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その頃、健作とみゆ婆も、白い光に飲みこまれていた。健作は文化工作隊の玉葉と遊んでいる最中に、みゆ婆はリン元帥やヨウ夫人と内密な会議中にである。白い光の中で二人は数日ぶりに顔を合わせた。
「みゆ婆、いったいどうしたの? 俺、中国に来たときと同じ状態になっているんだけど」
「どうなっているのやら、ウチにもわからん。こっちが聞きたいぐらいじゃ」
そのとき、また凛とした女性の声が聞こえた。先ほどの里樹に名乗ったのと同じ弁財天だ。
「わらわは、そなたたちに潤之の政道を改めよと命じたが、ポン元帥に無実の罪を着せて反乱まで起こさせるとは何事か? これでは、潤之と同じではないか! よって、わらわは、そなたたちを令和の日本に戻すことにした。潤之の政道を正すのは、別の者に頼む」
「そんなことしたら、俺はもう文化工作隊の女の子と遊べなくなるじゃないですか。どうか考え直してください」
「要するに、そなたは潤之の権力で遊びたいだけではないか。そんな輩に用はない」
弁財天はピシャリと言い放つと、健作とみゆ婆の意識はしだいに遠くなっていった。
「う~ん……ここは俺の部屋じゃないか……って、元の時代の日本に戻ってしまっているじゃないか。文化工作隊の女の子はどこにいったんだ? 美味い料理はどこに……?」
「やれやれ……結局、ウチらは元の日本での小市民的な生活に戻されたわけか。まあ、これで良かったんじゃないか? あのまま中南海にい続けて、ポン元帥に殺されるかもしれないとビクビクしながら暮らすよりは、真面目に勉強して大学に行くほうが気楽じゃろう」
健作は不満顔だったが、みゆ婆はどこか晴れやかな顔をしていた。
「さあ、無事に生還できた祝いに、スイカでも買ってきて食おうかのぅ」
「俺、アイスのほうが良いよ。スイカバーでも食べたいな。ブラックサンダーも良い。中国ではアイスなんか食えなかったしな」
「健作は結局、色気と食い気だけか。このぶんだと、来年も浪人じゃのぅ」
ホッとした二人のじゃれあう声は、暑い夏の空に吸い込まれていくのであった。
「みゆ婆、いったいどうしたの? 俺、中国に来たときと同じ状態になっているんだけど」
「どうなっているのやら、ウチにもわからん。こっちが聞きたいぐらいじゃ」
そのとき、また凛とした女性の声が聞こえた。先ほどの里樹に名乗ったのと同じ弁財天だ。
「わらわは、そなたたちに潤之の政道を改めよと命じたが、ポン元帥に無実の罪を着せて反乱まで起こさせるとは何事か? これでは、潤之と同じではないか! よって、わらわは、そなたたちを令和の日本に戻すことにした。潤之の政道を正すのは、別の者に頼む」
「そんなことしたら、俺はもう文化工作隊の女の子と遊べなくなるじゃないですか。どうか考え直してください」
「要するに、そなたは潤之の権力で遊びたいだけではないか。そんな輩に用はない」
弁財天はピシャリと言い放つと、健作とみゆ婆の意識はしだいに遠くなっていった。
「う~ん……ここは俺の部屋じゃないか……って、元の時代の日本に戻ってしまっているじゃないか。文化工作隊の女の子はどこにいったんだ? 美味い料理はどこに……?」
「やれやれ……結局、ウチらは元の日本での小市民的な生活に戻されたわけか。まあ、これで良かったんじゃないか? あのまま中南海にい続けて、ポン元帥に殺されるかもしれないとビクビクしながら暮らすよりは、真面目に勉強して大学に行くほうが気楽じゃろう」
健作は不満顔だったが、みゆ婆はどこか晴れやかな顔をしていた。
「さあ、無事に生還できた祝いに、スイカでも買ってきて食おうかのぅ」
「俺、アイスのほうが良いよ。スイカバーでも食べたいな。ブラックサンダーも良い。中国ではアイスなんか食えなかったしな」
「健作は結局、色気と食い気だけか。このぶんだと、来年も浪人じゃのぅ」
ホッとした二人のじゃれあう声は、暑い夏の空に吸い込まれていくのであった。
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