社内恋愛にご注意!!

ミミリン

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私の部下

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最近義明は接待飲み会が続いてるみたいで一緒に住んでいてもあんまり喋ることはない。


リビングに居てもずっと携帯見ているし『よっしゃ!ゲット!』とか言ってるから何か課金ゲームでもやってるのかな?


まあ、趣味の範囲だったら良いか。私もコスメとかファッションに課金してるしね。


付き合ってること社内の人に宣言したあの日、家に帰ってからむちゃくちゃ不機嫌だったけど仕方ないもん。

瑠美は悪くない。


気安く女の子に気を持たせるような事を言ってた義明が完全に悪い。


ドアを閉める音とか無駄に乱暴だし、わざとらしいため息とかついていたけどそんなの知らない。

いつかバレるんだし良いじゃん。


そのうち結婚するでしょ。瑠美婚活とかもうめんどくさいから早く結婚したいなー。



それに最近、私に運が回ってきた感じ。



この前、営業の内勤にパートさんを補充するって課長から教えてもらった。


パートって事は社員の私より格下って事でしょ。


私の部下みたいなものじゃん。何でも言うこと聞いてくれる人でしょ?


その人に仕事やってもらって報告だけ瑠美がすれば瑠美がやったって事になるわけだ。


瑠美あったま良いわ。



数週間後、パートの人が補充で入ってきた。



パートって言うくらいだからどっかのおばさんって思ってたけど、大人しい感じの20代前半の女の子だった。



名前は滝野瀬恵(たきのせめぐみ)。




コスメ、ファッション、美容、骨格…あらゆる美に対する目を肥やした私なら分かる。


この子、磨けば光っちゃう子だ。


だめだめだめ。この部署にヒロインは二人もいらないから。


しかし、芋臭い子だな。今どきこんな昭和っぽい服着てる同世代っているんだ。


あれ?でもあの服バーベリーじゃない?


持ってるかばんもダサいけど年代物のブランドだ。

げ…。

けどデスクに出されたペンケースはキャラ物のくすんだ貧乏っぽいものだ。


何か、ちぐはぐ感のある子だな。


彼氏がいるかどうかだけでも聞いておくか。


「近藤です。これからよろしくね。分からないことがあったら聞いてね。」


「滝野瀬です。よろしくお願いします。近藤さんがすごく綺麗な方でびっくりしてます。」


「え~、そんなことないよ~。滝野瀬さんも綺麗だよ~。」


これは社交辞令。女はこうやってお互い探りを入れるのが鉄則。


「あっあのね。初日に聞いておきたいの。滝野瀬さんって彼氏いる?」


「え?彼氏ですか?」


「ああ、ごめんね。私、取引先の人とかに合コンセッティングしてほしいとかすっごく頼まれやすいの。それに友達紹介してよとかさ。滝野瀬さん可愛いから声掛けても良いのかなって思って。先に聞いておいたらお互い良いかなって。」


あんたみたいな芋臭い女絶対紹介とかしないけどね。

まあ、合コンの引き立て役には良いのかもしれないけど、まだスペックとか分からないから彼氏いるいないで私の対応も変えなくちゃいけないの。

さあ、早く教えなさいよ。


「えっと、内緒にしていてもらえますか?」


何よ、彼氏歴ゼロって感じ?そうっぽいよね。


「大丈夫。私口固いから。教えてくれる?」


「あの、私今婚約中なんです。大学卒業してすぐ婚約したので就労経験がないのが恥ずかしかったんです。それでパートでもまずやってみようって思ってこちらにお世話になる事になりました。」


「こ、こ、婚約?」何それ、その歳で婚約?何時代から来たんだこの子?ああ、だからか。


女同士の醜い生存競争に身を置いたことがないんだ。だからこんな世間知らずな感じなんだ。


へえ~、ってことは多少理不尽な事言っても理不尽て理解できないのかも。


それは私にとって都合がいいじゃん。OK。この子合格!って事で私というヒロインのために頑張ってもらおう。


その日から私は滝野瀬さんにすべてのマニュアルを渡した。


「これ、全部読み込んでおいてね。分からないところあったら課長に聞いて。」


「え?これ全部ですか?さっき近藤さん何でも聞いてって…。」


「あの~、私めちゃくちゃ忙しいわけ。暇じゃないんだよね。内勤で取引先の対応できるって華やかな私しかいないでしょ?だから一ノ瀬さんはう・ら・か・た。パートさんだし無理しない程度に頑張ってね。でもちゃんとやってね~。」



そう言って、マニュアルの山に囲まれた一ノ瀬さんを置いて退室した。


はあ~すっきり。



あんな冴えない子が私に文句言ったって誰も相手しないでしょ。



だって営業のヒロインは私なんだもん。


さーて、久々に新作コスメのネットパトロールでもしよっかな~。

お金使い切ったけどまた買い物リスト作っておかなくっちゃ。







ー-------


「課長、相談があります。これはどうすればいいですか?」



「ああ、やっぱり近藤さんはこうなるか…。ごめんね。滝野瀬さんに負担にならないように助っ人手配するからね。」





「…よろしくお願いします。」

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