夫婦で異世界放浪記

片桐 零

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第1章

第54話 後片付け、ラスト

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「いで!え?へ?」

頭に衝撃を受けて、俺の意識は覚醒する。

「なんでぼんは寝てるかな?」

「え?あれ?今ナフタが…」

「誰もいないでしょ!それより、私怒ってるんですけど!?」

腕組みをして、仁王立ちしている優子マメを見れば、怒ってるのは何と無くわかる…が…なんでだ?

「また怪我して戻ってきて!危ないからやめてって言ったよね!?ぼんは聞いてなかったの!?」

過去にないくらい怒ってる…
魔物モンスター相手にするよりキツイんですけど…

「あの、マメさん。怪我してるみたいだし、まずは治療を…」

「シーちゃんは黙ってて!」

「はい!」

うん、なんかシーホとの距離が縮まっている気がするけど…
今はそれどころじゃないんだろうね…

「えっと…ごめんなさい…」

「なにが?なにに対しての謝罪なわけ?」

優子マメの忠告を無視して、怪我して戻った…ことです…」

今の話を聞いてる限り、それっぽいことに怒ってる気がする…
あ、違うみたい…

「そんなの今私が言ったことまんまじゃん!何にも分かってない!!ぼんはそういうとこあるよ!?前だって…」

…そこから結構な時間をかけて、黒歴史にしたい事や、忘れていたような昔のことまで掘り返されて、小1時間以上も説教が続いてしまった…
少し視線を他に移すだけで、話がドンドン長くなるしね…

「大体ぼんは…」

「はい。そろそろ止めて上げましょう?もうボンさんも十分分かっているでしょうし。ね?そうですよね?」

ロールさんが見かねたのか、優子マメを止めてくれる。
助かった、本当に助かった。

「はい!もうしません!」

深々と頭を下げてそう言ったのだが、どうだろうか…?

「…もうしないなら、今回は許す…傷、見せて…」

よかった…
この後、優子マメに傷を治してもらい、何があったのかを全員に話すことになった。

「…という訳で、俺が行かないと多分被害が凄いことになってたと思うんだよ…ね?」

一通り話終わり、様子を伺ってみるが、誰1人として反応がない…
仕方なく待っていると、キャナタさんが口を開いた。

「ボンよ…1人でどうにか出来る量じゃないぞ…」

「そうみたいですね…今の反応を見たら分かります…」

冷静になると、やばい事だったのは俺でも分かる。
3桁って…

「そりゃ、助けて貰ったのは俺たちだが…無茶のし過ぎだな。マメが怒っても仕方ない。」

「はい。反省してます…」

「ま、みんな無事だったんだ、誰も死んでいないことをまずは喜ぼう!な!」

キャナタさんに励まされながら、まだ少し怒っているらしい優子マメを見る。
まだ機嫌は治らないみたいだけど、少しは納得してくれたのかな…

その後は、キャナタさんが酒を色々持ってきてくれて、みんなで生き残ったお祝いをした。

そして、少し早めに部屋に戻り、その日は眠ることにした。
色々疲れたからね…


ーーーー

その日の夜。

疾風蟷螂サイマンティスを倒し、周辺の安全確認を済ませたガジャノとルルヘットは、村の入り口で出会ったノノーキルと暗い村の道を歩いていた。

「いやー何年ぶりだ?俺がこっちに戻ってきて以来だから、3年?いや5年か?」

懐かしい顔を見て、テンションの上がったノノーキルは、いつも以上に饒舌になっていた。

「ノノってば、もうボケたの?3年も経っていないわよ。」

「そうか?ルルのし…」

ブォン!

「あ?何か言おうとした?」

ノノーキルの言葉を遮るように、ルルヘットの戦斧が振るわれる。
ノノーキルの眼前を通り過ぎた戦斧は、綺麗な弧を描いてルルヘットの肩に乗る。

「…いえ…何も…」

「そう?気のせいならいいのよ?…次はないけどね…」

ルルヘットは、肩に乗せた戦斧を魔法鞄マジックバックに収納すると、笑顔に戻った。

「それで?あの、ボンって子のことよ。前にも何かしたの?」

「ん?あ、おお、そうなんだよ。前は豚男ピッグマンを3体以上、それも今回と同じように短時間で倒していてな…今考えれば、あの時俺が倒した弱ったやつは、ボンが何かしてくれていたのかもと思っちまうよ。」

「なになに?ノノ!それ、詳しく!」

ノノーキルに詰め寄って、ボンのことを聞き出したルルヘットは、面白そうに口角を吊り上げると、紹介しろと言い出した。

「わざわざ紹介しなくても、これから行くとこで多分会えるから、そう焦んなって。」

「もう!だったら早く行きましょう!ほら、急いでってば!」

ノノーキルの腕を引っ張りながら、ルルヘットはズンズン進んで行く。
ガジャノは、会話に入るでもなく、彼等の後ろを黙ってついて行った。

角を曲がり、酒場の光が見えてくると、ルルヘットは我慢できずに走って行ってしまう。

「やっほー!…あれ?いないじゃない?ちょっと、ノノ!どこに居るのよ!?」

ルルヘットは、閑散とした店内をぐるりと見て見るが、目当ての人物は見当たらなかった。

「いらっしゃい?お客さん、誰かお探しかい?」

「え?あ、そうよ。ここにボンって子が居るって聞いてきたの。どこにいるのかしら?」

ルルヘットの物言いに、厄介事の匂いを感じ取ったキャナタは、すっと目を細める。

「あんた?あいつの知り合いかい?」

「いいえ、でもこれから知り合いになるのよ。ね、どこに居るか知ってるなら教えてよ。」

「そうは言われてもね…」

言い渋るキャナタだったが、ノノーキルが入ってきた事で、それも無駄になる。

「おう、キャナタ。ボンに客だぞ?ありゃ?もう寝ちまったのか?」

「ノノーキル…お前な…」

「え?ボン、ここに泊まってるの!?え?ちょっと案内しなさいよ!ね、ボーン!どこにいるのー!」

ノノーキルの発言で、ボンがここに泊まっているのだと知ったルルヘット。
彼女は、大声でボンを呼びながら、店の中をウロウロし始め、勝手に階段を登ろうとしたので、キャナタが慌てて止める。

「ちょ!あんた!迷惑だから止めてくれ!」

「えー?他にお客も居ないし別にいいじゃない?ね?どこにいるのよ!?早く教えなさ!にきゅ!」

「いいかげんにしろ。」

ガジャノがルルヘットの襟首を掴むと、ルルヘットの口から変な声が漏れた。

「ノノ、ここにいると迷惑になるだけだ、お前の家で飲み直そう。すまんな店主…明日にでも、落ち着いたらまた寄らせてもらう。」

ガジャノは、ルルヘットを片手で持ち上げると、そのまま店を出て行ってしまった。

「お、おいガジャノ!…キャナタすまん、俺も帰るわ!またな!」

ガジャノを追って、ノノーキルも外へと飛び出して行った。

「なんなんだいったい…」



ーーーー
作者です。
後片付け?戦後処理?は、終わりです。
感想その他、お時間あれば是非
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