14 / 60
第一部
14※ 有×イウディネ
しおりを挟む
結局遅くまで春樹と身体を重ね、俺が帰ったのは夜の10時を回った頃だった。春樹には泊まって欲しいと言われて心が揺れたが、イウディネからの着信がとんでもないことになっていたので断念した。
怖い。5分毎に連絡がきている……。怖い(2回め)。ストーカーというやつのようだ。多分実際は夕飯がいるか聞きたかったとかそういう内容だろうけれども……。
俺は静かに鍵を使い、音を立てないように玄関の扉を開ける。こっそり自室に逃げ込もうかと思ったが、甘かった。イウディネが腕を組んで玄関の前に立っていた。そうであった。俺はスマートフォンのGPSでどこにいるかがわかるのであった……。
「おかえりなさい我が君。学校の先生から『静海くんは後ろ盾だった父親を亡くし、庶子だったため迫害にあうように祖国を追われ、父親の葬儀も半分しか出れずに逃げてきた、哀れな身の上だというのは本当か?』って聞かれたんだけど、どういうことですか?」
「……」
「保護者の知らないうちに、一体何があったのか、説明して頂けますね?」
どうやら電話の件は夕飯のことではなかったようだ。俺は靴を脱いでリビングに向かう。ガチャリ、と玄関の扉の鍵が閉まる音すら恐ろしかった。とりあえず着替えましょう、と言われ、俺は寝室に向かう。ガチャリと再び何かが閉まる音がしたが、それは玄関ではなく、俺の手首から聞こえた。
+++
「う、うぅっ!」
「何度目ですか、本当に」
「苦しぃ……!」
俺はベッドの柵に手錠をつながれ裸でベッドに寝そべっている。俺の勃起した性器はイウディネの中だ。
もともと夢魔であるイウディネは俺との隷属により多量の魔力を得て上位悪魔となっており、その身体は生娘よりもきつくしまり、玄人の胎内よりも熱く畝る。その身体で奉仕されれば人間の男は三こすり半だというのに、俺はまた我慢を強いられていた。しかも今回は紐ではなく、イウディネが作ったという謎の金の輪が陰茎の根本で俺の射精を止め続けていた。
「目立たぬようにと言っているのにもう取り返しがつかなくなっていますよ」
「うっ、ディネだって赴任すぐは保健室に行列作ってたって聞いたぞ! 俺だけが目立っているわけではない!」
イウディネが赴任したのは俺の転入よりも少し前だったのだが、赴任した際は大変な人気だったと夏に聞いた。黒髪長髪の宝石のような目を持つ美形保険医。井浦臣。ハーフという設定だが、イウディネの外見は殆ど日本人には見えない。中性的な、写真によっては女性に見える外国人モデルのような芸術的な美貌の持ち主である。
そんな美しい男が男子校にやってきた。しかもこの学校は同性愛に寛容だ。当然のように男同士で付き合っているカップルも多い。皆当たり前のようにイウディネに熱を上げた。毎日毎日生徒達がイウディネ見たさに怪我を作り、学校側から注意まで出たらしい。しかし俺が言及しても、イウディネは今は平気ですから、と過去のことを勝手に水に流した。ずるい。
「生徒会担当の学年主任が生徒会長たっての希望で貴方様を生徒会に入れる予定だ、などと言っていましたが、どうするんですか?」
「ふぇ、あっ、そ、わすれて、あっ、ディネ、あ、んんぅ!」
「お答え、くだ、さい!」
イウディネが尻を揺らし、半ばまで挿し込まれた俺の性器を刺激する。丁度雁首がイウディネの襞にひっかかり、こみ上げる快感に涙が溢れた。あぁ、すごい、こっちも名器……。奥までズボズボしながら射精ができたらどれくらい気持ち良いのか……。
俺がぼんやり妄想している間にイウディネが俺の性器を飲み込んだまま俺の身体の上に座り込んだ。体重をかけられ、イウディネの奥まで入り込んだ性器がみちみちと蠢く肉に絡みつかれて赤く膨れ上がる。しかし射精はできない。苦しみに呻く俺の前で、イウディネは自分の性器の先端を指先で刺激し、背中を震わせている。
「ひぐっ! っはぁ、えっと……あ、まだ返事して、ない……」
「我が君のご判断におまかせしますが、あまり目立つ場所には立たれませんよう」
「ん、んぅ」
「ふふ、苦しそうですね……っぁ、ぁあっ、んっ!」
イウディネは腰を緩慢に揺らし、俺の性器を浅めの場所にこすり付け、俺より白い身体をしならせて射精する。イウディネの赤く充血した性器から数度に分けて吐き出された精液は俺の身体の上にびちゃびちゃと落ちた。
「っはぁ、あっ……さて、では次の話をしましょうね」
「このままか!? 嫌だ嫌だ! 一度出させてくれ!」
「今日は一度も駄目です。手淫も禁止ですよ」
「ひぃ!」
イウディネは俺の上から退くと勃起したままの俺の性器を指先でピンと弾いた。痛い!
「貴方の本分である色欲の通りに動かれるのは仕方ありませんが、貴方に隷属していると私にも貴方の心地よい官能が流れ込むのをお忘れにならないでくださいね」
「ディネだってぇ……もう色欲の悪魔ではないか! 何が困る!? 人前で勃起を抑えることだってできるだろう!?」
「貴方の魔力は色欲を満たせば満たすほど高まります。そんな魔力を流し込まれてしまえば私だって抑えがききません。このままではここのマンションの住人の八割を食べてしまいます」
「残り、二割は……?」
「精通前の子供と腹上死してしまいそうな老人ですね」
「なるほど」
イウディネが言うには、俺達の人間の身体が魔力を使うのにそもそも適していないのだという。確かに人間の身体になった後、一週間ほどの間はちっとも魔力が使えなかった。イウディネとセックスしながら一週間を過ごし、そろそろ魔法が使えそうだなと思ったところで制限を受けた。
「私は会社員のようなものですので、我が君ほど自由に動けません。どうか私の人間の身体が馴染むまでご配慮ください」
「善処しよう」
善処はするが、俺が我慢できるかはその限りではない。そのニュアンスを察してか、一瞬イウディネの目が氷のように冷たくなった気がした。
イウディネは俺の胸に頬を寄せ、ぬるついた俺の性器を尻の谷間に擦りつけた。擦り付けられるたび、痛みに近い快感が俺の性器を襲う。イウディネは苦悶に満ちた俺の表情を見ながら自分が射精した精液を俺の身体に塗り込み、赤く木の実のように腫れた胸の先端を引っ張った。気持ちいいがやはり射精できない。
「我が君、全てが美しい至上の方」
「俺のペニスは美味かったか?」
「勿論」
「精液も美味いぞ」
「駄目です」
「……」
駄目だった。もう本当だったらブチギレて犯してやろうかと思うのだが、身体から魔力がどんどん奪われてしまい上手く動かない。いやらしいことをしていると俺は魔力が漲り元気になるはずなのだが、その魔力すら無くなっている。多分俺の性器についているイウディネの金の輪のせいに違いない。
「苦痛に歪む貴方も美しい」
「ディネ……お前魔道具に変なもの仕込んだな……」
「ふふ」
イウディネが『バレましたね』と楽しそうに笑っている。薄いバラ色の唇が持ち上がり、細まった目が愛おしそうに俺を見ている。その目がパッと元に戻る。あ、とイウディネの口が大きく開いた。
「そういえばあちらは、未だ上二人の御令兄様が争われているようですよ」
「よく知っているな」
「密偵がおりますので」
そんなものを放っているのか、と俺は目を丸くする。多分情勢を調べるためだけの魔界の住人だろう。俺の兄達は気性が荒いので、懐に潜るとなると大変を通り越してほぼ不可能だ。
「まぁ俺はどちらが勝っても構わん。別に俺はあの世界の全てなんて欲しくはないしな。館の一つでももらって、俺の眷属と色欲に溺れる毎日をすごせばそれで良い」
「……全てが終われば戻るおつもりで?」
「統治する兄によるだろうな。次兄が王になれば連れ戻されるだろうが、多分上の兄の方が強い。あの方は既に禁忌を犯し、魔力も強大だ。なれば敵前逃亡した俺は追放かもしれん」
そうなったら人間界にずっといれるかもしれないのでそれはそれでありだ。まぁそうなると生活費も自ら稼がねばならないが何とかなるだろう。俺が働けるかどうかはわからないが、どこぞの金持ちの愛人をしたりすればまぁ生きていける。……いや、むしろこれ以上ないほど俺に似合っている職業な気がしてきたな。
「……我が君、隷属を増やし、身を守る術を考えるのは?」
イウディネが神妙な面持ちで俺に問いかける。
隷属は選ばれた上位悪魔が使える特別な能力だ。自分より下位の悪魔や魔物を従わせることができるもので、俺の場合は『相手が俺を愛し俺が相手を愛した状態で、隷属する者が主の足にキスをする』という条件で相手が隷属する。隷属すれば俺の魔力が分け与えられ、能力が上がる。
イウディネも夢魔だったのが色欲属性の上位の悪魔に進化した。これは実はすごいことだ。悪魔はよほどのことがないと進化はしない。生まれたままの種族で一生を終えるものが大半だ。進化しようとするならそれこそ何万という魂を喰らうか、同等以上のことを成さなければならない。それがチャラになるという、一種のチートだ。ただし主に危害を加えることはできないし、色々面倒なこともあるが割愛する。
「お前が良いならそれでも良いぞ」
「私ですか?」
「ディネは俺の唯一が長かったからな。嫉妬の一つくらいしてくれるんだろう?」
「……」
俺の隷属する従者は現在イウディネだけだ。増やす機会がなかったわけではないが、従者が増えると俺の魔力消費がその分だけ増える。彼らは自分で魔力を補給することもできるが、出来なかった分は俺から持っていってしまうのだ。俺の魔力が枯渇している状態でそれをされたら最悪死んでしまう。
無闇に作らない方が良いと最初に俺に教えたのはイウディネだった。それは嘘ではないけれど、それ以外の何かが含まれていることも俺は知っている。にやにやしてイウディネを見ていると、険しい顔のイウディネが腰を浮かせて再び俺の性器を自らの中へと導いていく。
「ディ、ネ!」
「今は王弟様からの援助、私が子飼いしている者達の資金があります。……が、味方は多い方がよろしいでしょう。嫉妬も全て色欲に変えてみせますよ」
「っはぁ、そうか、では俺も適当に後ろ盾になってくれそうな権力者と抱き合っておくことも、考えておこ、うっ!」
イウディネは俺のためだったら我慢してくれるらしい。美しい白い肌に皺を刻んでちょっとつまらなそうな顔をしているのが可愛かった。俺が苦しそうに腰を揺らしてイウディネを誘うと、イウディネはやっと眉間の皺を無くして俺にキスをする。上顎を舌先で擦られるのが気持ち良い。舌を絡めて吸って、飲みきれなかった唾液が口の端から垂れた。
「あっ、あぁっ、っはぁ、ん、あっ……アルファリア様ぁ…見えていますか?」
「あぁ、淫らで、美しい……」
ディネは俺の上で再び腰を振り始める。髪を掻き上げながら腰を揺らすと、上下に揺れるイウディネの性器が俺の身体にぼたぼたと先走りを零した。
「っはっはは、ぁ、も、イキたいディネェ」
「ふふ、駄目です」
こんなに愛し合っているのに、許してはもらえない。
愛する従者のお仕置はまだまだ終わる気配を見せなかった。
怖い。5分毎に連絡がきている……。怖い(2回め)。ストーカーというやつのようだ。多分実際は夕飯がいるか聞きたかったとかそういう内容だろうけれども……。
俺は静かに鍵を使い、音を立てないように玄関の扉を開ける。こっそり自室に逃げ込もうかと思ったが、甘かった。イウディネが腕を組んで玄関の前に立っていた。そうであった。俺はスマートフォンのGPSでどこにいるかがわかるのであった……。
「おかえりなさい我が君。学校の先生から『静海くんは後ろ盾だった父親を亡くし、庶子だったため迫害にあうように祖国を追われ、父親の葬儀も半分しか出れずに逃げてきた、哀れな身の上だというのは本当か?』って聞かれたんだけど、どういうことですか?」
「……」
「保護者の知らないうちに、一体何があったのか、説明して頂けますね?」
どうやら電話の件は夕飯のことではなかったようだ。俺は靴を脱いでリビングに向かう。ガチャリ、と玄関の扉の鍵が閉まる音すら恐ろしかった。とりあえず着替えましょう、と言われ、俺は寝室に向かう。ガチャリと再び何かが閉まる音がしたが、それは玄関ではなく、俺の手首から聞こえた。
+++
「う、うぅっ!」
「何度目ですか、本当に」
「苦しぃ……!」
俺はベッドの柵に手錠をつながれ裸でベッドに寝そべっている。俺の勃起した性器はイウディネの中だ。
もともと夢魔であるイウディネは俺との隷属により多量の魔力を得て上位悪魔となっており、その身体は生娘よりもきつくしまり、玄人の胎内よりも熱く畝る。その身体で奉仕されれば人間の男は三こすり半だというのに、俺はまた我慢を強いられていた。しかも今回は紐ではなく、イウディネが作ったという謎の金の輪が陰茎の根本で俺の射精を止め続けていた。
「目立たぬようにと言っているのにもう取り返しがつかなくなっていますよ」
「うっ、ディネだって赴任すぐは保健室に行列作ってたって聞いたぞ! 俺だけが目立っているわけではない!」
イウディネが赴任したのは俺の転入よりも少し前だったのだが、赴任した際は大変な人気だったと夏に聞いた。黒髪長髪の宝石のような目を持つ美形保険医。井浦臣。ハーフという設定だが、イウディネの外見は殆ど日本人には見えない。中性的な、写真によっては女性に見える外国人モデルのような芸術的な美貌の持ち主である。
そんな美しい男が男子校にやってきた。しかもこの学校は同性愛に寛容だ。当然のように男同士で付き合っているカップルも多い。皆当たり前のようにイウディネに熱を上げた。毎日毎日生徒達がイウディネ見たさに怪我を作り、学校側から注意まで出たらしい。しかし俺が言及しても、イウディネは今は平気ですから、と過去のことを勝手に水に流した。ずるい。
「生徒会担当の学年主任が生徒会長たっての希望で貴方様を生徒会に入れる予定だ、などと言っていましたが、どうするんですか?」
「ふぇ、あっ、そ、わすれて、あっ、ディネ、あ、んんぅ!」
「お答え、くだ、さい!」
イウディネが尻を揺らし、半ばまで挿し込まれた俺の性器を刺激する。丁度雁首がイウディネの襞にひっかかり、こみ上げる快感に涙が溢れた。あぁ、すごい、こっちも名器……。奥までズボズボしながら射精ができたらどれくらい気持ち良いのか……。
俺がぼんやり妄想している間にイウディネが俺の性器を飲み込んだまま俺の身体の上に座り込んだ。体重をかけられ、イウディネの奥まで入り込んだ性器がみちみちと蠢く肉に絡みつかれて赤く膨れ上がる。しかし射精はできない。苦しみに呻く俺の前で、イウディネは自分の性器の先端を指先で刺激し、背中を震わせている。
「ひぐっ! っはぁ、えっと……あ、まだ返事して、ない……」
「我が君のご判断におまかせしますが、あまり目立つ場所には立たれませんよう」
「ん、んぅ」
「ふふ、苦しそうですね……っぁ、ぁあっ、んっ!」
イウディネは腰を緩慢に揺らし、俺の性器を浅めの場所にこすり付け、俺より白い身体をしならせて射精する。イウディネの赤く充血した性器から数度に分けて吐き出された精液は俺の身体の上にびちゃびちゃと落ちた。
「っはぁ、あっ……さて、では次の話をしましょうね」
「このままか!? 嫌だ嫌だ! 一度出させてくれ!」
「今日は一度も駄目です。手淫も禁止ですよ」
「ひぃ!」
イウディネは俺の上から退くと勃起したままの俺の性器を指先でピンと弾いた。痛い!
「貴方の本分である色欲の通りに動かれるのは仕方ありませんが、貴方に隷属していると私にも貴方の心地よい官能が流れ込むのをお忘れにならないでくださいね」
「ディネだってぇ……もう色欲の悪魔ではないか! 何が困る!? 人前で勃起を抑えることだってできるだろう!?」
「貴方の魔力は色欲を満たせば満たすほど高まります。そんな魔力を流し込まれてしまえば私だって抑えがききません。このままではここのマンションの住人の八割を食べてしまいます」
「残り、二割は……?」
「精通前の子供と腹上死してしまいそうな老人ですね」
「なるほど」
イウディネが言うには、俺達の人間の身体が魔力を使うのにそもそも適していないのだという。確かに人間の身体になった後、一週間ほどの間はちっとも魔力が使えなかった。イウディネとセックスしながら一週間を過ごし、そろそろ魔法が使えそうだなと思ったところで制限を受けた。
「私は会社員のようなものですので、我が君ほど自由に動けません。どうか私の人間の身体が馴染むまでご配慮ください」
「善処しよう」
善処はするが、俺が我慢できるかはその限りではない。そのニュアンスを察してか、一瞬イウディネの目が氷のように冷たくなった気がした。
イウディネは俺の胸に頬を寄せ、ぬるついた俺の性器を尻の谷間に擦りつけた。擦り付けられるたび、痛みに近い快感が俺の性器を襲う。イウディネは苦悶に満ちた俺の表情を見ながら自分が射精した精液を俺の身体に塗り込み、赤く木の実のように腫れた胸の先端を引っ張った。気持ちいいがやはり射精できない。
「我が君、全てが美しい至上の方」
「俺のペニスは美味かったか?」
「勿論」
「精液も美味いぞ」
「駄目です」
「……」
駄目だった。もう本当だったらブチギレて犯してやろうかと思うのだが、身体から魔力がどんどん奪われてしまい上手く動かない。いやらしいことをしていると俺は魔力が漲り元気になるはずなのだが、その魔力すら無くなっている。多分俺の性器についているイウディネの金の輪のせいに違いない。
「苦痛に歪む貴方も美しい」
「ディネ……お前魔道具に変なもの仕込んだな……」
「ふふ」
イウディネが『バレましたね』と楽しそうに笑っている。薄いバラ色の唇が持ち上がり、細まった目が愛おしそうに俺を見ている。その目がパッと元に戻る。あ、とイウディネの口が大きく開いた。
「そういえばあちらは、未だ上二人の御令兄様が争われているようですよ」
「よく知っているな」
「密偵がおりますので」
そんなものを放っているのか、と俺は目を丸くする。多分情勢を調べるためだけの魔界の住人だろう。俺の兄達は気性が荒いので、懐に潜るとなると大変を通り越してほぼ不可能だ。
「まぁ俺はどちらが勝っても構わん。別に俺はあの世界の全てなんて欲しくはないしな。館の一つでももらって、俺の眷属と色欲に溺れる毎日をすごせばそれで良い」
「……全てが終われば戻るおつもりで?」
「統治する兄によるだろうな。次兄が王になれば連れ戻されるだろうが、多分上の兄の方が強い。あの方は既に禁忌を犯し、魔力も強大だ。なれば敵前逃亡した俺は追放かもしれん」
そうなったら人間界にずっといれるかもしれないのでそれはそれでありだ。まぁそうなると生活費も自ら稼がねばならないが何とかなるだろう。俺が働けるかどうかはわからないが、どこぞの金持ちの愛人をしたりすればまぁ生きていける。……いや、むしろこれ以上ないほど俺に似合っている職業な気がしてきたな。
「……我が君、隷属を増やし、身を守る術を考えるのは?」
イウディネが神妙な面持ちで俺に問いかける。
隷属は選ばれた上位悪魔が使える特別な能力だ。自分より下位の悪魔や魔物を従わせることができるもので、俺の場合は『相手が俺を愛し俺が相手を愛した状態で、隷属する者が主の足にキスをする』という条件で相手が隷属する。隷属すれば俺の魔力が分け与えられ、能力が上がる。
イウディネも夢魔だったのが色欲属性の上位の悪魔に進化した。これは実はすごいことだ。悪魔はよほどのことがないと進化はしない。生まれたままの種族で一生を終えるものが大半だ。進化しようとするならそれこそ何万という魂を喰らうか、同等以上のことを成さなければならない。それがチャラになるという、一種のチートだ。ただし主に危害を加えることはできないし、色々面倒なこともあるが割愛する。
「お前が良いならそれでも良いぞ」
「私ですか?」
「ディネは俺の唯一が長かったからな。嫉妬の一つくらいしてくれるんだろう?」
「……」
俺の隷属する従者は現在イウディネだけだ。増やす機会がなかったわけではないが、従者が増えると俺の魔力消費がその分だけ増える。彼らは自分で魔力を補給することもできるが、出来なかった分は俺から持っていってしまうのだ。俺の魔力が枯渇している状態でそれをされたら最悪死んでしまう。
無闇に作らない方が良いと最初に俺に教えたのはイウディネだった。それは嘘ではないけれど、それ以外の何かが含まれていることも俺は知っている。にやにやしてイウディネを見ていると、険しい顔のイウディネが腰を浮かせて再び俺の性器を自らの中へと導いていく。
「ディ、ネ!」
「今は王弟様からの援助、私が子飼いしている者達の資金があります。……が、味方は多い方がよろしいでしょう。嫉妬も全て色欲に変えてみせますよ」
「っはぁ、そうか、では俺も適当に後ろ盾になってくれそうな権力者と抱き合っておくことも、考えておこ、うっ!」
イウディネは俺のためだったら我慢してくれるらしい。美しい白い肌に皺を刻んでちょっとつまらなそうな顔をしているのが可愛かった。俺が苦しそうに腰を揺らしてイウディネを誘うと、イウディネはやっと眉間の皺を無くして俺にキスをする。上顎を舌先で擦られるのが気持ち良い。舌を絡めて吸って、飲みきれなかった唾液が口の端から垂れた。
「あっ、あぁっ、っはぁ、ん、あっ……アルファリア様ぁ…見えていますか?」
「あぁ、淫らで、美しい……」
ディネは俺の上で再び腰を振り始める。髪を掻き上げながら腰を揺らすと、上下に揺れるイウディネの性器が俺の身体にぼたぼたと先走りを零した。
「っはっはは、ぁ、も、イキたいディネェ」
「ふふ、駄目です」
こんなに愛し合っているのに、許してはもらえない。
愛する従者のお仕置はまだまだ終わる気配を見せなかった。
11
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
俺、転生したら社畜メンタルのまま超絶イケメンになってた件~転生したのに、恋愛難易度はなぜかハードモード
中岡 始
BL
ブラック企業の激務で過労死した40歳の社畜・藤堂悠真。
目を覚ますと、高校2年生の自分に転生していた。
しかも、鏡に映ったのは芸能人レベルの超絶イケメン。
転入初日から女子たちに囲まれ、学園中の話題の的に。
だが、社畜思考が抜けず**「これはマーケティング施策か?」**と疑うばかり。
そして、モテすぎて業務過多状態に陥る。
弁当争奪戦、放課後のデート攻勢…悠真の平穏は完全に崩壊。
そんな中、唯一冷静な男・藤崎颯斗の存在に救われる。
颯斗はやたらと落ち着いていて、悠真をさりげなくフォローする。
「お前といると、楽だ」
次第に悠真の中で、彼の存在が大きくなっていき――。
「お前、俺から逃げるな」
颯斗の言葉に、悠真の心は大きく揺れ動く。
転生×学園ラブコメ×じわじわ迫る恋。
これは、悠真が「本当に選ぶべきもの」を見つける物語。
続編『元社畜の俺、大学生になってまたモテすぎてるけど、今度は恋人がいるので無理です』
かつてブラック企業で心を擦り減らし、過労死した元社畜の男・藤堂悠真は、
転生した高校時代を経て、無事に大学生になった――
恋人である藤崎颯斗と共に。
だが、大学という“自由すぎる”世界は、ふたりの関係を少しずつ揺らがせていく。
「付き合ってるけど、誰にも言っていない」
その選択が、予想以上のすれ違いを生んでいった。
モテ地獄の再来、空気を読み続ける日々、
そして自分で自分を苦しめていた“頑張る癖”。
甘えたくても甘えられない――
そんな悠真の隣で、颯斗はずっと静かに手を差し伸べ続ける。
過去に縛られていた悠真が、未来を見つめ直すまでの
じれ甘・再構築・すれ違いと回復のキャンパス・ラブストーリー。
今度こそ、言葉にする。
「好きだよ」って、ちゃんと。
ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました
あと
BL
「お兄ちゃん!人肌脱ぎます!」
完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け
可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…?
攻め:ヴィクター・ローレンツ
受け:リアム・グレイソン
弟:リチャード・グレイソン
pixivにも投稿しています。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
お前らの目は節穴か?BLゲーム主人公の従者になりました!
MEIKO
BL
本編完結しています。お直し中。第12回BL大賞奨励賞いただきました。
僕、エリオット・アノーは伯爵家嫡男の身分を隠して公爵家令息のジュリアス・エドモアの従者をしている。事の発端は十歳の時…家族から虐げられていた僕は、我慢の限界で田舎の領地から家を出て来た。もう二度と戻る事はないと己の身分を捨て、心機一転王都へやって来たものの、現実は厳しく死にかける僕。薄汚い格好でフラフラと彷徨っている所を救ってくれたのが完璧貴公子ジュリアスだ。だけど初めて会った時、不思議な感覚を覚える。えっ、このジュリアスって人…会ったことなかったっけ?その瞬間突然閃く!
「ここって…もしかして、BLゲームの世界じゃない?おまけに僕の最愛の推し〜ジュリアス様!」
知らぬ間にBLゲームの中の名も無き登場人物に転生してしまっていた僕は、命の恩人である坊ちゃまを幸せにしようと奔走する。そして大好きなゲームのイベントも近くで楽しんじゃうもんね〜ワックワク!
だけど何で…全然シナリオ通りじゃないんですけど。坊ちゃまってば、僕のこと大好き過ぎない?
※貴族的表現を使っていますが、別の世界です。ですのでそれにのっとっていない事がありますがご了承下さい。
イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が俺でした
天埜鳩愛
BL
☆本編番外編 完結済✨ 感想嬉しいです!
元バスケ部の俺が拾ったスマホのロック画は、ユニフォーム姿の“俺”。
持ち主は、顔面国宝の一年生。
なんで俺の写真? なんでロック画?
問い詰める間もなく「この人が最優先なんで」って宣言されて、女子の悲鳴の中、肩を掴まれて連行された。……俺、ただスマホ届けに来ただけなんだけど。
頼られたら嫌とは言えない南澤燈真は高校二年生。クールなイケメン後輩、北門唯が置き忘れたスマホを手に取ってみると、ロック画が何故か中学時代の燈真だった! 北門はモテ男ゆえに女子からしつこくされ、燈真が助けることに。その日から学年を越え急激に仲良くなる二人。燈真は誰にも言えなかった悩みを北門にだけ打ち明けて……。一途なメロ後輩 × 絆され男前先輩の、救いすくわれ・持ちつ持たれつラブ!
☆ノベマ!の青春BLコンテスト最終選考作品に加筆&新エピソードを加えたアルファポリス版です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる