疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!

ミミリン

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シスターの頭痛

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手慣れている。

どんな顔をしてシスタージャスミンは私の髪の毛を切っているのだろう。

真顔なのか、

不機嫌なのか。

でも

触られている髪の毛は優しい手つき扱ってもらい、安心する時間だ。



昔、皐月の頃お金がなくてよくお母さんに髪の毛を切ってもらったな。


流行りの髪型を説明したけど上手く再現できなくてお母さん苦労していたな。
でも手つきはいつも優しかった。

今思い出すと、あの時間は私とお母さんだけの温かい大切な時間だった。

思い出に浸っているとシスタージャスミンの声が頭から聞こえてきた。


「この地区はいつ誰に足元をすくわれるかわかりません。
無鉄砲な行動は最悪な結果を招きます。昨日と本日でこれでは今後が思いやられます。」

「心配してくださりありがとうござ」

「あなたを心配しているのではありません。ここで面倒を起こすなということです。」

リリアの言葉を遮り、語気を強めて発言する。忠告いや警告のようだ。


「さあ、髪は一応整いました。これは応急処置です。
あとはどこかでご自分で切りに行くことですね。」ハサミを置き、布をリリアから外す。


「承知しております。シスタージャスミンに、
この修道院の皆さんのご迷惑になることは謹むことを胸に刻みます。

私はこの世界で一番の未熟者です。シスタージャスミン、どうぞ私に知恵を授けてください。

私にこの世界で生きる力を授けてください。」


シスタージャスミンの目をまっすぐ見て頼んだ。

16歳というのに相手の表情の変化を見逃さないようにじっと見つめる。

何処か挑発的な態度だ。

「ふう。あなたを放って置くとろくなことがなさそうですね。
リリア・アルバ。

何が目的ですか?私になにを要求しているのですか?」

「私が欲しいの自由です。そして、自由を手に入れるための知識と情報です。
不必要なメイドは置いてきました。」

「ええ。昨日のことですね。私の耳に入っています。」

「今後厄介な身内が私を狙って何かを仕掛けてくるのは確実です。
それまでに自由と自立を確立したいのです。
できることならこの修道院、バスク地区と共に。
私がここにいる間は十分な金銭を確保できるよう手配はしました。どうぞ、ご協力ください。」


「何だか、交換条件みたいね。」
シスタージャスミンもリリアの顔の変化を見逃さないようじっくり目を見て発言する。

「はい。何事も先立つものはお金です。私を囲う修道院側のメリットも必要でしょう。」

お互いピンと伸ばした背筋でお互いを見合っている。
どちらも対等のような光景だ。


「あなたの話の一部は理解できました。しかし100パーセントの信用はありません。
あなた一人勝手に下手なことをしようとすればこちらも様々な方法を用意しています。

分かりますね。」

「もちろんです。私の話を聞いてくださってありがとうございます。
それだけで感謝です。」リリアは口元だけで笑った。目は笑っていない。


「で、具体的にあなたはどのようにここで存在する気でしょうか?」

「私なりの計画があります。お聞きくださいシスタージャスミン。」


リリアはシスタージャスミンに何点か確認と提案をした。

一つ、バスク地区に連れてきた(付いてきた)メイドのデリスはしばらく安全なところで過ごしてもらう。

デリス好みの執事に上手く操作してもらい動向を報告してもらいたい。
デリスと同じ部屋にリリアがいるという想定で兄ケントに報告してほしい。
リリアの援助費用は一部デリスに使用してほしい。


二つ目、リリアはこれからシスター見習いとして修道院に存在する。

名は『ジーナ』で通す。見習いだが生徒として授業も受けさせてほしい。
もちろん修道院の仕事は何でもする。仕事を選り好みする気はない。


以上の二点を提案、依頼した。


「あなたの考えがさっぱり分からないけれど、
あなたがこれ以上勝手なことをしないのならこの提案を受け入れましょう。
あなたの本当の身分を知っているのはロイだけね。」


「そうですね。あと、カズと庭にいたダンさんは私の髪の毛が長い時を見ています。」

「その3人には適当な話をしておきます。ダンは人に関心がないから大丈夫ね。」

「シスタージャスミン、ロイさんは何者なんでしょう?」

「あまり知らなくていいわ。あなたが自由を求めるのならあの子とは距離を置くことをお勧めするわ。
あとは確認することはない?」


「一応、デリスや私にかかった費用や予算の明細を確認させてください。
失礼ですが大切なことなので。」

「分かりました。ここに用意してあります。」
臆することなくシスタージャスミンは明細をリリアに見せた。


明細は偽装など一切内容だ。兄の印もしっかり付いている。

「ありがとうございます。私が明細の確認をすると想定していましたか?」

「事前情報では湯水のようにお金を使う令嬢と聞いていました。
しかし、昨日と午前中のあなたを見て考えが揺らぎました。
相手をみくびってはこちらが足元をすくわれますからね。
虚偽はありません。今後も必要な時に確認するといいわ。」


「流石ですね。では、今後もよろしくお願いいたします。シスタージャスミン。」

「くれぐれも気をつけてくださいね『ジーナ』。」

リリアは礼をして事務所を出て行った。



それを確認し、シスタージャスミンはため息をついた。


「何なの、あの子。話が全然違うじゃない。
あの子の存在がこの修道院にとって吉と出るか凶と出るか。

あの子のあの目の笑っていない笑い方、マーガレットみたいだったわ。」


眉間に手を当てて頭痛を逃す。




「コンコン」すぐにノックの音がする。
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