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 ルイズが言った通り、三日後には、村の入口に鎧を来た兵士の一団が現れた。旗の紋章は、ベオグラード王国を表す双頭の鷲に、銀の剣をあしらってある。
「銀の剣は、カイゼル帝国の魔術師部隊の紋章ですね。トログリム国王がカイゼル帝国の魔術師を受け入れたことで、銀の剣を付け加えたのでしょう。とにかく、兵士たちは三百人はいますから、村人だけでは蹴散らされてしまいます。やはり、ユウコさんが先頭に立っていただかないと……」
 ルイズが真顔で言うので、有子は肝が冷える思いだった。今まで白い光で敵を倒してきた経験があるとはいえ、三百人もの敵となると、経験が無いのだ。とりあえず、村の入口に行くと、兵士たちの隊長と思われる者と、村の代表者とが、怒鳴りあっていた。
「……とにかく、この村にボルフガング元国王の残党が逃げ込んだという、証言があったのだ。今から村中を捜索するから、村に入れろと言うのに、わからんやつらだな」
「お待ちくださいませ。村には、出産をひかえた妊婦が数人います。出産の際に、武器や鎧が大きな音を立てるようなことがあれば、妊婦が驚いて出産に悪影響が出る可能性もありますれば、もう少しお待ちくださいませ」
 もちろん、村に妊婦などはいない。全ては、有子に迎撃に出る暇を与える時間稼ぎなのだ。有子は、村人が織った新品の修道服に着替えると、村の入口に来た。
「兵士たちよ、大天使であるあたしなら、ここにいるぞ。あたしは逃げも隠れもしない。さあ、あたしが姿を現したのだから、無辜の民に危害を加えずに、あたしだけを相手しろ」
 有子が威勢良く言ったので、兵士たちは勢いに呑まれたようにタジタジになったが、すぐに開き直り、隊長の号令のもと、有子を包囲する。
「ふふん、貴様のほうからノコノコ出てくるとは、良い度胸だな。探す手間が省けたぞ。さあ、おまえたち、この大天使と名乗る似非魔術師を殺せ! こいつの首をとった者は、二階級特進だぞ!」
 隊長の号令のもと、兵士たちが槍を構えて、有子に向かって一斉に突進してくる。もっとも、有子には、兵士たちを殺すつもりはない。あらかじめ、ルイズから、「敵兵は、なるべく生かして捕らえるようにしてください。説得して味方に加える手もありますので」と言われているので、力の差を見せ付ければ充分なのだ。
 兵士が突進してくるのを見ると、有子は大気中の魔素を操ろうとした。今、前方の大気中には青、後方の大気中には黄色の魔素がある。前回、魔素を混ぜたのと同様に精神を集中し、大気をかき混ぜる。兵士たちは、「うわっ!」だの「何だ?」などと驚嘆の叫びをあげ、突発的な台風のような風に驚いたが、隊長が「ひるむな。退却した者は厳罰だぞ」と叫ぶので、必死で突進してくる。一方、有子も魔素を混ぜ合わせて緑にし、その風を兵士たちにぶつける。
兵士たちは「うわああぁっ!」などと叫びながら、空中に放り投げられた。有子の周囲の緑の台風は、兵士たちを巻き込んで宙に放り投げながら、隊長のほうへジリジリと迫ってくる。さすがに隊長も「くっ……」と叫んで、ひるんだ様子だったが、それでも後退することなく、「うおおおおっ!」と虚勢をはりながら剣を抜いて突進してくる。しかし、有子は隊長をも緑の台風に巻き込み、宙に放り投げてしまった。そこで、ルイズは、
「どうだ? まだ大天使様に逆らうか? 投降するなら良し。だが、逆らうなら、このまま地面にたたきつけて圧死させるぞ。どちらか好きなほうを選べ」
と恫喝する。兵士たちは、
「わかった。どうか、命だけはお助けください。おらたちは隊長の命令で仕方なく村に攻め込んだだけです。殺すなら隊長だけにしてください」
と口々に哀願してきたが、隊長だけは、
「おまえら、ふざけるな。おまえらが勝手に投降すれば、都にいるおまえらの家族はどうなるか、考えて言っているのか? 家族は連帯責任で皆殺しにされるぞ」
と言い張り、かたくなに投降を拒んだ。それに対し、ルイズは、
「大丈夫だ。おまえらの死体は、オオカミに食われたことにしておいてやる。村の周辺はオオカミが出るからな。肉を放置しておけば、骨も残らずに食いつくされるものだ。村の周辺に、家畜の血の付いた鎧をばらまいておけば、おまえらが食われたと信じてもらって、都の家族には軍人恩給が出るだろうよ。それは隊長さんも同じことじゃないのかい?」
と涼しい口調で言う。これで兵士たちのほとんどは、「わかった。投降する」と言ったので、ルイズは、「そういうことです。大天使様、魔法を解除してあげなさい」と言って、兵士たちを下ろしてやる。兵士たちは空中でかき回されたため、風に酔って、胃の中身を吐いている者もいた。もっとも、兵士全員は着地すると同時に、槍と剣と弓矢を投げ捨て、鎧を脱いで投降した。ただ隊長一人が、「覚えてろ。このことは都に報告するぞ」と言い捨てて逃げようとしたので、ルイズはすかさず、「隊長を討て。私らに忠誠の証を見せよ」と言った。そこで、数人の兵士がヨロヨロと弓矢を取ると、隊長を射殺す。
 隊長は、「おのれ……。貴様らは国王陛下に逆らうか……」と叫びながら絶命した。ルイズは、「よし、村の皆は、兵士たちが脱ぎ捨てた鎧を着てください。兵士たちは縛って倉庫にぶちこんでおきなさい。隊長を殺したことに免じて、命は助けよう」と命じる。村の男たち百人は、鎧を着て武器を装備し、残った鎧は家畜の血をぬりたくって、村の周辺に放置する。そして、血を流した家畜の肉を村人皆で食らい、酒を飲み、出陣前の壮行会を開いた。頭のはげあがった老人が音頭をとる。
「村の衆よ。今こそ、我々はパテル国王より土地を与えられた恩を、ボルフガング元国王に返すときじゃ。我々の勝利は、既に近隣の村々に聞こえていることじゃろう。これより近隣の村々に、村の老人たちを派遣して、結束をはかると同時に、近くの郡役所を攻め落とし、革命根拠地とする。この村は、地理的に防御には向いておらぬからのう」
 鎧を着た若者が、やんやと喝采をあげる。有子は、中学の歴史で習った『太平天国の乱』を思い出した。太平天国軍もまた、故郷の村で挙兵してから南京を占領するまで、根拠地を求めて移動する王朝だったという。
「とにかく、郡役所さえ占領すれば、都は目の前じゃ。今一度、奮励努力せよ。さあ、今宵は大いに飲もうではないか」
 若者たちの「オオオオッ!」という喚声とともに、宴は始まった。有子は、鎧を着た若い男衆に、次々に酒を勧められる。
「あの敵兵を宙に舞い上がらせた魔法、マジですごかったですよ。さすが、大天使様って感じでしたね。オレらの軍の先頭に立ってくだされば、もう無敵でしょう」
「この調子なら、トログリム国王軍も怖くないですよ」
 その夜は、宴が大いに盛り上がり、有子はまたもや二日酔いになってしまった。

 翌日から、村の老人たちは、各地の村々へ義勇兵を集めるために散っていった。村々との交渉には、人生経験の長い老人が向いていると、ボルフガング元国王が判断したためである。一方、村の若者たちは、ルイズの指揮のもと、鎧と武器を持った実戦訓練に明け暮れ始めた。
「百人ぐらいの小部隊にできるのは、奇襲で郡役所を占領して武器を奪うことぐらいです。大天使様を先頭に郡役所を占領したら、集まった義勇兵に武器を分け与え、一気に都まで攻めのぼりましょう。都さえ占領できれば、人口の多い都に家族のいる兵士は数多くいますから、彼らがボルフガング元国王に付き、戦局は一気に逆転します」
 ルイズの指揮のもと、若者たちは弓矢や槍を扱う訓練を始めた。もっとも、弓矢は熟練してないと命中率が悪いので、槍の訓練だけにしぼることになったが。
「弓矢の代わりは、ユウコさんの魔法で代用してもらいます。あとは何人の義勇兵が集まるかによって、戦術の組み立て方も変わりますね」
 しかし、ルイズの期待に反して、義勇兵はほとんど集まらなかった。
「どこの村のやつらも、危ない橋を渡ろうとせぬ。トログリム国王に恭順の意を示すことで生き残ろうという腹積もりだな」
「わしらが兵士を三百人も捕虜にしたと言っても、信じられぬのだ。兵士はわしらにやられたのではなく、オオカミに襲われて食われたと思い込んでやがる」
 老人たちやルイズの悲痛な表情を見るに見かねてか、ボルフガング元国王が案を出した。
「朕が先に郡役所に現れて、『捕らえてみよ』と目立ってみせ、兵士たちを郡役所から誘い出した隙に、若者たちが攻め込んで郡役所を占領するというのはどうじゃ? 朕はここにいるだけでは、何もできぬ無力な老人じゃからのぅ。それよりも、陽動の役に立てるなら、死しても本望じゃ」
 老人たちは驚いて、顔面蒼白になって立ち上がる。
「いけませぬ! 陛下はご自分のお立場をわかっておられるのですか? 我々が都を占領した際に、陛下がおられなければ、各地に散った王族の方々を、誰がまとめられるのですか?」
「だが、当面の郡役所を占領する戦いに勝てなければ、朕は無用の長物じゃ。案ずるな。朕も多少は武術をたしなんでおる。そこらの雑兵から逃げきる自信はあるぞ」
 ボルフガング元国王が、語りながらガハハと高笑いしたとき、ふいに倉庫のほうから、爆発でも起きたかのような轟音がした。
「何事だ? 敵襲か?」
「まさか……。この間、三百人の兵士を撃退したばかりじゃぞ。国王軍もそんなに兵力に余裕は無いじゃろうし、こんなに早く攻めてこられまい……」
 老人たちは狼狽し始める。そうこうするうちに、倉庫を見に行ったと思われる若者たち数人が、「敵襲だ!」と叫びながら、頭や腕から血を流して、老人たちのもとに駆けつける。
「相手は誰だ? 国王軍か?」
「いや、それが……倉庫にぶちこんでいた捕虜どもです。やつら、魔法らしきものを使って……」
 若者が言い終わらぬうちに、背後で赤い閃光がまたたいたかと思うと、若者に命中して爆発し、若者を吹き飛ばしてしまう。
「うえっへへへ……。ボルフガング元国王さんよぉ、オレらのこと、なめきってるんじゃねえのかい?」
 そこには、鎧を脱がされた兵士数人が立っていた。粗食しか与えられなかったため、顔色は多少悪いが、その恨みを晴らそうとばかりに、下卑た笑みを浮かべている。
「はっ、そういうことか。貴様ら、魔術師の着るローブを着ておらんから、ただの兵士かと思っておったが、実は、火炎を操れる腕利きの魔術師じゃったというわけか。おおかた、貴様らを縛っていた縄も、火炎系の魔法で焼き切ったのじゃろう。せっかく、ルイズが命を助けてやったのに、こちらの善意につけこみよったな」
「ご名答! まあ、今さら気づいても、手遅れってもんだぜ。今、村中は、オレらの攻撃で火の海だ。ボルフガング元国王さんにも、ここで死んでもらうとしよう」
「やれるもんなら、やってみろ。言っておくが、朕は魔法への耐性があるのじゃ。大天使の魔法にも耐え抜いたのじゃからな。ほえづらかくでないぞ」
「ほう、大した自信じゃねえか。でも、大天使ただ一人の魔法と、オレら数人の魔術師の魔法とじゃ、どう少なく見積もっても、威力が三倍は違うぜ。耐性があっても、ケガじゃ済まねえぞ。覚悟しな」
 兵士たちは、ニタニタ笑いながら、魔法を発動させ始める。ボルフガング元国王も手をこまねいているわけではなく、護身用の剣を抜いて斬りかかるが、背後から矢が飛んできて、両足を射抜かれる。ボルフガング元国王は、「ぐあっ!」と叫ぶと倒れた。背後には、剣と弓矢をかまえた兵士数人がいたのだ。室内にいた老人たちは、悲鳴をあげる暇もなく斬り殺されていた。おそらく、裏口から侵入されたのだろう。
「おいおい、元国王ともあろうお方が、オレらみたいな無名な魔術師と兵士にやられちゃ、かっこ悪いよなぁ。それとも、もう年だから、若いオレらに負けても仕方ないってか? まあ、武士の情けだ。苦しまずに一瞬で殺してやるよ。感謝しな」
 兵士たちは魔法を解き放つ。室内が赤い火炎で包まれようとしたとき、突如、窓から黒い修道服を着た少女が飛び込んできた。言うまでも無く、有子である。部屋に入りしだい、有子も魔法を発動させた。ボルフガング元国王を守るための、白い光と、魔術師や兵士を倒すための、魔素を操る魔法の二つだ。白い光で火炎を防ぎ、大気中の青い魔素と黄色い魔素を混ぜ合わせて、緑色の台風を発生させる。
「てめえ、この間の大天使か。魔素を操る方法を知ってるらしいが、前の緑色の風じゃ、オレらは倒せねえぞ。あれは猛獣の突進を止めるための魔法だ。室内の火炎が相手なら、家ごと丸焼きになって消し炭になるのがオチだぜ」
 兵士たちは余裕の笑みを浮かべていたが、有子はルイズの講義を思い出しながら、基本に忠実にやろうとしていた。
(確かに青と黄色の魔素は、猛獣の突進を防ぐためのもの。でも、ここには火炎系の赤い魔素もある。青と黄色と赤の魔素を混ぜ合わせれば、どうなる……? 青は水気を含んだ木、黄色は砂ぼこり、赤は火を表すものだから……砂ぼこりに水気を吸い取られた、乾いた木に火をつけて、敵に向かって飛ばす要領でいこう……)
 魔術師は二人に向かって、「死ねや!」と叫びながら火炎を発したので、有子は緑色の台風に、魔術師の操る赤い魔素を合わせて、紫色の台風を起こす。紫色の風は、長い丸太のような形状になって、火炎をまといながら魔術師を直撃した。魔術師たちは、「ごはぁっ!」などと叫びながら、紫色の丸太に押しつぶされるように絶命した。それを見た、二人の背後にいた数人の兵士は、「ひええっ!」などと叫びながら逃げようとする。
「逃がしゃしないわよ。あんたたちみたいに、ルイズに助けてもらった恩を仇で返すようなやつだけは、あたしは絶対に許さないんだから!」
 有子は鬼のような形相で、背後の兵士たちを紫色の丸太で押しつぶす。兵士たちは「ぎゃああっ!」と叫びながら、気絶した。すかさず、有子は窓の外にいた若者たちに、「殺してはいないから、こいつらの始末は任せるわ」と言い残して、裏口から出て行く。
「全く、魔術師以外は殺さないなんて、大天使様も人が良すぎますよ。このままじゃ、いずれ寝首をかかれますって」
 若者たちは文句を言いながらも、兵士たちを縛り上げると、別の倉庫にぶちこむ。
「まあ、そう言うな。朕は、ユウコのそういう優しいところこそが、大天使にふさわしいと思うのじゃ。ユウコの優しさは、政治的にはまずい判断じゃが、道徳的には優れた判断じゃろうと思う。政治的に危険な輩は、朕が責任を負って処罰いたすから、ユウコは王国の人民を糾合する象徴になってくれれば良い」
「そりゃ、陛下がそれでよろしいのでしたら、我々は従うだけですが……」
 若者たちは、別の部屋で兵士たちを捕らえると、ボルフガング元国王の声を聞きながら、倉庫にぶちこみに行く。その夜の兵士や魔術師の反乱で、村人の三分の一が殺されたり負傷したりしたが、有子とルイズが先頭に立って鎮圧に動いたので、兵士の大部分、魔術師に至っては全員が殺された。残った兵士は三十人もいなかった。
 もっとも、有子は兵士をこれまで通り捕虜として扱うつもりだったが、村人が承諾するはずがない。
「あいつらは、わしらに命を助けられた恩を、仇で返しおったのだ。こんなやつらは、見せしめに皆殺しにして、殺された村人の霊前に首を供えるべきだ」
「いや、あたしは、彼らを生かしておいて、こちらの陣営の寛容さを示すべきだと思う。あたしの世界では、捕虜を人道的に扱うべきだという国際的な規則があるの。ここで虐殺したら、降参してくる兵士はいなくなってしまう」
「寛容さと言うが、その前に、大天使様には口惜しさが無いのか? わしらは死ぬほど口惜しいぞ。現に、兵士どもの顔を見るだけで、八つ裂きにしたくなるわい」
 村人と有子が言い争っていると、ボルフガング元国王が松葉杖をついて現れた。
「あ、陛下、ちょうどいいところに来られました。実は……」
 村人たちは、これまでの経緯を説明した。ボルフガング元国王は、しばらく考えてから答える。
「ふむ、皆の言い分は、よくわかった。ならば、この三十人の兵士たちを、郡役所に攻め込む際の先鋒隊にしよう。もちろん、ナイフしか持たせぬから、いざとなれば、背後で槍をかまえている若者たちや、ユウコの敵ではない。郡役所と都を占領した暁に、晴れて先鋒隊から解放してやるという条件でどうじゃ?」
 村人たちは、ザワザワと話し合い始めた。
「別に今すぐ決めろとは言わぬ。その間、捕虜の見張りは、ユウコに任せよう。兵士たちを助けようとした言いだしっぺじゃからのぅ」
 村人は会議を開いた。もちろん、有子は倉庫に入れられた兵士の見張り番である。案の定、会議は紛糾して、結論は容易に出なかった。
「わしは反対じゃ。村人を何人も殺したやつらと一緒に戦うなど」
「でも、先鋒として戦わせるなら、問題なかろう。やつらの罪をつぐなわせるためにもな」
 侃々諤々の議論の後、会議は、「兵士たちを郡役所と都を攻める先鋒隊とし、都の占領後は投獄する」という結論に落ち着いた。
 一方、村人たちはルイズの指揮のもと、再び軍事訓練に励み始めた。
「死傷した村人たちの恨みをはらすためにも、何が何でも郡役所を占領し、こちらの武威を示さなければなりません。言っておきますが、こちらが国王軍の兵士や魔術師を殺した以上、国王軍とは明確に敵対してしまっているので、今さら恭順の意を示そうったって無駄ですよ。ここまできたら、やるかやられるかです」
 ルイズは村人の団結をはかるため、連判状に村人全員の血判を押させた。それ以降、村人の目つきそのものが変わってきて、訓練にも熱が入ってきた。
「どうじゃ、ルイズ? 今の練度で、トログリムの軍とは戦えそうか?」
 ボルフガング元国王は、心配そうに聞いてくる。
「どうでしょうか。実際に戦ってみなければ、何とも言えませんね。ただ、村人の弔い合戦ということで、士気は高いですから、練度不足のところは士気で補えるでしょう」
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