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優良物件
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会社の花形部署である営業のしかも期待のエース。
それが先輩の田所義明さんだ。
顔よし、持ち物のセンス良し、上手く流行の小物も使い分けているしスタイルも崩れてないしむしろ細マッチョで理想的。
肌の手入れも行き届いているし何より仕事ができる。
契約本数も毎月トップだから査定もSS判定なはず。
ここまで良い物件なかなかいないわ。
彼女がいるかもしれないけど、奪っちゃえばいいのよ。
一回でも体の関係に持ち込めば妊娠したってことで結婚まで最短距離奪ったもん勝ちよこの世の中。
ああ、私って頭良すぎ。
実際、田所さんは初めはガードが固かったけどしばらくしてかなり私に甘くなった。
私からのアプローチもまんざらでない態度だし、きっと彼女と上手くいってないんだろうな。
マコ先輩にわざと面倒な仕事を完成させて田所さんの元に頼まれた仕事を持って行ったときには、すごく感謝されてお礼に今度食事でも行こうかって言ってもらえた。
マコ先輩にダメージ食らわせたし、田所さんにはかなり近づけたし、なかなか私調子いいんじゃない?
そう思っていたある日、同期入社の人たちで飲もうという話が挙がった。
同期の男たちってみんなスペック低いんだよね。
特にデザイン課の山根っていう男は身体だけ大きくて髭はもじゃもじゃ、だらしないボディだ。
声も小さいから何言っているか分からないし、はっきり言ってきもい。
何でこんな大手の会社に山根みたいな奴が入れたんだろ。
飲み会で私の隣に座ってジロジロ見てきたからはっきり言ってやった。
「山根って名前だよね。同期だからって気安く話しかけないでね。あんた結構きもいから。」って。
私勘違いで好かれて迫られても嫌だし、こういうのは始めが肝心だから。
山根はそれ以上何も話しかけてこなかった。なんか不気味なやつね。
その飲み会で衝撃的な事実を知ってしまった。
私の狙ってる田所さんがあのマコ先輩と同じ住所、つまり同棲しているってことを。
後ろから頭を殴られた感覚だったけど、徐々に意識が戻って来た。
「私人事部の配属だから知っちゃったんだけど、個人情報だから絶対言っちゃいけなかった。私が言ったって言わないでね。瑠美ちゃん、山根君頼むよ。」同期の女の子がお願いする。
「言うわけないじゃーん。え~でもびっくりだよね。同棲?いつ頃から?」ここで色々リサーチしちゃお。
「えっとね、確か…。」
「もう、それ以上言わない方が良いんじゃない?」山根がはっきりとした声で言い出した。
何こいつ、きもいくせに真面目ぶって。嫌な奴。
「あ、そ、そうだね。やだあたしったら。酔っちゃってる。ちょっと顔洗って酔い覚まして来る。」
人事部の女の子はそそくさと席を立った。
山根に邪魔されたけど、まあかなりすごい情報はもらえたな。
田所先輩もマコ先輩の美人でモテるところ見抜いてたのかな。ライバルがマコ先輩か…。
いや、今ならいけるんじゃない?今がチャンスなのかも。
次の日強引だけど誰にも相談できない事があるから個人的に時間を取って欲しいって田所さんに交渉してみた。
その日は田所さん、悩みながら断られちゃった。
ガードまだ堅かったかって悔しかったけど、その次の日田所さんからこっそり会社で呼ばれてお盆休暇の日に俺の家に来ていいよって言われちゃった。
これは、かなり幸先いいんじゃない?
私が田所さんの彼女で同棲相手がマコ先輩ってことを知っているのはあえて言わなかった。
ガセ情報かもしれないし、社内の人間で知っているってなったら警戒されて逃げられるかもしれないから。
でもでも、当日呼ばれた自宅に行ったら、ところどころ私が知ってるマコ先輩の私物があった。これは確定だな。
田所さんとマコ先輩の家には立派なパソコンが置いてあった。
流石田所さん、自宅でもこのパソコンを使って資料を作ってるんだ。やっぱり営業のトップは違う。
田所さんが用意してくれていたのは値の張るワインや百貨店で売っているような食材ばかりだった。
どれも人気で予約しないと手に入らないものばっかりじゃん。
「田所さん、こんなにおもてなししてもらってすみません。彼女さんと食べようとしていたんじゃないですか?」
探りを入れる。
「いや、いいんだ。自分一人で食べようとしていたから瑠美ちゃんが来てくれてすごく嬉しいよ。もう、ほとんど彼女とかじゃないし。さあ、二人でパーティだ。お盆休暇に乾杯しよう。」
用意されたグラスは有名なヨーロッパで作られているブランドのグラスだった。
これ、マコ先輩が買ったグラスかな?ごめんねマコ先輩。遠慮なくワインも食材も彼氏もいただきます!
それが先輩の田所義明さんだ。
顔よし、持ち物のセンス良し、上手く流行の小物も使い分けているしスタイルも崩れてないしむしろ細マッチョで理想的。
肌の手入れも行き届いているし何より仕事ができる。
契約本数も毎月トップだから査定もSS判定なはず。
ここまで良い物件なかなかいないわ。
彼女がいるかもしれないけど、奪っちゃえばいいのよ。
一回でも体の関係に持ち込めば妊娠したってことで結婚まで最短距離奪ったもん勝ちよこの世の中。
ああ、私って頭良すぎ。
実際、田所さんは初めはガードが固かったけどしばらくしてかなり私に甘くなった。
私からのアプローチもまんざらでない態度だし、きっと彼女と上手くいってないんだろうな。
マコ先輩にわざと面倒な仕事を完成させて田所さんの元に頼まれた仕事を持って行ったときには、すごく感謝されてお礼に今度食事でも行こうかって言ってもらえた。
マコ先輩にダメージ食らわせたし、田所さんにはかなり近づけたし、なかなか私調子いいんじゃない?
そう思っていたある日、同期入社の人たちで飲もうという話が挙がった。
同期の男たちってみんなスペック低いんだよね。
特にデザイン課の山根っていう男は身体だけ大きくて髭はもじゃもじゃ、だらしないボディだ。
声も小さいから何言っているか分からないし、はっきり言ってきもい。
何でこんな大手の会社に山根みたいな奴が入れたんだろ。
飲み会で私の隣に座ってジロジロ見てきたからはっきり言ってやった。
「山根って名前だよね。同期だからって気安く話しかけないでね。あんた結構きもいから。」って。
私勘違いで好かれて迫られても嫌だし、こういうのは始めが肝心だから。
山根はそれ以上何も話しかけてこなかった。なんか不気味なやつね。
その飲み会で衝撃的な事実を知ってしまった。
私の狙ってる田所さんがあのマコ先輩と同じ住所、つまり同棲しているってことを。
後ろから頭を殴られた感覚だったけど、徐々に意識が戻って来た。
「私人事部の配属だから知っちゃったんだけど、個人情報だから絶対言っちゃいけなかった。私が言ったって言わないでね。瑠美ちゃん、山根君頼むよ。」同期の女の子がお願いする。
「言うわけないじゃーん。え~でもびっくりだよね。同棲?いつ頃から?」ここで色々リサーチしちゃお。
「えっとね、確か…。」
「もう、それ以上言わない方が良いんじゃない?」山根がはっきりとした声で言い出した。
何こいつ、きもいくせに真面目ぶって。嫌な奴。
「あ、そ、そうだね。やだあたしったら。酔っちゃってる。ちょっと顔洗って酔い覚まして来る。」
人事部の女の子はそそくさと席を立った。
山根に邪魔されたけど、まあかなりすごい情報はもらえたな。
田所先輩もマコ先輩の美人でモテるところ見抜いてたのかな。ライバルがマコ先輩か…。
いや、今ならいけるんじゃない?今がチャンスなのかも。
次の日強引だけど誰にも相談できない事があるから個人的に時間を取って欲しいって田所さんに交渉してみた。
その日は田所さん、悩みながら断られちゃった。
ガードまだ堅かったかって悔しかったけど、その次の日田所さんからこっそり会社で呼ばれてお盆休暇の日に俺の家に来ていいよって言われちゃった。
これは、かなり幸先いいんじゃない?
私が田所さんの彼女で同棲相手がマコ先輩ってことを知っているのはあえて言わなかった。
ガセ情報かもしれないし、社内の人間で知っているってなったら警戒されて逃げられるかもしれないから。
でもでも、当日呼ばれた自宅に行ったら、ところどころ私が知ってるマコ先輩の私物があった。これは確定だな。
田所さんとマコ先輩の家には立派なパソコンが置いてあった。
流石田所さん、自宅でもこのパソコンを使って資料を作ってるんだ。やっぱり営業のトップは違う。
田所さんが用意してくれていたのは値の張るワインや百貨店で売っているような食材ばかりだった。
どれも人気で予約しないと手に入らないものばっかりじゃん。
「田所さん、こんなにおもてなししてもらってすみません。彼女さんと食べようとしていたんじゃないですか?」
探りを入れる。
「いや、いいんだ。自分一人で食べようとしていたから瑠美ちゃんが来てくれてすごく嬉しいよ。もう、ほとんど彼女とかじゃないし。さあ、二人でパーティだ。お盆休暇に乾杯しよう。」
用意されたグラスは有名なヨーロッパで作られているブランドのグラスだった。
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