【完結】色欲の悪魔は学園生活に憧れる

なかじ

文字の大きさ
22 / 60
第一部

22※ 有×秋名

しおりを挟む

「秋名、ほら、口を吸え」
「んぅ、んんっ、有好きぃ……好きっ」

 秋名は本当に俺が好きなようで、俺の頭や身体を抱きしめて何度も唇を重ねる。秋名の精気は味が若い。和三盆のような皆が好きな甘さだ。イウディネの魔力は芳醇でカラメルのような味わいだし、春樹や夏は蜂蜜のようなまろやかな味がする。どれも吃驚するほど俺の好みだ。人間界にきて、ここまであたりが多いならこの学校への転入は正解だったのだろう。

「困ったな。授業にいけんぞ」
「有ぅ、もっとぉ、やだよぉ~」

 秋名は腰を揺らしながら俺を引きとめようとしている。あれから何度も達して失神しかけているが、俺が治癒を使ってじわじわ体力を回復させている。
 秋名は情欲と俺への好意により理性をとっぱらってしまい、俺を咥えこんでちっとも離さない。空色のレンズの奥は俺の魔力のせいかキラキラピンク色に光っていた。このまま理性を取り戻さなければ、秋名と一日中セックスする羽目になりそうだ。……ん? 別に俺には何の損も無いな。

「我が君、いい加減にしてください。身体が疼いて仕方ありません」
「おぉ?」

 扉から入ってきた影に俺と秋名は固まった。しかしその影がイウディネだと気付くと、俺は『なんだ、お前か』と安心して再び秋名を突き上げ始める。秋名は普通に情事を再開する俺に吃驚しているのか、イウディネと俺を交互に見てオロオロしていた。

「ひっ! 井浦せんせっ! あ、ぁん! あ、これは! その!」
「良い、まだ抜くな。すまんなディネ、少し待ってくれ」
「あうっ! やっ! も、ぅ……」
「ッ、早くしてくださいね……」

 イウディネを見て理性を取り戻したのか、秋名が俺から離れようとする。しかし腰を上げた秋名の腰を掴んで引き戻すと秋名の奥をズンと突いた。秋名は奥を穿たれ、押し出されるように射精する。本当はじっくり味わいたいが、イウディネが待っているので秋名を後ろから抱いて腰を振った。ピストンを速めると秋名が短い喘ぎを何度も上げて性器からダラダラと白濁を零す。イッたばかりだと泣いて震える秋名の奥に再び吐精した。

「満足されましたか……?」
「あぁ」

 イウディネは頬は赤く、瞳は潤み、呼吸を僅かに乱している。とてつもない色気だ。発情し、雄を呼ぶ雌の顔をしている。俺の色欲に反応してこうも色っぽくなるのか。こんな顔をされたら近くにいる人間は堪らないだろう。

「ディネ。俺はこの者の復讐とやらに協力することにした」
「復讐?」
「あぁ、俺のファンクラブを作って他のファンクラブを壊すらしい」
「そんな目立つことをするおつもりで? 貴方に危害が加わる可能性を見過ごせと仰るのですか?」
「秋名は隷属させる。フォローも上手いし、何より可愛い」

 イウディネの渋い顔を見上げてお強請りする。秋名は俺達の会話も、なぜ俺達が平然としているのかもわからないみたいで、床で身体を縮こませたまま動かなかった。

「秋名は俺をどう思う?」
「へ!?」
「どう思う?」

 急に話を振られ、秋名は声が裏返っていた。
 俺をどう思っているのか、その質問の意図を探るような訝しげな目が俺を見つめ、一瞬の静寂が訪れる。一呼吸置き、秋名は意を決したように言葉を口にした。

「すごく、格好良い……俺みたいにハリボテじゃなくて、本物で……でも会長や夏さんよりもずっと格好良い」
「それだけか?」
「……す」
「す?」
「好きなんだよ!! ずっと!! 一目惚れで、だから、本当は、ずっと! ずっと……こんなことで、言いたくなかった……」

 秋名はグスと鼻をすすった。震える頭を優しく撫でると秋名は顔を上げる。涙でぐしゃぐしゃになった顔は少し間抜けで、小さな少年のようだった。

「可愛いだろう? 昔のお前ほどではないが」
「……。彼はあの二人・・・・と違い、後ろ盾として使えるとも思えませんが?」
「今はそこまで困っていない。しかし隷属させるなら面倒を主だって見るのはディネだ。俺はディネの気持ちを尊重したい」

 見上げたイウディネの顔は険しいものの、笑みを殺すように引き結んだ唇が嬉しさを語っている。ずるい人だ、と呟いてイウディネは恭しく頭を下げた。

「……全て貴方の思うままに」
「ディネ。愛している。楽しい生活を約束してやろう」
「我が君、私は貴方の愛以上に望むものなどないのですよ」

 イウディネが屈んで俺にキスをする。俺もイウディネの頬に手を触れてキスすると、それを間近に見ていたのか秋名が目を大きく見開いて固まっていた。俺とイウディネの関係が恋人同士のように見えたのだろう。あながち間違いじゃない。秋名はそれがショックだったのか顔が青くなっていた。

「安心しろ秋名。俺は貴様も愛しているぞ」
「博愛主義ですからね。我が君は」
「へ!? あ、いや、え!? ちょっと待って! もう本当わけわかんない! 井浦先生と付き合ってたの!? っていうか我が君って何!?」

 パニックになった秋名は説明して! と床を叩く。これだけ元気だったらもっとできそうだな。
 俺は白い液体がべったりとついた性器をそのままに、ズボンを下着と一緒に脱ぎ去った。秋名は自分と同じようにシャツ一枚になった俺を瞬きもせずに見つめていた。その眼前に、俺は黄色がかった白い足を持ち上げて見せる。

「秋名、口付けよ」
「は?」
「家族も過去も今あるものも、全てを捨てて、俺に縋りつけ。そして、愛すなら、口付けよ」
「……」

 俺が欲しいならそうしてみろ、と言うと秋名は息を呑んだ。この行為が何を意味するのか、秋名は知らない。しかしただの冗談ではないともわかっているのだろう。黙って俺の足を眺めた後、手を伸ばして俺の足に触れ、顔を近づけた。ふに、と柔らかい感触が足から伝わる。

「口付けたまま、静かにしていろ。そう、良い子だ」

 大人しく動かないでいる秋名を見て、俺は歪な笑みを浮かべる。

「白州秋名を色欲の牢獄へ」
「!?」

 俺の一声で秋名の身体が淡い紫色に光りだす。これと同じ光景を見たのは随分前だったな、と俺は感慨深げに呟く。そうですね、とイウディネの同意が上から聞こえた。
 俺達の会話の合間に、秋名の胸からは光が溢れている。その異様な光景に驚いた秋名は慌てて俺の足から唇を離した。

「っぐ! ひ、あっ!」

 秋名は足をばたつかせ、胸を抑えながらもがき苦しんでいる。しかし性器は勃起し、血管が浮いて先走りを溢し始めていた。秋名はパクパクと酸欠の魚のように口を開き、声にならない助けを叫ぶ。

「ぁ、るっ……ッ! …っ、ぁっ……ッッ!!」

 秋名は涙を溢し、腰を痙攣させるように射精する。そのまま身体を小刻みに弛緩させて動かなくなった。

「秋名、身体の調子はどうだ?」
「な、何っ……っはぁ……えっ!?」

 秋名は床でもぞりと動き出す。起き上がるとケロリとしていたが、自分が射精したとわかると急に顔を赤くしていた。何で? と慌てた後、自分の胸に見覚えのないマークができていることに気付いたらしく、声をあげて驚いていた。

「子犬のようですね」

 イウディネの発言に概ね同意した。秋名は胸のマークをツンツンと恐る恐る指先でつついている。ハートと山羊の角が混ざっており、イウディネの胸にある印に酷似していた。

「俺の隷属を表す印だ。これで貴様は俺に隷属した。晴れてお前も俺の奴隷の一員だな」
「奴隷!?」
「俺の真の名はアルファリア・リアレクト。種族は人間ではなく、悪魔と呼ばれるものだ」
「は?」

 中二病? と秋名に問われて俺は否定しなかった。しかし秋名の胸には突如現れた謎の印が確かに刻まれている。秋名は印を何度も見て真っ青な顔で頭を振っていた。

(はぁーーーーーー!?)

 堪えきれなかったのか、秋名は驚愕の叫びを上げる。しかしまわりに響かないよう、口を両手でしっかりガードしていた。こんな時にもまわりに配慮するのか。秋名の卓越した気遣いスキルに俺は『おぉ』と感嘆の声を上げた。




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

俺、転生したら社畜メンタルのまま超絶イケメンになってた件~転生したのに、恋愛難易度はなぜかハードモード

中岡 始
BL
ブラック企業の激務で過労死した40歳の社畜・藤堂悠真。 目を覚ますと、高校2年生の自分に転生していた。 しかも、鏡に映ったのは芸能人レベルの超絶イケメン。 転入初日から女子たちに囲まれ、学園中の話題の的に。 だが、社畜思考が抜けず**「これはマーケティング施策か?」**と疑うばかり。 そして、モテすぎて業務過多状態に陥る。 弁当争奪戦、放課後のデート攻勢…悠真の平穏は完全に崩壊。 そんな中、唯一冷静な男・藤崎颯斗の存在に救われる。 颯斗はやたらと落ち着いていて、悠真をさりげなくフォローする。 「お前といると、楽だ」 次第に悠真の中で、彼の存在が大きくなっていき――。 「お前、俺から逃げるな」 颯斗の言葉に、悠真の心は大きく揺れ動く。 転生×学園ラブコメ×じわじわ迫る恋。 これは、悠真が「本当に選ぶべきもの」を見つける物語。 続編『元社畜の俺、大学生になってまたモテすぎてるけど、今度は恋人がいるので無理です』 かつてブラック企業で心を擦り減らし、過労死した元社畜の男・藤堂悠真は、 転生した高校時代を経て、無事に大学生になった―― 恋人である藤崎颯斗と共に。 だが、大学という“自由すぎる”世界は、ふたりの関係を少しずつ揺らがせていく。 「付き合ってるけど、誰にも言っていない」 その選択が、予想以上のすれ違いを生んでいった。 モテ地獄の再来、空気を読み続ける日々、 そして自分で自分を苦しめていた“頑張る癖”。 甘えたくても甘えられない―― そんな悠真の隣で、颯斗はずっと静かに手を差し伸べ続ける。 過去に縛られていた悠真が、未来を見つめ直すまでの じれ甘・再構築・すれ違いと回復のキャンパス・ラブストーリー。 今度こそ、言葉にする。 「好きだよ」って、ちゃんと。

ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました

あと
BL
「お兄ちゃん!人肌脱ぎます!」 完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け 可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…? 攻め:ヴィクター・ローレンツ 受け:リアム・グレイソン 弟:リチャード・グレイソン  pixivにも投稿しています。 ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。

批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

お前らの目は節穴か?BLゲーム主人公の従者になりました!

MEIKO
BL
 本編完結しています。お直し中。第12回BL大賞奨励賞いただきました。  僕、エリオット・アノーは伯爵家嫡男の身分を隠して公爵家令息のジュリアス・エドモアの従者をしている。事の発端は十歳の時…家族から虐げられていた僕は、我慢の限界で田舎の領地から家を出て来た。もう二度と戻る事はないと己の身分を捨て、心機一転王都へやって来たものの、現実は厳しく死にかける僕。薄汚い格好でフラフラと彷徨っている所を救ってくれたのが完璧貴公子ジュリアスだ。だけど初めて会った時、不思議な感覚を覚える。えっ、このジュリアスって人…会ったことなかったっけ?その瞬間突然閃く!  「ここって…もしかして、BLゲームの世界じゃない?おまけに僕の最愛の推し〜ジュリアス様!」  知らぬ間にBLゲームの中の名も無き登場人物に転生してしまっていた僕は、命の恩人である坊ちゃまを幸せにしようと奔走する。そして大好きなゲームのイベントも近くで楽しんじゃうもんね〜ワックワク!  だけど何で…全然シナリオ通りじゃないんですけど。坊ちゃまってば、僕のこと大好き過ぎない?  ※貴族的表現を使っていますが、別の世界です。ですのでそれにのっとっていない事がありますがご了承下さい。

イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が俺でした

天埜鳩愛
BL
☆本編番外編 完結済✨ 感想嬉しいです! 元バスケ部の俺が拾ったスマホのロック画は、ユニフォーム姿の“俺”。 持ち主は、顔面国宝の一年生。 なんで俺の写真? なんでロック画? 問い詰める間もなく「この人が最優先なんで」って宣言されて、女子の悲鳴の中、肩を掴まれて連行された。……俺、ただスマホ届けに来ただけなんだけど。 頼られたら嫌とは言えない南澤燈真は高校二年生。クールなイケメン後輩、北門唯が置き忘れたスマホを手に取ってみると、ロック画が何故か中学時代の燈真だった! 北門はモテ男ゆえに女子からしつこくされ、燈真が助けることに。その日から学年を越え急激に仲良くなる二人。燈真は誰にも言えなかった悩みを北門にだけ打ち明けて……。一途なメロ後輩 × 絆され男前先輩の、救いすくわれ・持ちつ持たれつラブ! ☆ノベマ!の青春BLコンテスト最終選考作品に加筆&新エピソードを加えたアルファポリス版です。

処理中です...