに…

 ため息を付きながら、話を続けた。


 
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

唯一の味方だった婚約者に裏切られ失意の底で顔も知らぬ相手に身を任せた結果溺愛されました

ララ
恋愛
侯爵家の嫡女として生まれた私は恵まれていた。優しい両親や信頼できる使用人、領民たちに囲まれて。 けれどその幸せは唐突に終わる。 両親が死んでから何もかもが変わってしまった。 叔父を名乗る家族に騙され、奪われた。 今では使用人以下の生活を強いられている。そんな中で唯一の味方だった婚約者にまで裏切られる。 どうして?ーーどうしてこんなことに‥‥?? もう嫌ーー

束縛婚

水無瀬雨音
恋愛
幼なじみの優しい伯爵子息、ウィルフレッドと婚約している男爵令嬢ベルティーユは、結婚を控え幸せだった。ところが社交界デビューの日、ウィルフレッドをライバル視している辺境伯のオースティンに出会う。翌日ベルティーユの屋敷を訪れたオースティンは、彼女を手に入れようと画策し……。 清白妙様、砂月美乃様の「最愛アンソロ」に参加しています。

完結(R18 詰んだ。2番目の夫を迎えたら、資金0で放り出されました。

にじくす まさしよ
恋愛
R18。合わないと思われた方はバックお願いします  結婚して3年。「子供はまだいいよね」と、夫と仲睦まじく暮らしていた。  ふたり以上の夫を持つこの国で、「愛する夫だけがいい」と、ふたり目以降の夫を持たなかった主人公。そんなある日、夫から外聞が悪いから新たな夫を迎えるよう説得され、父たちの命もあり、渋々二度目の結婚をすることに。  その3ヶ月後、一番目の夫からいきなり離婚を突きつけられ、着の身着のまま家を出された。  これは、愛する夫から裏切られ、幾ばくかの慰謝料もなく持参金も返してもらえなかった無一文ポジティブ主人公の、自由で気ままな物語。 俯瞰視点あり。 仕返しあり。シリアスはありますがヒロインが切り替えが早く前向きなので、あまり落ち込まないかと。ハッピーエンド。

燻らせた想いは口付けで蕩かして~睦言は蜜毒のように甘く~

二階堂まや♡電書「騎士団長との~」発売中
恋愛
北西の国オルデランタの王妃アリーズは、国王ローデンヴェイクに愛されたいがために、本心を隠して日々を過ごしていた。 しかしある晩、情事の最中「猫かぶりはいい加減にしろ」と彼に言われてしまう。 夫に嫌われたくないが、自分に自信が持てないため涙するアリーズ。だがローデンヴェイクもまた、言いたいことを上手く伝えられないもどかしさを密かに抱えていた。 気持ちを伝え合った二人は、本音しか口にしない、隠し立てをしないという約束を交わし、身体を重ねるが……? 「こんな本性どこに隠してたんだか」 「構って欲しい人だったなんて、思いませんでしたわ」 さてさて、互いの本性を知った夫婦の行く末やいかに。 +ムーンライトノベルズにも掲載しております。

【完結】 表情筋が死んでるあなたが私を溺愛する

紬あおい
恋愛
第一印象は、無口で無表情な石像。 そんなあなたが私に見せる姿は溺愛。 孤独な辺境伯と、一見何不自由なく暮らしてきた令嬢。 そんな二人の破茶滅茶な婚約から幸せになるまでのお話。 そして、孤独な辺境伯にそっと寄り添ってきたのは、小さな妖精だった。

【完結】 初恋を終わらせたら、何故か攫われて溺愛されました

紬あおい
恋愛
姉の恋人に片思いをして10年目。 突然の婚約発表で、自分だけが知らなかった事実を突き付けられたサラーシュ。 悲しむ間もなく攫われて、溺愛されるお話。

【R18】愛され総受け女王は、20歳の誕生日に夫である美麗な年下国王に甘く淫らにお祝いされる

奏音 美都
恋愛
シャルール公国のプリンセス、アンジェリーナの公務の際に出会い、恋に落ちたソノワール公爵であったルノー。 両親を船の沈没事故で失い、突如女王として戴冠することになった間も、彼女を支え続けた。 それから幾つもの困難を乗り越え、ルノーはアンジェリーナと婚姻を結び、単なる女王の夫、王配ではなく、自らも執政に取り組む国王として戴冠した。 夫婦となって初めて迎えるアンジェリーナの誕生日。ルノーは彼女を喜ばせようと、画策する。

恋は、やさしく

美凪ましろ
恋愛
失恋したばかりの彼女はひょんなことから新橋の街中で上司にお姫様抱っこされ……!? ――俺様な美形上司と彼女とのじんわりとした恋物語。 性描写の入る章には*マークをつけています。

処理中です...