32 / 215
前世の私⑪
しおりを挟む
奥様が戻ってきて男の子の事を『竹彦』って呼んでた。
竹彦は奥様が色々話しているのに返事一つすることなかった。
感じ悪いやつやな。
奥様に話しかけられてるならちゃんと返事せんとあかんやろと思ったが、わざわざ関わる必要もないから黙ってた。
それより、私には手話が大事や。
明日からせなちゃんに特訓してもらわなあかんわ。
それにしても何がけったいな子や。
あんたの方がよっぽどけったいなおじさんやろって今度言ったろかな。
竹彦はあの日以降私と顔を合わすことがなかった。
学校にも行かずにふさぎ込んでいるらしい。
ご飯もらえてるんやから奥様に挨拶くらいしてるんやろか?
ちょっと気になったけど、人の事どうこうする趣味はない。それよりも手話だ。
せなちゃんに手話を教えてもらう時間は限られている。
まず参考書とか資料が欲しい。田舎だから図書館も全然取り寄せてくれない。
これは、大人の力を借りるしかない…。
私は奥様の部屋に行き直談判しに行った。
畳に頭をこすりつけて頼む。
「奥様、お願いがあります。手話のテキストを何種類か買ってください。勉強するためにどうしても欲しいんです。どうか、よろしくお願いします。」
奥様がまた珍しく驚いている。
あんまり笑わないけど最近仏頂面以外の表情をみるようになった。
そんなにあかんお願いしてしもたかな?でも本気で欲しいから…。
「なんや、何か頼みごとがあるって聞いたけどそれかいな。
あんた、年頃の女の子やったら流行の服とかキャラクターのカバンとか欲しがるんやと思ったんやけど。」
「へ?服は奥様からもらってる上等な服あります。キャラクターも小さい時からそんな可愛いもの見てないから何が可愛いのかさっぱり分かりません。
それより、テキストは…。」
「ああ、手話のテキストなあ。ちゃんと勉強するんかいな。」
「大事な友達の事あんなふうに言われたんです。私、無茶苦茶くやしいです。
ぜったい手話出来るようになるって決めました。絶対です。」
「なんや、女の意地みたいやな。」
「意地って何かわかりませんが、勝負みたいなもんです。絶対勝たないと駄目な勝負です。」
「くくくっ。相手があの人…あんたの父親っていうのが面白いな。
分かった、なんぼでもテキスト買ったらいい。」
「あ、ありがとうございます!明日早速せなちゃんに聞いていい本教えてもらいます!」
「ああ、けど今の人は何や動画で勉強するらしいな。なんちゃらチューブって言うんやろ?
手話って動いてるからそれ見た方が分かりやすいんやろうなあ。」
「どうなんでしょう?」
「それやったら、これあんたにあげるわ。あんたやったらちゃんと使うやろ。
オンラインっていうのか?それもつながってるらしいわ。」
奥様が棚からノートパソコンを持ってきてくれた。
「これならインターネットも見れるし、DVDも見れるらしいわ。
うちは携帯電話だけで今十分やし、これあんたにあげる。」
「ぱ、ぱ、ぱパソコン…。」こんなすごい物もらって良いんだろうか…?
「なんや、あんたでもそんな動揺することがあんねんな。いっつも、しらーっとしてたり無茶苦茶主張したりする姿しか知らんかったけど、面白い子やなあ。
そのパソコン商店街の電気屋さんで付き合いのために買ったもんやから遠慮せんと使い。」
やっぱり奥様は観音様なのかもしれない…。
パソコンをそっと畳に置いて奥様に手を合わせる。
「もう、仏さんやないんやから勝手に殺さんといて。普通にお礼を言いなさい。ほんま意味分からん子やわ。」
と言いながら呆れるように少し笑ってくれた。
竹彦は奥様が色々話しているのに返事一つすることなかった。
感じ悪いやつやな。
奥様に話しかけられてるならちゃんと返事せんとあかんやろと思ったが、わざわざ関わる必要もないから黙ってた。
それより、私には手話が大事や。
明日からせなちゃんに特訓してもらわなあかんわ。
それにしても何がけったいな子や。
あんたの方がよっぽどけったいなおじさんやろって今度言ったろかな。
竹彦はあの日以降私と顔を合わすことがなかった。
学校にも行かずにふさぎ込んでいるらしい。
ご飯もらえてるんやから奥様に挨拶くらいしてるんやろか?
ちょっと気になったけど、人の事どうこうする趣味はない。それよりも手話だ。
せなちゃんに手話を教えてもらう時間は限られている。
まず参考書とか資料が欲しい。田舎だから図書館も全然取り寄せてくれない。
これは、大人の力を借りるしかない…。
私は奥様の部屋に行き直談判しに行った。
畳に頭をこすりつけて頼む。
「奥様、お願いがあります。手話のテキストを何種類か買ってください。勉強するためにどうしても欲しいんです。どうか、よろしくお願いします。」
奥様がまた珍しく驚いている。
あんまり笑わないけど最近仏頂面以外の表情をみるようになった。
そんなにあかんお願いしてしもたかな?でも本気で欲しいから…。
「なんや、何か頼みごとがあるって聞いたけどそれかいな。
あんた、年頃の女の子やったら流行の服とかキャラクターのカバンとか欲しがるんやと思ったんやけど。」
「へ?服は奥様からもらってる上等な服あります。キャラクターも小さい時からそんな可愛いもの見てないから何が可愛いのかさっぱり分かりません。
それより、テキストは…。」
「ああ、手話のテキストなあ。ちゃんと勉強するんかいな。」
「大事な友達の事あんなふうに言われたんです。私、無茶苦茶くやしいです。
ぜったい手話出来るようになるって決めました。絶対です。」
「なんや、女の意地みたいやな。」
「意地って何かわかりませんが、勝負みたいなもんです。絶対勝たないと駄目な勝負です。」
「くくくっ。相手があの人…あんたの父親っていうのが面白いな。
分かった、なんぼでもテキスト買ったらいい。」
「あ、ありがとうございます!明日早速せなちゃんに聞いていい本教えてもらいます!」
「ああ、けど今の人は何や動画で勉強するらしいな。なんちゃらチューブって言うんやろ?
手話って動いてるからそれ見た方が分かりやすいんやろうなあ。」
「どうなんでしょう?」
「それやったら、これあんたにあげるわ。あんたやったらちゃんと使うやろ。
オンラインっていうのか?それもつながってるらしいわ。」
奥様が棚からノートパソコンを持ってきてくれた。
「これならインターネットも見れるし、DVDも見れるらしいわ。
うちは携帯電話だけで今十分やし、これあんたにあげる。」
「ぱ、ぱ、ぱパソコン…。」こんなすごい物もらって良いんだろうか…?
「なんや、あんたでもそんな動揺することがあんねんな。いっつも、しらーっとしてたり無茶苦茶主張したりする姿しか知らんかったけど、面白い子やなあ。
そのパソコン商店街の電気屋さんで付き合いのために買ったもんやから遠慮せんと使い。」
やっぱり奥様は観音様なのかもしれない…。
パソコンをそっと畳に置いて奥様に手を合わせる。
「もう、仏さんやないんやから勝手に殺さんといて。普通にお礼を言いなさい。ほんま意味分からん子やわ。」
と言いながら呆れるように少し笑ってくれた。
1
あなたにおすすめの小説
ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました
大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――
【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです
白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。
ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。
「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」
ある日、アリシアは見てしまう。
夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを!
「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」
「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」
夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。
自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。
ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。
※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。
わたしのヤンデレ吸引力が強すぎる件
こいなだ陽日
恋愛
病んだ男を引き寄せる凶相を持って生まれてしまったメーシャ。ある日、暴漢に襲われた彼女はアルと名乗る祭司の青年に助けられる。この事件と彼の言葉をきっかけにメーシャは祭司を目指した。そうして二年後、試験に合格した彼女は実家を離れ研修生活をはじめる。しかし、そこでも彼女はやはり病んだ麗しい青年たちに淫らに愛され、二人の恋人を持つことに……。しかも、そんな中でかつての恩人アルとも予想だにせぬ再会を果たして――!?
女の子がほとんど産まれない国に転生しました。
さくらもち
恋愛
何番煎じかのお話です。
100人に3~5人しか産まれない女の子は大切にされ一妻多夫制の国に産まれたのは前世の記憶、日本で亭主関白の旦那に嫁いびりと男尊女卑な家に嫁いで挙句栄養失調と過労死と言う令和になってもまだ昭和な家庭!でありえない最後を迎えてしまった清水 理央、享年44歳
そんな彼女を不憫に思った女神が自身の世界の女性至上主義な国に転生させたお話。
当面は2日に1話更新予定!
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
婚約解消されたら隣にいた男に攫われて、強請るまで抱かれたんですけど?〜暴君の暴君が暴君過ぎた話〜
紬あおい
恋愛
婚約解消された瞬間「俺が貰う」と連れ去られ、もっとしてと強請るまで抱き潰されたお話。
連れ去った強引な男は、実は一途で高貴な人だった。
責任を取らなくていいので溺愛しないでください
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
漆黒騎士団の女騎士であるシャンテルは任務の途中で一人の男にまんまと美味しくいただかれてしまった。どうやらその男は以前から彼女を狙っていたらしい。
だが任務のため、そんなことにはお構いなしのシャンテル。むしろ邪魔。その男から逃げながら任務をこなす日々。だが、その男の正体に気づいたとき――。
※2023.6.14:アルファポリスノーチェブックスより書籍化されました。
※ノーチェ作品の何かをレンタルしますと特別番外編(鍵付き)がお読みいただけます。
偉物騎士様の裏の顔~告白を断ったらムカつく程に執着されたので、徹底的に拒絶した結果~
甘寧
恋愛
「結婚を前提にお付き合いを─」
「全力でお断りします」
主人公であるティナは、園遊会と言う公の場で色気と魅了が服を着ていると言われるユリウスに告白される。
だが、それは罰ゲームで言わされていると言うことを知っているティナは即答で断りを入れた。
…それがよくなかった。プライドを傷けられたユリウスはティナに執着するようになる。そうティナは解釈していたが、ユリウスの本心は違う様で…
一方、ユリウスに関心を持たれたティナの事を面白くないと思う令嬢がいるのも必然。
令嬢達からの嫌がらせと、ユリウスの病的までの執着から逃げる日々だったが……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる