俺は毛沢東!?

王太白

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 その日、里樹は政庁の宿直室で寝床と食事を振る舞われ、ポン元帥と酒をくみかわした。
「ポン元帥は小作人の出身なんですね。あたしの一家も貧しかったです。だから、有力な大名に雇われて金を稼ぐために、幼い頃からくノ一になる訓練を受けてきました。格闘や毒物の知識を徹底的に仕込まれたものです」
「私も弟や妹を養うために、十歳から働かざるを得なかったよ。だからこそ、貧農から搾取してぜいたく三昧の生活をしている軍閥を倒したくて、平江起義に参加したんだ。もちろん、貧農が皆で豊かになろうとしてね。だが、現実は理想通りにはいかないものだ。革命が成就しても、農民は相かわらず貧しい。私が期待していた通りの中国にはならなかった。もちろん、現状を是正して理想通りにするのが、私に課せられた使命だと思っている」
「わかります。ポン元帥の思いは、主席にだって、きっと届くはずです」
 翌日、里樹は四川省を出た。だが、出ると同時に、空がピカッとまぶしく光ったと思うと、いきなり里樹は白い光に飲み込まれ、気を失いそうになった。白い光の中からは、里樹が中国に飛ばされてきたときと同じ、凛とした女性の声が聞こえてきた。
「そなたは潤之の政道を改めることには失敗したが、貧農出身のポン元帥と心を通じ合わせ、共産主義とは何かを理解できたようだな。わらわは、そなたを戦国時代の日本に戻すから、くノ一として自分の忍軍の頭領となり、そこで共産主義を実践してみせよ」
 中国に飛ばされてきた際の里樹は、頭が混乱しており、相手の名前を聞くどころではなかったが、今回はちゃんと聞くだけの冷静さがあった。
「わかりました。ちなみに、あなた様のお名前は?」
「わらわは弁財天じゃ」
 そのまま、里樹は気を失ってしまい、気がつけば村の中に倒れていた。中国に飛ばされる直前と全く同じ容姿である。もちろん、家に帰ると夫もいて、出迎えてくれた。
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