社内恋愛にご注意!!

ミミリン

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俺のマコ

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俺は優しくマコの手を握る。


「大丈夫?怖くない?」


「え?た、田所さん、手…。」

「うん。手握ってる。気持ち悪くない?」

「た、田所さんなら大丈夫です。」

よし、よし。良い反応。

「あのね、さっきの人に言ったように、平井さんは僕にとってとても大切な人なんだ。どういう意味か分かる?」


「え?えっと…。大切な後輩や同僚って言う意味ですか?」

「ちがうよ。そうじゃない。一人の女性として平井さんの事を大切に思っている。さっきの男と俺は違う。君が大切でなかなか言い出せなかったけどあんな状況見たらもう我慢しない。俺は君が好きだ。この気持ちは本当だよ。」

「…え?田所さんが私の事?好き?」

「そうだよ。平井さんは僕の事嫌いかな?」

「そ、そんなことありません。でも、田所さんカッコいいし優しいから彼女とかいると思っていて。まさかこんな地味な私が田所さんの眼中に入っているなんて思ってもみなかったです…。」


うん。まあ君が地味で俺がカッコいいのは合ってるけどね。
将来の事を考えると君のような地味な子の方が何かと都合が良いんだよ。

「そんな、ちょっとショックだな。俺、平井さんの頑張り屋さんなところすごく好きなのに。」

「ご、ごめんなさい。その、まだ夢の中で話しているような気がして…。」

俺はマコをぎゅっと抱きしめた。

「ほら、夢じゃないよ。分かった?」

あ~、甘い。少女漫画かよ。さっきの男とやってること変わんないんだけどな。イケメンフィルターかかると世間ってこんなもんだ。

相手が女子だらけで育った経験なしタイプだからこれくらい甘々の方が分かりやすいし落としやすいからな。

俺、天才かもしれない。

「怖かっただろ?俺も平井さんが怖い思いするのは困るから…。俺たち付き合わないか?」


「え?付き合う?田所さんと私が?」


「ふふっ。そうだよ。俺と平野さんが付き合う。俺はそうなったら嬉しいけど平井さんはだめかな?」

抱きしめていた腕を少し解いてマコの目を見つめて儚い表情を作って見せる。

この顔、普段とギャップがあるだろ?


「そ、そ、そんな。私なんかが田所さんと付き合えるなんて…。あの、本当にこれ現実ですか?まだ信じられない…。」

「じゃあ、これなら信じれる?」


俺はそっとマコの唇にキスを落とす。すごく優しいそっと触れるくらいのいやらしくないキスを。


マコは耳まで真っ赤になっていた。どれだけ経験ないんだよ、まったく。まあ、ちょっと、いや…これは可愛いな。


「信じました…。あの、ここ会社なんで…。その…。よろしくお願いします。」

真っ赤になりながらぺこりとお辞儀をするマコ。真面目かよ。

「付き合ってくれるって事?」

「は、はい。もちろんです。」照れすぎているのかずっと手で顔を覆っている。


「フフ。良かった。じゃあこれから彼氏と彼女だね。よろしく、マコ。」

さらりと平井さんから下の名前で呼んだ。マコの頭に俺の手を置いてぽんぽんと撫でる。

頭ぽんぽん撫でられるのが女子は好きなんだろ?ちょろいな。

「ああ、これからちゃんと付き合うけど、社内恋愛ってことはしばらく内緒でいてほしい。
ちゃんと準備が整ったらしっかり公表しよう。それまでマコの事は好きだけど他の人に話すのは控えてほしい。
仕事にプライベートが影響するのが男は大変なんだ。
でも、今日みたいに他の男が言い寄ってきたらすぐ教えて。絶対に〆に行くから。」


そう、もし別れたときに俺の事あれやこれや言われるリスクは低い方が良い。

でも他の男に手渡すことは絶対しないから。



「そ、そうなんですね。分かりました。男の人って仕事とプライベートは分けるんですね。」

「そうそう。そういうもんなんだよ。マコはあまり知らないかもしれないけどこれから教えてあげるね。」

「私…、男の人とちゃんとお付き合いしたことがないから分からないことだらけで…。田所さんに迷惑かけないよう…頑張ります。」

「フフフ。そうだね。がんばろう。色々教えるからね。」
マコ、今までよく人に騙されずに生きてこれたな。いや、騙されていたことにさえ気づいてないパターンか?


「ああ、マコ。今日みたいなことがあったら心配だから会社から出る時とか家に帰ったら連絡が欲しいな。
会社帰りにご飯とは誘われたらやっぱり心配だし。」

「あ、はい。分かりました。」

「変な束縛とかじゃないからね。マコの事がすごく心配だからだよ。」

「はい。何か、彼氏に心配してもらえるのってこんなに幸せなんですね?あ、彼氏とか言っちゃった。ごめんなさい。調子に乗りました。」マコが顔に手を当てて苦い顔をする。

その手を外し、俺の笑顔の顔をマコの顔面に近づける。


「俺はマコの彼氏。マコは俺の彼女。彼女は独り占めしたいのが男。分かった?」


マコは驚いた表情で真っ赤になり、小さな声で「…分かりました。」とうつむいて答えていた。


俺のドアップ顔面とこのセリフは破壊力ありすぎたかな?

まあ、この感じでマコの男避けの様子をしばらく見るか。

マコがぽろっと女友達に俺たちの事を言ったらすぐ広がるだろうし、そのうち女避けもしていかないといけないな。
うん。そうしよう。



この日から俺は晴れてマコの彼氏となった。そしてマコは俺の彼女になった。


それでもちょくちょくマコにアプローチをかけてきそうな男がまだまだいたから、同棲しようという話を早めに進めた。

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