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迷路の中の瞑想
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取り敢えず落ち着いて私達は、ロッドの案内で出口迄行くことにした。
「ロッド、お前いつから居たんだ」
「えっ、ずっと後から付いて行っていましたが?」
まるで問題でもあるのかと言わんばかりに俺を揶揄っている。
質が悪い、俺の部下はこういう奴がゴロゴロいるのだ。
仕方がないせっかくエミュールが楽しそうにしているのだから、怒るのを止めよう。
「何だか、段々体が小さくなっている様にな、変な感覚…」
「ああ、この辺りから視覚で周りを大きく見えるように工夫しているんですよ」
「凄いな。時間もかかっただろう」
「まあ、この庭は趣味なんで」
「えっ、趣味何ですか?」
何処の世界に、主の屋敷の庭を趣味で勝手に、改造している奴がいるんだ。あ、ここにいたか。
もう俺は呆れを通り越していた。
道理で訳のわからない庭が至る所に出来ていると思った。
毎日、散歩している俺でも油断していると迷子になるんだからな。
俺を陥れようとしているとしか思えない。
「でも、素敵な迷路ね。まるで不思議の国に来ているみたい」
「…そ、そうですか」
何だか寂しそうに笑う声に抑揚が無いのは、かつてこの庭を愛して止まなかった俺の母親への思いがあったからかも知れない。
ロッドは王宮の俺の母親専属の庭師だった。
彼の作り上げる庭は芸術の域に達している。貴族のみならず国王ですら称賛した程だった。
王女が嫁ぐ時、彼を自分の我が儘で一緒に連れて来た。
何度も王宮から戻る様に催促されても彼は戻らず、今も愛でる主がいない庭を整えている。
何故なら彼は王女の魅了に取り付かれた一人だから、今も解けない呪縛から逃れられずに一人取り残されている。
それはこの屋敷の様だと俺は感じながら出口に向かった。
いつかこの屋敷も子供の声で賑やかになるかもしれない。そう願いながら先を急いだ。
「ロッド、お前いつから居たんだ」
「えっ、ずっと後から付いて行っていましたが?」
まるで問題でもあるのかと言わんばかりに俺を揶揄っている。
質が悪い、俺の部下はこういう奴がゴロゴロいるのだ。
仕方がないせっかくエミュールが楽しそうにしているのだから、怒るのを止めよう。
「何だか、段々体が小さくなっている様にな、変な感覚…」
「ああ、この辺りから視覚で周りを大きく見えるように工夫しているんですよ」
「凄いな。時間もかかっただろう」
「まあ、この庭は趣味なんで」
「えっ、趣味何ですか?」
何処の世界に、主の屋敷の庭を趣味で勝手に、改造している奴がいるんだ。あ、ここにいたか。
もう俺は呆れを通り越していた。
道理で訳のわからない庭が至る所に出来ていると思った。
毎日、散歩している俺でも油断していると迷子になるんだからな。
俺を陥れようとしているとしか思えない。
「でも、素敵な迷路ね。まるで不思議の国に来ているみたい」
「…そ、そうですか」
何だか寂しそうに笑う声に抑揚が無いのは、かつてこの庭を愛して止まなかった俺の母親への思いがあったからかも知れない。
ロッドは王宮の俺の母親専属の庭師だった。
彼の作り上げる庭は芸術の域に達している。貴族のみならず国王ですら称賛した程だった。
王女が嫁ぐ時、彼を自分の我が儘で一緒に連れて来た。
何度も王宮から戻る様に催促されても彼は戻らず、今も愛でる主がいない庭を整えている。
何故なら彼は王女の魅了に取り付かれた一人だから、今も解けない呪縛から逃れられずに一人取り残されている。
それはこの屋敷の様だと俺は感じながら出口に向かった。
いつかこの屋敷も子供の声で賑やかになるかもしれない。そう願いながら先を急いだ。
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