俺の事嫌いなんですよね?

ミミリン

文字の大きさ
28 / 29

告白

しおりを挟む
事前に決まっていた単独出張をこなして業務に出ると、涼君と斎藤さんが出張の話し合いをしていた。


どう考えても夜のお店に行くことを計画しているだろ。


涼君がそんな店に行く必要はない。

その場で上司命令で出張を斎藤さんから交代すると伝えた。

嘘も方便だ。いや、意味が違うか?何でもいい。

これで俺は斎藤さんの奥さんに多大な感謝をされるだろう。人として非常に良い事をしたんだ。



出張先では俺はまたもや涼君のハイスペックさ加減を目の当たりにした。


しかも、若い女の子相手に涼君が「君の数式そそるね。」なんて言ってた。


「そそるね」なんて俺は言ってもらったことない。

俺だって言ってもらいたい。

けど、俺は涼君がそそるような数式を編み出せない。

これほどまでに理系と言う分野を憎んだのは初めてだ。


社長の娘、久美子さんと部長と涼君が別の世界でキラキラオーラを出しながら話し合っている。

あんなにダサいと思っていた理系オタクがこんなにキラキラしていたなんて…。俺の偏見はひどいものだ。


そうだ、オタクは国境を越えるんだ。しかも誰しもが好きになってしまう涼君だからな。


俺の恋は望みがないような気がしてきた。



涼君の隣にはあんな素朴でオタクで、いやらしさのない女性の方が良いのかもしれない。

そんなことをぼんやり考えながら3人のやりとりを眺めていた。



ちょっとへこんでいたが、涼君の汗のかき具合を見て、社内の売店で買ったインナーを差し入れに持って行った。


扉を開けると、目の前には上半身裸の涼君が現れた。


ああ、やっぱり綺麗な体してる…。肌が白くて滑らかで、触れてみたくなる肌だ。

そんなよこしまな考えを振り払おうとしたら、まさかの涼君から背中を汗拭きシートで拭いてほしいと言われてしまった。


いやいや、だめだろう。その体でたった今妄想膨らませてたんだぞ?


一度は断ったが、ここの社員のおばちゃんに裸を見られ、体を拭いてあげようかと提案までされ怖い思いをしたと聞く。


危険だ。

こんなところでもたもたしていたら大変なことになる。俺が涼君を拭くしかない。


邪念を振り払うよう、全く縁のない宗派の念仏やお経を頭の中で再生しながら、手早く涼君の背中を拭いた。煩悩をかき消しながら。


涼君、男だからって警戒心がなさすぎるぞ。こんなんじゃ市川にすぐ取り込まれてしまうじゃないか。


何とか背中を拭き終えて商談に入った。

仕事を終えたが、やっぱり話の流れで飲みの席に誘われる。


本当なら涼君と二人っきりで串カツを食べたかった。

仕方がない、これも仕事だから。


用意してくれた店はほどほどに落ち着いた雰囲気のいい店だった。

俺は相手先の重役たちと飲みかわす。

その間、涼君は久美子さんとずっと話し込んでいる。

「彼を引き戻します。」

といっても社長が「まあ、若い二人で楽しそうにしているからいいじゃないか。楽しく過ごそうよ草野君。」と止められてしまう。

若い二人って、俺も涼君と同い年だよっ。


社長がそう言うから重役たちもみんな生ぬるい目で涼君と久美子さんを見守っていた。

じ、地獄の時間だ。

何が楽しくて好きな人が他の女性と楽しげにしているのを見守らないといけないんだ…。


やっと地獄の時間が終わり、ほろ酔いの涼君を連れて予約していたホテルにチェックインした。

ツインルームであることを涼君が驚いていたが、斎藤さんとの会話を聞いたおかげで、理由をこじつけて納得させることが出来た。


涼君を先にシャワーを浴びさせている間に今日の契約項目をまとめておく。


スーツだとしわになるからホテルのガウンに着替える。

色々悶々として疲れたんだろう、少しの間寝ていたみたいだ。


少し髪の毛が濡れた涼君が俺に話しかけてくる。ガウンを着てるから胸元が丸見えだ。


叶わぬ恋でもこれくらいは許されるかな?


涼君にベッドまで運んでもらうようお願いすると、優しくて警戒心のない涼君はすぐ肩を貸してくれた。

お互いガウンだから体が密着すると直に肌が触れる。

もっと触れることが出来た良いのに…。


ベッドに連れてきてもらい涼君の身体が離れたとき、やっぱり後悔はしたくない。

ずっと引きずっていたこの思いは、砕けもちゃんと決着をつけるべきだ。


そう思い、俺は涼君に真剣な思いを伝えることを決断した。



涼君が俺を拒絶するならすぐ部屋を出よう。拒絶されたら明日らはただの上司と部下だ。


覚悟を決めたが、目の前に彼のはだけた姿があると告白に集中できない。


俺は涼君に頼み、ガウンの乱れを整えてもらった。



「俺はずっと君の事が好きだった。今もその気持ちは変わらない。いや…それ以上なんだ。」



言った。やっと言えた。


以前同性愛に理解は多少あると言っていたが自身がその対象なのは初めてのはずだ。



さあ、涼君の反応は?
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました

あと
BL
「お兄ちゃん!一肌脱ぎます!」 完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け 可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…? 攻め:ヴィクター・ローレンツ 受け:リアム・グレイソン 弟:リチャード・グレイソン  pixivにも投稿しています。 ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。

批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。

魔王に飼われる勇者

たみしげ
BL
BLすけべ小説です。 敵の屋敷に攻め込んだ勇者が逆に捕まって淫紋を刻まれて飼われる話です。

平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)

優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。 本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。

撫子の華が咲く

茉莉花 香乃
BL
時は平安、とあるお屋敷で高貴な姫様に仕えていた。姫様は身分は高くとも生活は苦しかった ある日、しばらく援助もしてくれなかった姫様の父君が屋敷に来いと言う。嫌がった姫様の代わりに父君の屋敷に行くことになってしまった…… 他サイトにも公開しています

灰かぶりの少年

うどん
BL
大きなお屋敷に仕える一人の少年。 とても美しい美貌の持ち主だが忌み嫌われ毎日被虐的な扱いをされるのであった・・・。

ひろいひろわれ こいこわれ ~華燭~

九條 連
BL
さまざまな問題を乗り越え、ヴィンセントの許で穏やかな日常を送る莉音に、ある日、1通のハガキが届く。 それは、母の新盆に合わせて上京する旨を記した、父方の祖父母からの報せだった。 遠く離れた九州の地に住む祖父母の来訪を歓迎する莉音とヴィンセントだったが、ふたりの関係を祖父に知られてしまったことをきっかけに事態は急変する。 莉音と祖父、そして莉音とヴィンセントのあいだにも暗雲が立ちこめ―― 『ひろいひろわれ こいこわれ』続編

イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が俺でした

天埜鳩愛
BL
☆本編番外編 完結済✨ 感想嬉しいです! 元バスケ部の俺が拾ったスマホのロック画は、ユニフォーム姿の“俺”。 持ち主は、顔面国宝の一年生。 なんで俺の写真? なんでロック画? 問い詰める間もなく「この人が最優先なんで」って宣言されて、女子の悲鳴の中、肩を掴まれて連行された。……俺、ただスマホ届けに来ただけなんだけど。 頼られたら嫌とは言えない南澤燈真は高校二年生。クールなイケメン後輩、北門唯が置き忘れたスマホを手に取ってみると、ロック画が何故か中学時代の燈真だった! 北門はモテ男ゆえに女子からしつこくされ、燈真が助けることに。その日から学年を越え急激に仲良くなる二人。燈真は誰にも言えなかった悩みを北門にだけ打ち明けて……。一途なメロ後輩 × 絆され男前先輩の、救いすくわれ・持ちつ持たれつラブ! ☆ノベマ!の青春BLコンテスト最終選考作品に加筆&新エピソードを加えたアルファポリス版です。

処理中です...