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第2章
第25話 ちょっとした提案
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最初に目を覚ましたエルフが手を上げて、恐る恐ると言った感じではあるが、質問してくれた。
「あの…本当に解放出来るんですか?」
こういう時、最初に口を開くのって結構嫌なものだから、もう少し時間がかかると思っていたんだけど、エルフの人が声を上げてくれて助かった。
「そうだね、特に奴隷が欲しいと思っているわけじゃないし、俺たちに害にならないのなら解放しようと思っているよ。」
「でも…先程、買主ではないと…」
知らない奴が、いきなり美味しい話を持ってきた。
普通は嘘だと思って警戒するわな。
そう思って、俺はストレージリングから鍵束を取り出して、エルフ達に見えるように持ち上げる。
「これが見えるか?これ、あんたらの首につけられた隷属の首輪の鍵でしょ?
これで、俺があんたらを開放することが出来る立場なのが分かってもらえたかな?」
俺の言葉に、またザワザワとし始めるが、これでも信じられないって言うなら、このまま放置するだけさ。
現状、こんな数の奴隷を養うのは…出来るかもしれないが、面倒だからやりたくない…
奴隷じゃないが、シーホが増えただけでも扱いに困ってる状況だからね…なのに、それがもっと増えるんだろ?
…俺だって男だ、エルフの奴隷を持つことに惹かれないと言ったら嘘になるが、絶対に起こさなくてもいい問題が起きる気しかしない。
テンプレ展開なんて、全力で回避させてもらうよ。
それに…優子が一緒にいるからそもそも無理なんだしね。
「でだ、さっき俺が言った条件を守ってくれるなら、自由になれるんだが…どうするんだ?」
「…はい。私は先ほどの条件を守ります。誰にも言いませんし、あなたに危害を加えることもしないと、精霊に誓って約束します。」
最初のエルフが、こちらを真っ直ぐ見つめながら約束すると言ってくれた。
少し迷っていたようにも見えたが、嘘をつこうとしたわけじゃなさそうだから別にいい。
「わ、私も!言いません!大人しくします!」
「ぬ!儂もだ!」
「ぐ!儂だってじゃ!」
「の!儂もなんだな!」
我も我もと、エルフの女性に続いてドワーフ達も約束すると言ってくれたのは良かったのだが、狼獣人の2人と兎獣人の2人はそれに続かず、こちらをじっと見つめたまま口を開く事がなかった。
獣人といっても、獣化率には種族によるのか個体差なのかは分からないが、結構違いがあるようで、狼獣人の2人はほぼ狼の顔をしていて、見える範囲は全身が獣毛に覆われているように見えるし、手や足も人よりも獣に近い形状をしている
それに比べて兎獣人の2人は、エルフよりも長くて、薄く毛に覆われた耳は兎の特徴だろうけど、それ以外は人間と変わらない見た目をしている。
とりあえず、何か思うところでもあるのかもしれないが、敵意や悪意ならナビさんが機敏に感じ取ってくれるけど、それ以外の思考はどうしても分からないからね。
少し待っても口を開く事はなさそうなので、こちらから聞いてみることにした。
「エルフとドワーフは後で解放するけど、少し待っててもらえるか?そこの狼と兎の人、あんたらはどうするんだ?」
俺が声をかけると、まず狼の人が口を開いた。
「我は…帰れぬ…」
「我も…そうである…」
普通は奴隷から解放されるなら、エルフ達みたいに喜びそうなものなのに、帰れないってことは、なにか事情があるのだろうか?
「我が戻ると…郷の者が…困る…」
「我も…郷には…帰れぬ…」
借金奴隷らしいが、それが村に戻れない理由か?
戻ると困るって事は、もしかしたら口減らしとかで売られた口だろうか…?
だとしたら、いきなり戻って食い扶持が増えるのもそうだが、何かの拍子に金を出したブローカーに見つかるのも、村に迷惑をかけてしまうと思っているのかも知れないな…
そうだとしたら律儀な事だが…自分を売った村に、そこまで肩入れする気持ちは、俺には理解出来ない…
「…そっちの兎の人は?」
「ウチらは…もう帰る場所が…ないんや…」
「ウチらの郷は…焼かれてしもてん…」
奴隷にするために村を襲ったんだろうか…
兎獣人の2人は、その時のことを思い出したのか、抱き合ってシクシクと泣き始めてしまった。
違法奴隷みたいだし、何かあるとは思っていたけど…そのことを知ってるのかは分からないが、売り物にしていた商会…
やっぱりアイツらはクズだな…
とは言っても、泣き止むまで待つつもりはないので、話を進めることにした。
「…それで?自由になりたくないってんなら、俺としてはここに放置するしかないんだが…」
俺の言葉を理解しているのか分からないが、彼等はじっと見つめてくるだけで、それ以上何かを言ってくる事は無かった…
「…そうか…いっそのこと冒険者にでもなれば、奴隷でいるより、何倍もマシだと思ったんだが…」
「我が…?」
「…冒険者…?」
「「ウチらが?」」
獣人達は、冒険者って言葉に予想以上の反応を示した。
この線でいけばいいみたいだな…
「獣人がなれるものなのか、俺は知らないけど、試してみて無理だったら、他の道を探せばいいだけだと思わないか?」
「しかし…」
「我らに…なれるのだろうか…」
狼の人達はもう少し…あれ?
…この人達がこの先どうなろうと、俺には関係ないし興味もないはずなのに、俺は何をムキになっているのだろう…
自分でも、「らしくない」ことを言ってるなと思いながら、俺は言葉を続けていくのだった…
「あの…本当に解放出来るんですか?」
こういう時、最初に口を開くのって結構嫌なものだから、もう少し時間がかかると思っていたんだけど、エルフの人が声を上げてくれて助かった。
「そうだね、特に奴隷が欲しいと思っているわけじゃないし、俺たちに害にならないのなら解放しようと思っているよ。」
「でも…先程、買主ではないと…」
知らない奴が、いきなり美味しい話を持ってきた。
普通は嘘だと思って警戒するわな。
そう思って、俺はストレージリングから鍵束を取り出して、エルフ達に見えるように持ち上げる。
「これが見えるか?これ、あんたらの首につけられた隷属の首輪の鍵でしょ?
これで、俺があんたらを開放することが出来る立場なのが分かってもらえたかな?」
俺の言葉に、またザワザワとし始めるが、これでも信じられないって言うなら、このまま放置するだけさ。
現状、こんな数の奴隷を養うのは…出来るかもしれないが、面倒だからやりたくない…
奴隷じゃないが、シーホが増えただけでも扱いに困ってる状況だからね…なのに、それがもっと増えるんだろ?
…俺だって男だ、エルフの奴隷を持つことに惹かれないと言ったら嘘になるが、絶対に起こさなくてもいい問題が起きる気しかしない。
テンプレ展開なんて、全力で回避させてもらうよ。
それに…優子が一緒にいるからそもそも無理なんだしね。
「でだ、さっき俺が言った条件を守ってくれるなら、自由になれるんだが…どうするんだ?」
「…はい。私は先ほどの条件を守ります。誰にも言いませんし、あなたに危害を加えることもしないと、精霊に誓って約束します。」
最初のエルフが、こちらを真っ直ぐ見つめながら約束すると言ってくれた。
少し迷っていたようにも見えたが、嘘をつこうとしたわけじゃなさそうだから別にいい。
「わ、私も!言いません!大人しくします!」
「ぬ!儂もだ!」
「ぐ!儂だってじゃ!」
「の!儂もなんだな!」
我も我もと、エルフの女性に続いてドワーフ達も約束すると言ってくれたのは良かったのだが、狼獣人の2人と兎獣人の2人はそれに続かず、こちらをじっと見つめたまま口を開く事がなかった。
獣人といっても、獣化率には種族によるのか個体差なのかは分からないが、結構違いがあるようで、狼獣人の2人はほぼ狼の顔をしていて、見える範囲は全身が獣毛に覆われているように見えるし、手や足も人よりも獣に近い形状をしている
それに比べて兎獣人の2人は、エルフよりも長くて、薄く毛に覆われた耳は兎の特徴だろうけど、それ以外は人間と変わらない見た目をしている。
とりあえず、何か思うところでもあるのかもしれないが、敵意や悪意ならナビさんが機敏に感じ取ってくれるけど、それ以外の思考はどうしても分からないからね。
少し待っても口を開く事はなさそうなので、こちらから聞いてみることにした。
「エルフとドワーフは後で解放するけど、少し待っててもらえるか?そこの狼と兎の人、あんたらはどうするんだ?」
俺が声をかけると、まず狼の人が口を開いた。
「我は…帰れぬ…」
「我も…そうである…」
普通は奴隷から解放されるなら、エルフ達みたいに喜びそうなものなのに、帰れないってことは、なにか事情があるのだろうか?
「我が戻ると…郷の者が…困る…」
「我も…郷には…帰れぬ…」
借金奴隷らしいが、それが村に戻れない理由か?
戻ると困るって事は、もしかしたら口減らしとかで売られた口だろうか…?
だとしたら、いきなり戻って食い扶持が増えるのもそうだが、何かの拍子に金を出したブローカーに見つかるのも、村に迷惑をかけてしまうと思っているのかも知れないな…
そうだとしたら律儀な事だが…自分を売った村に、そこまで肩入れする気持ちは、俺には理解出来ない…
「…そっちの兎の人は?」
「ウチらは…もう帰る場所が…ないんや…」
「ウチらの郷は…焼かれてしもてん…」
奴隷にするために村を襲ったんだろうか…
兎獣人の2人は、その時のことを思い出したのか、抱き合ってシクシクと泣き始めてしまった。
違法奴隷みたいだし、何かあるとは思っていたけど…そのことを知ってるのかは分からないが、売り物にしていた商会…
やっぱりアイツらはクズだな…
とは言っても、泣き止むまで待つつもりはないので、話を進めることにした。
「…それで?自由になりたくないってんなら、俺としてはここに放置するしかないんだが…」
俺の言葉を理解しているのか分からないが、彼等はじっと見つめてくるだけで、それ以上何かを言ってくる事は無かった…
「…そうか…いっそのこと冒険者にでもなれば、奴隷でいるより、何倍もマシだと思ったんだが…」
「我が…?」
「…冒険者…?」
「「ウチらが?」」
獣人達は、冒険者って言葉に予想以上の反応を示した。
この線でいけばいいみたいだな…
「獣人がなれるものなのか、俺は知らないけど、試してみて無理だったら、他の道を探せばいいだけだと思わないか?」
「しかし…」
「我らに…なれるのだろうか…」
狼の人達はもう少し…あれ?
…この人達がこの先どうなろうと、俺には関係ないし興味もないはずなのに、俺は何をムキになっているのだろう…
自分でも、「らしくない」ことを言ってるなと思いながら、俺は言葉を続けていくのだった…
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