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後編
境界と臨界 4
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サマンサは夕食をすませたあと、リスを寝かしつけ、ソファのある部屋に行く。
レジーからは、リスと一緒に休んだほうがいいと言われていたが、とても眠れる気分ではなかった。
戻ったサマンサに気づいたのか、レジーが顔を上げる。
その隣に、ぽすんと座った。
「……私は、やっぱり貴族だった。でも、あなたも、なのね」
「あー、まぁなぁ。貴族と言えば貴族だな。生まれた家が貴族だったから」
少しだけサマンサは笑う。
レジーの言いかたが、いかにも、どうでもよさそうだったからだ。
「きみが、サマンサ・ティンザーだとは思わなかった」
「私を知らなかったの? 同じ貴族なら会ったことがあるのじゃない?」
「見かけたことはある……けどなぁ……」
「なに?」
首をかしげると、レジーが苦笑する。
困ったように笑っていた。
なぜそんなふうに笑うのか、サマンサにはわからない。
「なんというか……まるきり違うんだよ。俺の見たサマンサ・ティンザーとはね」
「違うって、なにが?」
「外見も違うし、一緒にいた男も違う」
サマンサは、一瞬、言葉を失う。
あの「ローエルハイド公爵」は、サマンサを婚約者だと言っていた。
だが、レジーは、別の男性と一緒にいたサマンサを見かけているらしい。
要は、サマンサの相手が「変わった」ということだ。
「私を見かけたのは……いつ頃の話……? ずっと前?」
サマンサは、短期間につきあう男性を変える自分を想像できずにいる。
仮にそうであったとしても、なにか理由があってのことだと思いたい。
たとえば、相手から別れを告げられた、とか。
「1年くらい前だったかな。俺が兄上の代わりに顔出しをしただけの夜会だ。パートナーもいなかったし、挨拶だけして帰ったから、サムと言葉は交わしてない」
「1年前……私には、あの人とは違うパートナーがいたのね?」
「公爵様じゃなかった。確か、あいつは、ティモシー・ラウズワース」
言われても思い出せなかった。
顔すら思い浮かばない。
それより「公爵」の強烈な印象が残っている。
彼との関係がどういうものなのかもわからないのに、忘れられずにいた。
「……わからないわ。ちっとも思い出せない……」
「以前から、サマンサ・ティンザーはラウズワースの息子と婚姻する予定だって噂はあったんだよ。それで俺も、あんまり気にしちゃいなかったのさ。だいたいラウズワースとウチは折り合いが悪いしな。誰と婚姻しようが……まぁ、興味がなかったってとこだ。夜会も苦手なんでね。サムたちには挨拶もせずに帰って、それっきり」
「その時の私は……こういう容姿ではなかったの?」
レジーがソファの背もたれに体を深くあずけ、頭の後ろで両腕を組む。
天井を見上げ、当時のことを思い出している様子だった。
「違った。言われてみりゃ、その髪と目の色は変わってねぇ気はするけど、それ以外は、まったく違う。体つきとか、顔だちとか」
「あまり良い話じゃなさそうね」
サマンサは溜め息をつく。
レジーの言葉には「意外」といった雰囲気が漂っていた。
今とは想像もつかない、ということなのだろう。
「はっきり言えば、サマンサ・ティンザーが良くない意味で目立ってたってのは否定できねぇな。周りに嘲笑される容姿だったんだよ。貴族の令嬢らしくねぇって意味で言うなら、そうだったろうぜ」
「あなたも笑っていた?」
「言ったろ。俺はすぐに帰った。夜会にも噂話にも、うんざりしてたし、本当に興味がなかったもんでね」
レジーの話からすると、自分の外見は「良いほう」に変わっている。
なのに、バートナーであったはずの、ティモシー・ラウズワースに別れを告げられたのだろうか。
その人のために努力をして容姿を整えたのではないかとも思えるのだけれども。
「悪ィな。俺は、そのあとすぐ旅に出たから、王都の事情には詳しくねぇんだ」
「レジーが謝ることじゃないわよ。私が思い出せないだけだもの」
「兄上に訊けば、わかると思うぞ?」
サマンサは首を横に振ってみせる。
自分のことは知りたい。
そうは思う。
だが、知ったところで、とも思うのだ。
現状は、なにも変わらないのだから、知ることに意味があるだろうか。
むしろ「今」が壊れてしまいそうな気がする。
ここでの生活を失いたくない。
あの「人でなし」の元に帰るつもりはなかったし。
「サム」
レジーが、今度は体を前に倒す。
そして、サマンサの顔を覗き込んできた。
「良かったのか?」
「いいのよ。話を聞こうともしなかったのは、あの人じゃない」
レジーは、サマンサが記憶をなくしていると話そうとしたのだ。
それを断ち切ったのは「公爵」だった。
聞く耳を持っていない相手には、なにを言っても意味がない。
どうせ聞き入れる気などなかったに違いないのだ。
信じたかどうかも疑わしい。
「それより……レジーこそ良かったの? 私、あの時は……」
リスのことしか考えられず、ここに残ると決めている。
だが、そのせいでレジーに大きな負担をかけることになってしまった。
「おー、かまわねぇって。気にすんな」
のんびりとした口調で、レジーがうなずく。
無理をしているのでも、嘘をついているのでもない。
レジーには裏表がなかった。
常に、率直なのだ。
そこに安心する。
「でも、かなり危険そうだったわ」
「俺も、そこそこやれるんだぞ? 見縊るなよ?」
冗談めかした言葉に、サマンサは、ぷっと笑った。
そのサマンサの手を、レジーが握ってくる。
ぎゅっと握られ、少しだけ、どきりとした。
なにか深刻なことを言われると察している。
「サムのことは、俺が守る。ただな。リスは、先に逃がしとく必要がある」
それは、サマンサも考えていたことだ。
自分にかかる危険は、とても大きいらしいのだ。
リスを巻き込むことはしたくない。
離れたくはなかったし、なによりリスに「捨てられた」と思わせたくもないが、危険とわかっていて傍に置くのには躊躇いがあった。
「……私……あの子のことが大好きなの……見捨てたって思わせたくもない」
「わかってる。ただ……あいつは……」
レジーは、いったん言葉を止めて、サマンサの瞳を見つめる。
逡巡していたようだが、やがて口を開いた。
「あいつはリシャール・ウィリュアートン。ウィリュアートンの次期当主なんだ。絶対に死なせるわけにはいかねぇんだよ」
サマンサの中に残る「貴族」としての常識が、感情を抑え込んでくる。
貴族は家督を受け継ぐことを最優先としなければならない。
次期当主とされるリスの命を危険に晒せないのは当然だ。
「ウィリュアートンは、代々、男子が生まれにくい家系だ。現当主は側室を迎える気はねぇらしいし、正妻が男子を成せるかもわからねぇだろ?」
「リスが唯一の後継者になる可能性が高いってことね」
レジーが小さくうなずく。
家督のことも含めて考えれば、リスを確実に守れる方法を取るべきだ。
一緒にいたいと思うのは、自分の自己満足に過ぎない。
「いつまで……一緒にいられるかしら……」
「ひとつアテがある。前々から話をつけられるように手は打ってきたから……遅くても、あと7,8日ってとこだな。早けりゃ5日ほど」
長くて7,8日。
寂しさに、サマンサは無意識にうつむく。
早ければ5日しかないのだ。
それまでに、リスにできるだけのことをしたい、と思う。
見捨てられたなどと思わずにいられるといいのだが、これは自分の我儘だろう。
どういう理由があろうと、手放すことに違いないのだ。
リスからすれば、相手が離れて行く、との結果は変わらない。
「次は、今までみたいに点々とせずにすむようにする」
「レジー……」
「約束する。あいつに安定した環境が必要だってのは、俺も感じてたしな」
レジーがサマンサの手を放し、その手で頭を抱き寄せてきた。
サマンサはレジーの肩に頬を押しつける。
どこかで、ずっとこのまま3人で暮らしていたいと思っていたのだろう。
突然に穏やかな生活が崩れ、サマンサ自身、ショックを受けていた。
愛されていない子。
サマンサは、リスに目一杯の愛情を注ぎたくなっていたのだ。
愛されていないなんて感じずにすむくらいに。
リスが「必要とされる」ために、一生懸命、サマンサの世話をしてきた時から、愛おしくてたまらなくなった。
ほんの少し浮かべる笑顔も、しがみついてくる手も、愛しい。
いずれ離れる時が来るのだろうと思いつつも「いずれ」が来ないことを願った。
「……リスが元気に笑えるようになれると、いいわ……」
「なれるさ。あいつは頭がいい。自分の道を、きっと見つける」
「そうね……とっても、いい子だし……リスを大事にしてくれる人もいるはずよ」
リスが自分の道を見つけるまで、手を引いてあげることはできない。
危険から遠ざけ、リスの道を閉ざさないことが、自分の役目だ。
サマンサは、ふっと思う。
(結局、こうなるのなら……あの人について行ったほうが良かったのかもしれないわね……そうすれば……)
「サム。なに考えてんのかはわかるけど、それは違うぞ」
「え……?」
「さよならもなしに姿を消されんのと、ぎりぎりまで一緒に楽しく過ごすのと。リスにとっちゃ、全然、違う」
「そうかしら?」
「俺は、そう思うね。サムにとっても違うだろ?」
レジーの肩に頬をうずめたまま、小さくうなずいた。
あのまま立ち去っていたら、きっと後悔していただろう。
リスを置いて来てしまったと、いつまでも心に痛みを残していたはずだ。
「一緒にいられる間に、いっぱい抱きしめておくわ……」
つぶやいたサマンサを、慰めるようにレジーが抱き締める。
まるで、レジーも同じ気持ちでいる、というように。
レジーからは、リスと一緒に休んだほうがいいと言われていたが、とても眠れる気分ではなかった。
戻ったサマンサに気づいたのか、レジーが顔を上げる。
その隣に、ぽすんと座った。
「……私は、やっぱり貴族だった。でも、あなたも、なのね」
「あー、まぁなぁ。貴族と言えば貴族だな。生まれた家が貴族だったから」
少しだけサマンサは笑う。
レジーの言いかたが、いかにも、どうでもよさそうだったからだ。
「きみが、サマンサ・ティンザーだとは思わなかった」
「私を知らなかったの? 同じ貴族なら会ったことがあるのじゃない?」
「見かけたことはある……けどなぁ……」
「なに?」
首をかしげると、レジーが苦笑する。
困ったように笑っていた。
なぜそんなふうに笑うのか、サマンサにはわからない。
「なんというか……まるきり違うんだよ。俺の見たサマンサ・ティンザーとはね」
「違うって、なにが?」
「外見も違うし、一緒にいた男も違う」
サマンサは、一瞬、言葉を失う。
あの「ローエルハイド公爵」は、サマンサを婚約者だと言っていた。
だが、レジーは、別の男性と一緒にいたサマンサを見かけているらしい。
要は、サマンサの相手が「変わった」ということだ。
「私を見かけたのは……いつ頃の話……? ずっと前?」
サマンサは、短期間につきあう男性を変える自分を想像できずにいる。
仮にそうであったとしても、なにか理由があってのことだと思いたい。
たとえば、相手から別れを告げられた、とか。
「1年くらい前だったかな。俺が兄上の代わりに顔出しをしただけの夜会だ。パートナーもいなかったし、挨拶だけして帰ったから、サムと言葉は交わしてない」
「1年前……私には、あの人とは違うパートナーがいたのね?」
「公爵様じゃなかった。確か、あいつは、ティモシー・ラウズワース」
言われても思い出せなかった。
顔すら思い浮かばない。
それより「公爵」の強烈な印象が残っている。
彼との関係がどういうものなのかもわからないのに、忘れられずにいた。
「……わからないわ。ちっとも思い出せない……」
「以前から、サマンサ・ティンザーはラウズワースの息子と婚姻する予定だって噂はあったんだよ。それで俺も、あんまり気にしちゃいなかったのさ。だいたいラウズワースとウチは折り合いが悪いしな。誰と婚姻しようが……まぁ、興味がなかったってとこだ。夜会も苦手なんでね。サムたちには挨拶もせずに帰って、それっきり」
「その時の私は……こういう容姿ではなかったの?」
レジーがソファの背もたれに体を深くあずけ、頭の後ろで両腕を組む。
天井を見上げ、当時のことを思い出している様子だった。
「違った。言われてみりゃ、その髪と目の色は変わってねぇ気はするけど、それ以外は、まったく違う。体つきとか、顔だちとか」
「あまり良い話じゃなさそうね」
サマンサは溜め息をつく。
レジーの言葉には「意外」といった雰囲気が漂っていた。
今とは想像もつかない、ということなのだろう。
「はっきり言えば、サマンサ・ティンザーが良くない意味で目立ってたってのは否定できねぇな。周りに嘲笑される容姿だったんだよ。貴族の令嬢らしくねぇって意味で言うなら、そうだったろうぜ」
「あなたも笑っていた?」
「言ったろ。俺はすぐに帰った。夜会にも噂話にも、うんざりしてたし、本当に興味がなかったもんでね」
レジーの話からすると、自分の外見は「良いほう」に変わっている。
なのに、バートナーであったはずの、ティモシー・ラウズワースに別れを告げられたのだろうか。
その人のために努力をして容姿を整えたのではないかとも思えるのだけれども。
「悪ィな。俺は、そのあとすぐ旅に出たから、王都の事情には詳しくねぇんだ」
「レジーが謝ることじゃないわよ。私が思い出せないだけだもの」
「兄上に訊けば、わかると思うぞ?」
サマンサは首を横に振ってみせる。
自分のことは知りたい。
そうは思う。
だが、知ったところで、とも思うのだ。
現状は、なにも変わらないのだから、知ることに意味があるだろうか。
むしろ「今」が壊れてしまいそうな気がする。
ここでの生活を失いたくない。
あの「人でなし」の元に帰るつもりはなかったし。
「サム」
レジーが、今度は体を前に倒す。
そして、サマンサの顔を覗き込んできた。
「良かったのか?」
「いいのよ。話を聞こうともしなかったのは、あの人じゃない」
レジーは、サマンサが記憶をなくしていると話そうとしたのだ。
それを断ち切ったのは「公爵」だった。
聞く耳を持っていない相手には、なにを言っても意味がない。
どうせ聞き入れる気などなかったに違いないのだ。
信じたかどうかも疑わしい。
「それより……レジーこそ良かったの? 私、あの時は……」
リスのことしか考えられず、ここに残ると決めている。
だが、そのせいでレジーに大きな負担をかけることになってしまった。
「おー、かまわねぇって。気にすんな」
のんびりとした口調で、レジーがうなずく。
無理をしているのでも、嘘をついているのでもない。
レジーには裏表がなかった。
常に、率直なのだ。
そこに安心する。
「でも、かなり危険そうだったわ」
「俺も、そこそこやれるんだぞ? 見縊るなよ?」
冗談めかした言葉に、サマンサは、ぷっと笑った。
そのサマンサの手を、レジーが握ってくる。
ぎゅっと握られ、少しだけ、どきりとした。
なにか深刻なことを言われると察している。
「サムのことは、俺が守る。ただな。リスは、先に逃がしとく必要がある」
それは、サマンサも考えていたことだ。
自分にかかる危険は、とても大きいらしいのだ。
リスを巻き込むことはしたくない。
離れたくはなかったし、なによりリスに「捨てられた」と思わせたくもないが、危険とわかっていて傍に置くのには躊躇いがあった。
「……私……あの子のことが大好きなの……見捨てたって思わせたくもない」
「わかってる。ただ……あいつは……」
レジーは、いったん言葉を止めて、サマンサの瞳を見つめる。
逡巡していたようだが、やがて口を開いた。
「あいつはリシャール・ウィリュアートン。ウィリュアートンの次期当主なんだ。絶対に死なせるわけにはいかねぇんだよ」
サマンサの中に残る「貴族」としての常識が、感情を抑え込んでくる。
貴族は家督を受け継ぐことを最優先としなければならない。
次期当主とされるリスの命を危険に晒せないのは当然だ。
「ウィリュアートンは、代々、男子が生まれにくい家系だ。現当主は側室を迎える気はねぇらしいし、正妻が男子を成せるかもわからねぇだろ?」
「リスが唯一の後継者になる可能性が高いってことね」
レジーが小さくうなずく。
家督のことも含めて考えれば、リスを確実に守れる方法を取るべきだ。
一緒にいたいと思うのは、自分の自己満足に過ぎない。
「いつまで……一緒にいられるかしら……」
「ひとつアテがある。前々から話をつけられるように手は打ってきたから……遅くても、あと7,8日ってとこだな。早けりゃ5日ほど」
長くて7,8日。
寂しさに、サマンサは無意識にうつむく。
早ければ5日しかないのだ。
それまでに、リスにできるだけのことをしたい、と思う。
見捨てられたなどと思わずにいられるといいのだが、これは自分の我儘だろう。
どういう理由があろうと、手放すことに違いないのだ。
リスからすれば、相手が離れて行く、との結果は変わらない。
「次は、今までみたいに点々とせずにすむようにする」
「レジー……」
「約束する。あいつに安定した環境が必要だってのは、俺も感じてたしな」
レジーがサマンサの手を放し、その手で頭を抱き寄せてきた。
サマンサはレジーの肩に頬を押しつける。
どこかで、ずっとこのまま3人で暮らしていたいと思っていたのだろう。
突然に穏やかな生活が崩れ、サマンサ自身、ショックを受けていた。
愛されていない子。
サマンサは、リスに目一杯の愛情を注ぎたくなっていたのだ。
愛されていないなんて感じずにすむくらいに。
リスが「必要とされる」ために、一生懸命、サマンサの世話をしてきた時から、愛おしくてたまらなくなった。
ほんの少し浮かべる笑顔も、しがみついてくる手も、愛しい。
いずれ離れる時が来るのだろうと思いつつも「いずれ」が来ないことを願った。
「……リスが元気に笑えるようになれると、いいわ……」
「なれるさ。あいつは頭がいい。自分の道を、きっと見つける」
「そうね……とっても、いい子だし……リスを大事にしてくれる人もいるはずよ」
リスが自分の道を見つけるまで、手を引いてあげることはできない。
危険から遠ざけ、リスの道を閉ざさないことが、自分の役目だ。
サマンサは、ふっと思う。
(結局、こうなるのなら……あの人について行ったほうが良かったのかもしれないわね……そうすれば……)
「サム。なに考えてんのかはわかるけど、それは違うぞ」
「え……?」
「さよならもなしに姿を消されんのと、ぎりぎりまで一緒に楽しく過ごすのと。リスにとっちゃ、全然、違う」
「そうかしら?」
「俺は、そう思うね。サムにとっても違うだろ?」
レジーの肩に頬をうずめたまま、小さくうなずいた。
あのまま立ち去っていたら、きっと後悔していただろう。
リスを置いて来てしまったと、いつまでも心に痛みを残していたはずだ。
「一緒にいられる間に、いっぱい抱きしめておくわ……」
つぶやいたサマンサを、慰めるようにレジーが抱き締める。
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