夫婦で異世界放浪記

片桐 零

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第2章

第13話 ナビさんは容赦ない

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GAAAAA!!!
GUGYAAAAA!!!
GABA!!GYA!!

3つの頭が、こちらに向かって吠えながら、次々と火球を吐き出してきている。

ドウ!バゴン!ボウ!

その火球が、地面に当たるたびに火柱を上げて周りに火の粉を撒き散らす。

「ナビ!これどうすんだよ!?」

『回答提示。退避しつつ接近します。』

「…は?はぁ!?ちょ!!下がらないのかよ!?」

『回答提示。毒液の檻ベノムケージの展開範囲を狭めることになるため、現在地点より後退することは、生存確率を下げてしまいます。』

「な…うひゃ!」

ナビさんに体を左右に動かされながら、これからどうするのかを聞いてみるが、まさかの接近…
次々と飛んでくる火球を、自分の体とは思えないアクロバティックな動きで避けながら、多頭鰐スクナダイルへと近づいていく。

もちろん、これはナビさんに操られてなのだが、自分にこんな動きができた事に驚いた。

が…
ナビさんが無茶な動きで動くため、視界は上下左右にブレまくって何が何だか訳が分からなくなる。

「ちょ!な!うべ!」

GYAOGAAAAA!!!
GURUA!!!
KA!!KUA!!!

バオン!ドドン!!

「ひっ!あつっ!!」

至近距離で立て続けに爆発が起こり、飛んで来た火の粉が体に当たって火傷してしまう。

それでも、気が付けば多頭鰐スクナダイルのすぐ側までやってきていた。

近づいた事で、その迫力は離れていた時とは比較にならない程に膨れ上がる。
全身が硬そうな鱗状のゴツゴツとした皮膚に覆われ、見上げると首が痛くなるくらいの巨体…
3つの頭は、それぞれが人間なんか一飲みにしてしまえそうなくらいに大きい…

「でか…ふゃ!!」

ブン…と視界が急にブレ、俺の体は地面を転がる。
直後に凄まじい地響きと共に、いくつもの小石が俺に当たってくる。
顔を上げると、多頭鰐スクナダイルの巨大な脚が、さっきまで俺のいた場所を踏み潰しているのが見えた。

ナビさんが避けてくれたのだが、礼を言う暇もない。

多頭鰐スクナダイルの巨大な脚が、こちらを踏み潰すために次々と降ってくるからだ。

俺の体は、前に後ろに右に左に跳び回り、その度に多頭鰐スクナダイルの巨大な脚が、すぐ近くを踏みつけていく。

ドスン!バチバチ!
ドスン!バチビシ!
ドスン!ビシガツ!

少しづつ多頭鰐スクナダイルの脚が、俺の近くに寄ってきている様に感じ始めた。

いくらナビさんが操っているといっても、所詮は俺の体だ…

体にあたる石の数が少しづつ増えてきて、ついに拳大の石を避けきれず、左足首に直撃を受けてしまう。

石が当たったことで、体のバランスが崩れて倒れ込んでしまった。

「ぐ…がっ!」

倒れたからといって、魔物モンスターは次の動きを待ってくれない。
足の痛みは、俺の動きを遅らせるのに十分だった。

多頭鰐スクナダイルは、今までの踏み潰しではなく、こちらを蹴ろうと地面ごとガリガリと削る様に脚を動かす。

ズオ!

「うへぁ!」

足にダメージがあるのを庇ってなのか、ナビさんの避け方が、さっきまでの意味の分からない八双飛び状態から、横に転がって避ける地味なものに変わったのだが、そのせいなのか、蹴り上げられた土や草が上から降ってきて、顔にかかる。
土を払おうにも、手の自由も効かないため、何も出来ない…

状況は悪くなる一方…

ドスン!ベギャ!

「!!!!!がーーーーーー!!!……あ?」

ギリギリの所で避けてられていた魔物モンスターからの踏みつけが、遂に俺の右足の上に直撃してしまう。
多分骨の折れる音だろう気色の悪い音が、いやにはっきり耳に聞こえた気がした。
足から伝わる感じたことのない痛みによって、大怪我をした事は間違いないのだと分かってしまう。

しかし、痛みに叫ぶ事は出来ても、のたうちまわることさえ今は許されない。
多頭鰐スクナダイルの巨大な脚に押し潰されたままなので、そもそもが動こうにも動けないが、首から下の体の動き自体がナビさんに奪われているからだ。

ナビさんが何かをしたのかもしれないが、直後に痛みを感じ無くなった。
麻酔をかけられた時みたいに、自分の足がそこにあるはずなのに、輪郭がうっすらとしか分からない、あの気持ちの悪い感じになっている。

ナビさんは俺の体を動かし、何故か左手で多頭鰐スクナダイルの脚に触ろうと、無理に体をひねりながら手を伸ばす。

ゴツゴツした多頭鰐スクナダイルの皮膚に触れたと思ったら、その巨体が一瞬で消えてしまった。

「……は?」
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