50 / 100
第1章
第46話 接敵直前…
しおりを挟む
「ノノーキル!ちょっと手を貸してくれ!」
腰が抜けて立ち上がれないキャナタは、地面を這う様にして村の入り口に到着する。
「キャナタ?おいおい、どうしたんだ?何かあったのか?」
ノノーキルが、そんなキャナタに近寄り、肩を貸して立ち上がらせる。
「あったんだよ!お前らみんな、今すぐ村の中に入れ!」
キャナタは、青い顔をそう叫ぶ。
他の村人は、なにが起きているのか分からず、皆首を傾げていた。
「キャナタ…いきなりなにを言ってるんだ?もうすぐ定期便が到着するんだぞ?土煙が上がってるから何かあったら大変だって、みんな集まったんじゃないか…それを…」
「だからだよ!今、ボンが魔法を使ったんだ!俺には何の魔法か分からなかったが、あれは俺たちじゃどうにも出来ない!巻き込まれる前に、早く村の中に入ってくれ!!」
泣きそうな顔でキャナタは叫ぶ。
その必死さに、集まっていた村人は、少しづつ村の中に戻って行った。
キャナタも、ノノーキルに肩を借りながら、村の中に急いで戻って行った。
…
ただ1人、門番をしているレクレットだけは、門の外に残ると言って聞かなかった…
門の前に、レクレットさんだけが残り、他の人が居なくなったのを見て、俺は彼に近づいていく。
「止まれ!ボン!お前、いったい何をした!!」
まぁそうなるよね…レクレットさん達からしたら、無茶なことをしている様にしか見えないだろうから…
「村を守るために、俺がやれることをやってるんです。それがなにか?」
「すまないが信用できん!キャナタの怯えようは相当…」
「問答している時間はありません。向こうを見て下さい。もうすぐ馬車が見えてきます。そして、その向こうに…」
ドドドドドド…
足の裏に、地響きの様な振動を感じ始めた…
「おい…ボンお前…」
『情報提示。対象集団の速度上昇。5分で到達します。』
ナビさんの声に俺も顔を向けると、木々の向こうに、土煙が迫ってきているのが見えた。
『情報提示。敵性体の種類を提示します。追跡狼、快速蜘蛛、走小鬼、走大鬼…』
次々と報告される魔物の情報に、俺は頭が痛くなった。
今まで会っていないゴブリン系や、オーガ系も魔物も、相当な数がいる…
何の準備もしていなかったら、どれだけの被害が出ていたか分からない…
「もうすぐ来ますね…定期便の人達は…俺が何とかします。レクレットさんも早く中へ入ってください。」
「…いや、俺はここを守る。それが俺の仕事だ…」
「レクレットさ…分かりました。その代わり、定期便の人達を誘導してあげてください。死なせたくないですから…」
レクレットさんを説得するのは諦め、俺は門から離れるように街道を走る。
もう、話をしている時間はない…
(ナビさん、街道の左右に毒液の檻を展開させる。範囲指定は任せるからね。)
『要請受諾。展開範囲確定しました。』
「…毒液の檻!」
街道の左右に、膝下高の薄黄色の毒液の壁が出来上がっていくのだが、毒蔦を成長させた時と同じく、体に痺れが走る…さっきよりも辛い…
少し頭痛もしてきた…
『情報提示。展開完了しました。』
ナビさんに言われて、力を込めるのをやめるが、頭痛は治るどころか酷くなっていく…
…ガラガラガラガラ!
馬車が走る音も聞こえてきた…
顔を上げると、まだ小さくだが、確実にこちらに近づく小さな点が見える。
その後ろには、大小様々な魔物らしき姿も…
(ナビさん。魔物と馬車の間はどのくらいの距離がある?)
『回答提示。20m程度あります。』
(敵の総数は?変化してるか?)
『回答提示。総数186…1体倒されましたので185です。』
護衛の冒険者が狩っているのか?
でも、元の数より増えているようだ…
『情報提示。最終工程の準備をして下さい。』
考えるのは後…全部片付けて、それからでいい。
俺は門から離れる様に少し進むと、街道の左右に毒蔦縛を薄く広く展開、その上に毒麻痺霧で見えない壁を作り出す。
後はタイミングだけ…
ガラガラガラガラ!!
「…危ないぞ!!逃げろ!!!!」
御者台に座っていた男が、俺に気がついたらしく声を上げる。
もう逃げられる状況じゃないけどな…
馬車が通れる様に道を開けると、御者台の男が尚も声を上げた。
「ダメだ!!魔物の群れだぞ!!逃げてくれ!!!」
逃げた方がいいのは知っている…俺も何でこんなことをしているのか不思議だけど…もう逃げるには…遅いだろ?
「この先は安全だ!!スピードを落としてくれ!!」
御者台の男に聞こえるように、出来るだけ大声を出した。
その声が聞こえたのかはわからないが、馬車は俺の横を猛スピードで駆け抜けていく。
止まれないかも知れないけど、そこまで責任持てないから…知らん!!
「ナビさん!頼んだよ!!…毒液の檻!!!」
自分を中心に魔法を展開する。
もう、魔物の顔もはっきり見て取れる距離だ…
ジワジワと薄黄色の毒液が地面を這い、5mほど離れた位置で立ち上がり始めた。
ーーーー
作者です。
これで準備は終わりました。
準備だけで時間使い過ぎですね…
感想その他、お時間あれば是非。
腰が抜けて立ち上がれないキャナタは、地面を這う様にして村の入り口に到着する。
「キャナタ?おいおい、どうしたんだ?何かあったのか?」
ノノーキルが、そんなキャナタに近寄り、肩を貸して立ち上がらせる。
「あったんだよ!お前らみんな、今すぐ村の中に入れ!」
キャナタは、青い顔をそう叫ぶ。
他の村人は、なにが起きているのか分からず、皆首を傾げていた。
「キャナタ…いきなりなにを言ってるんだ?もうすぐ定期便が到着するんだぞ?土煙が上がってるから何かあったら大変だって、みんな集まったんじゃないか…それを…」
「だからだよ!今、ボンが魔法を使ったんだ!俺には何の魔法か分からなかったが、あれは俺たちじゃどうにも出来ない!巻き込まれる前に、早く村の中に入ってくれ!!」
泣きそうな顔でキャナタは叫ぶ。
その必死さに、集まっていた村人は、少しづつ村の中に戻って行った。
キャナタも、ノノーキルに肩を借りながら、村の中に急いで戻って行った。
…
ただ1人、門番をしているレクレットだけは、門の外に残ると言って聞かなかった…
門の前に、レクレットさんだけが残り、他の人が居なくなったのを見て、俺は彼に近づいていく。
「止まれ!ボン!お前、いったい何をした!!」
まぁそうなるよね…レクレットさん達からしたら、無茶なことをしている様にしか見えないだろうから…
「村を守るために、俺がやれることをやってるんです。それがなにか?」
「すまないが信用できん!キャナタの怯えようは相当…」
「問答している時間はありません。向こうを見て下さい。もうすぐ馬車が見えてきます。そして、その向こうに…」
ドドドドドド…
足の裏に、地響きの様な振動を感じ始めた…
「おい…ボンお前…」
『情報提示。対象集団の速度上昇。5分で到達します。』
ナビさんの声に俺も顔を向けると、木々の向こうに、土煙が迫ってきているのが見えた。
『情報提示。敵性体の種類を提示します。追跡狼、快速蜘蛛、走小鬼、走大鬼…』
次々と報告される魔物の情報に、俺は頭が痛くなった。
今まで会っていないゴブリン系や、オーガ系も魔物も、相当な数がいる…
何の準備もしていなかったら、どれだけの被害が出ていたか分からない…
「もうすぐ来ますね…定期便の人達は…俺が何とかします。レクレットさんも早く中へ入ってください。」
「…いや、俺はここを守る。それが俺の仕事だ…」
「レクレットさ…分かりました。その代わり、定期便の人達を誘導してあげてください。死なせたくないですから…」
レクレットさんを説得するのは諦め、俺は門から離れるように街道を走る。
もう、話をしている時間はない…
(ナビさん、街道の左右に毒液の檻を展開させる。範囲指定は任せるからね。)
『要請受諾。展開範囲確定しました。』
「…毒液の檻!」
街道の左右に、膝下高の薄黄色の毒液の壁が出来上がっていくのだが、毒蔦を成長させた時と同じく、体に痺れが走る…さっきよりも辛い…
少し頭痛もしてきた…
『情報提示。展開完了しました。』
ナビさんに言われて、力を込めるのをやめるが、頭痛は治るどころか酷くなっていく…
…ガラガラガラガラ!
馬車が走る音も聞こえてきた…
顔を上げると、まだ小さくだが、確実にこちらに近づく小さな点が見える。
その後ろには、大小様々な魔物らしき姿も…
(ナビさん。魔物と馬車の間はどのくらいの距離がある?)
『回答提示。20m程度あります。』
(敵の総数は?変化してるか?)
『回答提示。総数186…1体倒されましたので185です。』
護衛の冒険者が狩っているのか?
でも、元の数より増えているようだ…
『情報提示。最終工程の準備をして下さい。』
考えるのは後…全部片付けて、それからでいい。
俺は門から離れる様に少し進むと、街道の左右に毒蔦縛を薄く広く展開、その上に毒麻痺霧で見えない壁を作り出す。
後はタイミングだけ…
ガラガラガラガラ!!
「…危ないぞ!!逃げろ!!!!」
御者台に座っていた男が、俺に気がついたらしく声を上げる。
もう逃げられる状況じゃないけどな…
馬車が通れる様に道を開けると、御者台の男が尚も声を上げた。
「ダメだ!!魔物の群れだぞ!!逃げてくれ!!!」
逃げた方がいいのは知っている…俺も何でこんなことをしているのか不思議だけど…もう逃げるには…遅いだろ?
「この先は安全だ!!スピードを落としてくれ!!」
御者台の男に聞こえるように、出来るだけ大声を出した。
その声が聞こえたのかはわからないが、馬車は俺の横を猛スピードで駆け抜けていく。
止まれないかも知れないけど、そこまで責任持てないから…知らん!!
「ナビさん!頼んだよ!!…毒液の檻!!!」
自分を中心に魔法を展開する。
もう、魔物の顔もはっきり見て取れる距離だ…
ジワジワと薄黄色の毒液が地面を這い、5mほど離れた位置で立ち上がり始めた。
ーーーー
作者です。
これで準備は終わりました。
準備だけで時間使い過ぎですね…
感想その他、お時間あれば是非。
0
あなたにおすすめの小説
私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。
小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。
「マリアが熱を出したらしい」
駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。
「また裏切られた……」
いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。
「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」
離婚する気持ちが固まっていく。
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~
二階堂吉乃
恋愛
同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。
1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。
一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。
巻き込まれた薬師の日常
白髭
ファンタジー
神に選ばれ、魔素の循環する界へと送り込まれたのは――現代の薬師。
剣も魔法も扱えない彼が憑依したのは、戦闘力ゼロの商人見習いの少年だった。
彼の武器は、知識と経験。商品を生み出し、人脈を築き、産業を広げていく。
「居場所を見つけたい」その願いが、やがて世界を変える力となる。
これは、一人の薬師が紡ぐ研究と開発、そして成長の物語。
【カクヨムでも掲載しています】
表紙は紹介文をもとに、ai【adobe firefly】で作成したものです。(参考程度に……)
転生無双なんて大層なこと、できるわけないでしょう! 公爵令息が家族、友達、精霊と送る仲良しスローライフ
幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中
ファンタジー
アルファポリス様より書籍化!
転生したラインハルトはその際に超説明が適当な女神から、訳も分からず、チートスキルをもらう。
どこに転生するか、どんなスキルを貰ったのか、どんな身分に転生したのか全てを分からず転生したラインハルトが平和な?日常生活を送る話。
- カクヨム様にて、週間総合ランキングにランクインしました!
- アルファポリス様にて、人気ランキング、HOTランキングにランクインしました!
- この話はフィクションです。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる