社内恋愛にご注意!!

ミミリン

文字の大きさ
79 / 107

一緒に買い物

しおりを挟む
16時過ぎたころ、めぐちゃんが初めてデザイン課に顔を出した。


何か、おどおどした感じだ。


「マコさん、すみません、仕事中。」

「めぐちゃん、どうしたの?もう仕事終わりだよね。」


「そうなんですけど、田所さんのこと気になっちゃって。もし早めに有給とれるなら一緒に帰りたいなって言いに来たんです。でも、忙しいですよね。」


「めぐちゃん…、心配してくれてありがとう。あのね、山根君が一緒に帰ってくれることになったの。実はすごく私たち自宅近かったんだ。」

同じマンションということやぽんちゃんの散歩までは言わなかった。

山根君の個人情報にもなるからそこは慎重に。


「ああ、そうなんですか?じゃあ大丈夫だ。安心しました。」


「ごめんね、早めに連絡すればよかったね。心配かけちゃった。」


「大丈夫です。仕事中ですから。じゃあ、私はこれで失礼します。」


「誰?アポなしで誰か来たの?」私たちの声が聞こえたのか滝川さんが覗きに来た。


「あ、滝川さん。彼女今営業部に来てくれている滝野瀬恵ちゃんです。」


「あ、えっと…。どうも…。」


「…。どうも…。」


「お二人何か名前似てますね。」

「滝だけじゃん。」


「…じゃあ私帰りますね。山根さんによろしくお伝えください。」


「あ、うん。分かった。めぐちゃんありがとうね。」


「いえ、じゃあお疲れ様です。」めぐちゃんはそそくさと帰っていった。


「滝川さん、めぐちゃん可愛いでしょ。すごく良い子なの。料理上手だし婚約者さんの事いつも嬉しそうに話してくれるんだ。」


「…。へえ、そう。」


「うん。きっと滝川さんも良い子だって思うよ。絶対。」


「部署が違うから関わりないよ。で、平井さんも山根君も今日から早めに帰るんでしょ。じゃあ、今頑張らないといけないんじゃない?」


「あ、そうだ!よし!頑張りますか!」私が腕まくりすると


「力はいりすぎ。」と滝川さんの冷静な突っ込みが入った。






その日の夜、山根君と帰宅してもらった。


電車に乗るときとか、謎の距離感があって山根君に尾行されているみたいだから一緒に歩いてほしいと頼んだ。


一緒に電車に乗って隣の山根君をちらりと覗き込む。


「山根君、痩せた?」


手足がもともと長かったんだろうけど、ほっそりしたからかものすごくスタイルが良くなっている。

顔も小さい気がする。髪の毛と髭であまりよく分らないけど。


「あ、そうなんです。平井さんのご飯のおかげです。すごく体調良いんですよ。」


自分のおかげだとさらりと言われると嬉しくて照れてしまう。


「そうだ、米とか調味料とか重い物買いますよね。俺持ちますよ。俺の弁当作ってもらってるんだし、お金も払いたいんで。」


「いやいや、お金なんてもらえないよ。山根君にすごくお世話になってるし甘えてるんだからもらえる訳ないよ。」


「…けど、平井さんの負担になるの嫌なんですよ。」

山根君は私が困りそうと思った時は結構頑固だ。それだけ優しいって事なんだけど。



「じゃあ、マンション行くまでに買い物しようと思ってたから荷物一緒に持ってもらっても良いかな?」


「もちろんです。」


良かった。荷物持ちで納得してもらおう。

ついでにどんな食材が好きかスーパーで実際選んでもらうのも良いな。


ちょっと買い物が楽しみになってきた。


比べちゃいけないけど、田所さんの時はヒールでお米を運んだり、重いビールの箱運んだりと一人で全部やらなくちゃいけなかったんだよね。

山根君の気遣いがありがたいな。


スーパーでは一緒にカートを押してスーパーを歩く。


昔からあるおやつを見て一緒になつかしんだり、綺麗なパッケージを見て二人で感動したり。

男の人と買い物するのってこんな楽しかったんだって思った。


山根君だからだろうな。


スーパーから出る時もさりげなく重い荷物ばかり入った袋を持ってくれた。




「じゃあ、俺は2階なんで階段で帰ります。ぽんちゃんの散歩は19時半って言ってましたよね。それくらいになったらエントランスに居ておきます。無理だったら連絡ください。」


そう言って階段を使って帰って行った。




ぽんちゃんの散歩も人気が少ないところは派手なスポーツウエアを着た山根君が一緒に歩いてくれる。

ぽんちゃんも嬉しそうだ。


ぽんちゃんのサロン周辺は別行動って言って山根君はジョギングをするために走り去って、またちょうどいいくらいの時間に戻ってきてくれた。




こんな至れり尽くせりで良いのかな…。

しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

偽装夫婦

詩織
恋愛
付き合って5年になる彼は後輩に横取りされた。 会社も一緒だし行く気がない。 けど、横取りされたからって会社辞めるってアホすぎません?

隠れオタクの女子社員は若社長に溺愛される

永久保セツナ
恋愛
【最終話まで毎日20時更新】 「少女趣味」ならぬ「少年趣味」(プラモデルやカードゲームなど男性的な趣味)を隠して暮らしていた女子社員・能登原こずえは、ある日勤めている会社のイケメン若社長・藤井スバルに趣味がバレてしまう。 しかしそこから二人は意気投合し、やがて恋愛関係に発展する――? 肝心のターゲット層である女性に理解できるか分からない異色の女性向け恋愛小説!

【完結】指先が触れる距離

山田森湖
恋愛
オフィスの隣の席に座る彼女、田中美咲。 必要最低限の会話しか交わさない同僚――そのはずなのに、いつしか彼女の小さな仕草や変化に心を奪われていく。 「おはようございます」の一言、資料を受け渡すときの指先の触れ合い、ふと香るシャンプーの匂い……。 手を伸ばせば届く距離なのに、簡単には踏み込めない関係。 近いようで遠い「隣の席」から始まる、ささやかで切ないオフィスラブストーリー。

ベッドの隣は、昨日と違う人

月村 未来(つきむら みらい)
恋愛
朝目覚めたら、 隣に恋人じゃない男がいる── そして、甘く囁いてきた夜とは、違う男になる。 こんな朝、何回目なんだろう。 瞬間でも優しくされると、 「大切にされてる」と勘違いしてしまう。 都合のいい関係だとわかっていても、 期待されると断れない。 これは、流されてしまう自分と、 ちゃんと立ち止まろうとする自分のあいだで揺れる、ひとりの女の子、みいな(25)の恋の話。 📖全年齢版恋愛小説です。 ⏰毎日20:00に1話ずつ更新します。 しおり、いいね、お気に入り登録もよろしくお願いします。

【完結】育てた後輩を送り出したらハイスペになって戻ってきました

藤浪保
恋愛
大手IT会社に勤める早苗は会社の歓迎会でかつての後輩の桜木と再会した。酔っ払った桜木を家に送った早苗は押し倒され、キスに翻弄されてそのまま関係を持ってしまう。 次の朝目覚めた早苗は前夜の記憶をなくし、関係を持った事しか覚えていなかった。

ハイスペックでヤバい同期

衣更月
恋愛
イケメン御曹司が子会社に入社してきた。

甘い束縛

はるきりょう
恋愛
今日こそは言う。そう心に決め、伊達優菜は拳を握りしめた。私には時間がないのだと。もう、気づけば、歳は27を数えるほどになっていた。人並みに結婚し、子どもを産みたい。それを思えば、「若い」なんて言葉はもうすぐ使えなくなる。このあたりが潮時だった。 ※小説家なろうサイト様にも載せています。

【完結済】25億で極道に売られた女。姐になります!

satomi
恋愛
昼夜問わずに働く18才の主人公南ユキ。 働けども働けどもその収入は両親に搾取されるだけ…。睡眠時間だって2時間程度しかないのに、それでもまだ働き口を増やせと言う両親。 早朝のバイトで頭は朦朧としていたけれど、そんな時にうちにやってきたのは白虎商事CEOの白川大雄さん。ポーンっと25億で私を買っていった。 そんな大雄さん、白虎商事のCEOとは別に白虎組組長の顔を持っていて、私に『姐』になれとのこと。 大丈夫なのかなぁ?

処理中です...