俺は毛沢東!?

王太白

文字の大きさ
12 / 16

11

しおりを挟む
 こういうことを健作の耳に入れても、パニックになるだけなので、みゆ婆は健作を文化工作隊の女の子と遊ばせておき、中南海の奥まった一室で、リン元帥やヨウ夫人と内々に対策を協議した。もちろん、文武百官を動揺させると内通者が出かねないので、閣議にもかけないままだ。
「軍の将兵の多くはポン元帥に忠誠を誓っております。声望ではワタシは太刀打ちできません。ワタシは参謀総長のルオ将軍にさえ信頼されておりませんから」
「リン元帥の言いたいことはわかる。このままではルオ将軍が、党中央の野戦軍を掌握してしまい、リン元帥を倒しかねないと言うのじゃろう。それは主席に仲裁してもらえば良い。ウチが危惧しておるのは、今の軍は主席の権威があればこそ、主席に従っておるだけだということじゃ。しかし、最近の主席の頼りなさは、リン元帥もご存じの通りじゃ。このままだと、間違いなく軍は主席を見限って、ポン元帥につく。だからこそ、リン元帥とルオ将軍には、国防相と参謀総長の地位を守るために、主席を密かにかばってほしい」
 そのとき、三人が密談している一室に、ふいに文化工作隊の里樹が現れた。
「何じゃ? ウチらは内々の会議の最中じゃ。盗み聞きするでない」
「いえ……決して会議の邪魔をするつもりはございません……。ただ、あたしが四川省に出向いて、ポン元帥に毒を盛って暗殺するぐらいはできるかもしれないと思いまして……」
 これには、みゆ婆が驚いて、目を丸くする。
「里樹、本気で言っておるのか? そんなことをすれば、毒殺がバレた時点で、ポン元帥の部下たちに殺されるぞ」
「大丈夫です。実は、あたしは戦国時代の日本に生まれて、くノ一になるべく訓練を受けてきましたが、気がついたら中南海の美女の体に入っていました。ですから、忍術の心得もありますし、毒の盛り方も知っています。逃げきれる自信はありますよ」
 そこで、里樹はニコリと愛らしく笑った。
「何より、あたしは主席のことが、戦国時代に残してきた最愛の夫みたいに思えてきちゃうんです。主席はいい年の老年なのに、あたしを抱く様子ときたら、まるで童貞のガキみたいにオドオドしていて、頼りないったらありゃしません。あの様子だと、政務や軍務もまともにこなせるわけがありませんよね。それでも、必死で虚勢を張っている姿が、体も弱いのに必死で忍者をしている夫と重なるんです。あたしがしっかり導いてやらなくちゃって、保護欲をかきたてられるんです。おおかた、主席も他の時代から来た、年端もいかない若者なんじゃないですか?」
 里樹の答えに、みゆ婆は満足げにうなずいた。
「うむ、良かろう。では、里樹に任せるから、必要な物があれば、何でも申し出るが良い」
 こうして、里樹は単身、四川省へ向かった。表向きは人民日報の記者ということにしてある。もちろん、健作が怪しまないように、里樹は病気で寝込んでいることにしてある。里樹は党中央の発行した通行証を持っているので、途中の街道沿いの宿には泊まり放題だった。里樹は街道沿いの風景を楽しみながら旅を続けた。このまま簡単に四川省に入れるとはいかないまでも、省境までは行けるだろうと、里樹は楽観視していた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

お父さんのお嫁さんに私はなる

色部耀
恋愛
お父さんのお嫁さんになるという約束……。私は今夜それを叶える――。

まなの秘密日記

到冠
大衆娯楽
胸の大きな〇学生の一日を描いた物語です。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

処理中です...