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理不尽陛下の甘やかな囁き 3
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森に家がある、ということは、ティファから聞いていた。
が、訪れたのは初めてだ。
自然が満ち溢れていて、王都とは、まるで違う。
この、ふた月ほどは、たびたびロズウェルドを訪れていた。
ティファに会うのが主たる目的だが、そのほかにも用事があったのだ。
テスアでも、お馴染みの、ある意味では儀式に近いものだと言える。
採寸、試着などなど。
婚姻に関わる準備は、ロズウェルドでも必要だった。
が、テスアとはまた違う大変さがあり、ソルの「指南」のほうがマシだと思ったのだが、それはともかく。
その合間に、ティファとロズウェルドでの「デート」をしている。
街には人があふれ、活気があった。
さすが大国と感じずにはいられないほどの賑やかさ。
通りすがる人々は、ロズウェルドの民だけではない。
他国の商人と思しき者たちも見かけている。
ティファが茶屋と勘違いしたという「カフェ」にも行った。
食事もそうだが、菓子も、高級な物が当然のように並んでいたのを覚えている。
テスアでは貴重とされる砂糖も、ロズウェルドでは簡単に手に入るらしい。
その際、セスは、こういうものが頻繁には食べられなくなることを、ティファは残念がるのではないかと、訊いてみたのだけれども。
『食べなきゃ死ぬわけでもないんだしさ。時々、お土産で、持って来てもらえばいいじゃん。テスアには、テスアのお菓子があるでしょ』
ティファは、実に、あっさり答えている。
当初は、少しばかり感じていた、ロズウェルドとの比較する様子を、最近では、まったく感じなくなった。
(目覚めた時からであったか。ティファは、テスアには帰ると言い、ロズウェルドには戻る、と言うようになった)
ティファが、テスアを居場所として定めたという気がする。
それが、セスには嬉しいのだ。
ロズウェルドは魔術師のいる国で、快適さは他国とは桁違いだった。
その中で暮らしてきたティファにとって、テスアは不便極まりないだろう。
なのに、ティファは、あえてテスアを選んだのだ。
「親に点門をせがむほど、俺に会いたかったのか」
「せ、せがんでないし! あれは、お父さまが勝手に……っ……」
「ならば、俺は帰ったほうがよいのだな」
「え……?」
「会いたいとは思っておらんかったのだろう?」
ティファの顔の赤味が増す。
目をきょときょとさせていて、はっきりと感情が顔に出ていた。
「しかたあるまい。俺は、お前に毎日でも会いたいが、お前はそうでもないらしいのでな。帰って仕事を……」
「そ、そうは言ってない!……ただ……」
「ただ? なんだ?」
「えっと……仕事は大丈夫なのかなって……」
セスは、顔を上にして、周囲をぐるっと見渡す。
青い空と、赤く色づき始めている木々。
辺りは静かで、遠くから鳥の鳴き声が聞こえていた。
「息抜きには、とても良い」
「そっか、それなら良かっ……」
「俺の息抜きは、お前なのでな」
視線を、ティファに戻し、ニっと笑う。
婚姻をするのなら、従順で控えめな女がいいと思っていた。
だが、ティファには似合わない。
強情っぱりで、すぐムキになるティファを、セスは選んでいる。
従順でも、控え目でもないところをこそ、愛おしく感じる。
「ルーの心配してるんだよ!」
セスは、すうっと目を細めた。
ティファが、あ…という顔をする。
「ええーと……お、大取、大取ね、うん」
「やはり躾をせねばならんな。こう何度も同じことを繰り返すのは、お前が俺を、“舐めている”ということだ」
ロズウェルドでの民言葉を、セスは自分のものにしていた。
最初は意味不明と思ったが、案外、使い勝手が良かったのだ。
ティファは、最近、テスアの民の言葉をルーファスに教わっている。
またしても、なぜルーファスなのかと、思っていたところだった。
ティファが、小さく悲鳴をあげる。
立っていたティファを、がばっと抱き上げたからだ。
そのまま横抱きにして、ベンチに座る。
「ま、前々から思ってたんだけど、テスアに、そういう慣習ないよね?」
「そういうとは?」
「特別な関係の人しか名で呼んじゃいけない、とか」
「ないな」
ロズウェルドには、名の呼びかたに対して、おかしな慣習がある。
少なくとも、セスは、おかしいと思っていた。
周囲に愛称で呼ばれている者を正式名で、逆に、周囲から正式名で呼ばれている者を愛称で呼ぶと、それは「特別な仲」を意味するそうだ。
だから、セスは決めている。
(我が地の者がロズウェルドに来ることはないだろうが……ティファの正式名は明かさぬこととしよう)
ルーファスなどは真面目なので、正式名を知れば、慣習を知らず正式名で呼ぶに決まっていた。
特別な仲だと思っているのかと、ティファに意識させたくない。
周りに誤解させるのも嫌だ。
「だったら、別に良くない?」
「なにがだ? お前、開き直るつもりか?」
「いや、だってさぁ……そんなこだわることないかなぁって」
この程度の自覚しかないから、いつまでも「癖」が抜けないのだろう。
セスは目を細め、ティファを見つめて言った。
「なるほどな。お前は躾ではなく、仕置きを望んでおるようだ」
「え……そんなこと言ってないんだケド……?」
「そうかそうか。お前が望むのであれば、叶えてやらねばならん」
「だから、そんなこと言って……」
片手で、ティファの頬を、むにゅっと掴む。
唇が鳥の嘴のように尖っていた。
なんとも滑稽な顔だ。
「思えば、お前は、初めて出会いし頃より、俺に懸想をしておったな」
懸想、というところだけ、わざわざテスアの言葉に戻す。
ティファが面白おかしい顔のまま、手をばたつかせた。
その手を、反対の手で、簡単に捕まえる。
顔を、ぐっと近づけた。
「お前は、俺のものぞ? ほかの男の名を呼ぶことはまかりならん。よいな」
納得していないのか、ティファが尖った唇を、さらに尖らせる。
その唇にふれそうなほど、自分の唇を寄せた。
ふっと、軽く息をかける。
とたん、ティファの顔が赤く染まった。
「まだ強情を張るか? 俺は、それでもかまわん。いくらでも強情を張っておれ」
ティファの黒い瞳に、セスが映っている。
こういう時でも、ティファは視線をそらさない。
じっと、セスを見ている。
「今後、ほかの男の名を呼ぶたび、仕置きする。そこがどこであれ、誰がいようと仕置きされると覚悟しておけ」
言って、ティファに口づけた。
頬を掴むのをやめ、顎に手を添える。
強く押しつけては、繰り返し、軽く唇を合わせた。
捕まえていた手も放す。
無意識なのか、ティファが、その腕をセスの首に回してきた。
抱きしめかえし、何度も口づける。
もう少し、思い知らせてやろうかと思ったが、やめておいた。
素直に縋りついてくる姿が、愛らしかったからだ。
唇を離し、頬を撫でる。
手に熱を感じるほど、頬が赤くなっていた。
が、すぐに、ハッとした顔になる。
セスの首に両腕を捲きつけていることにも気づいたようだ。
狼狽えているティファに、セスは、ニっと笑って言った。
「懸想をした男を手に入れたのだ。己の幸を、とくと喜ぶがいい」
が、訪れたのは初めてだ。
自然が満ち溢れていて、王都とは、まるで違う。
この、ふた月ほどは、たびたびロズウェルドを訪れていた。
ティファに会うのが主たる目的だが、そのほかにも用事があったのだ。
テスアでも、お馴染みの、ある意味では儀式に近いものだと言える。
採寸、試着などなど。
婚姻に関わる準備は、ロズウェルドでも必要だった。
が、テスアとはまた違う大変さがあり、ソルの「指南」のほうがマシだと思ったのだが、それはともかく。
その合間に、ティファとロズウェルドでの「デート」をしている。
街には人があふれ、活気があった。
さすが大国と感じずにはいられないほどの賑やかさ。
通りすがる人々は、ロズウェルドの民だけではない。
他国の商人と思しき者たちも見かけている。
ティファが茶屋と勘違いしたという「カフェ」にも行った。
食事もそうだが、菓子も、高級な物が当然のように並んでいたのを覚えている。
テスアでは貴重とされる砂糖も、ロズウェルドでは簡単に手に入るらしい。
その際、セスは、こういうものが頻繁には食べられなくなることを、ティファは残念がるのではないかと、訊いてみたのだけれども。
『食べなきゃ死ぬわけでもないんだしさ。時々、お土産で、持って来てもらえばいいじゃん。テスアには、テスアのお菓子があるでしょ』
ティファは、実に、あっさり答えている。
当初は、少しばかり感じていた、ロズウェルドとの比較する様子を、最近では、まったく感じなくなった。
(目覚めた時からであったか。ティファは、テスアには帰ると言い、ロズウェルドには戻る、と言うようになった)
ティファが、テスアを居場所として定めたという気がする。
それが、セスには嬉しいのだ。
ロズウェルドは魔術師のいる国で、快適さは他国とは桁違いだった。
その中で暮らしてきたティファにとって、テスアは不便極まりないだろう。
なのに、ティファは、あえてテスアを選んだのだ。
「親に点門をせがむほど、俺に会いたかったのか」
「せ、せがんでないし! あれは、お父さまが勝手に……っ……」
「ならば、俺は帰ったほうがよいのだな」
「え……?」
「会いたいとは思っておらんかったのだろう?」
ティファの顔の赤味が増す。
目をきょときょとさせていて、はっきりと感情が顔に出ていた。
「しかたあるまい。俺は、お前に毎日でも会いたいが、お前はそうでもないらしいのでな。帰って仕事を……」
「そ、そうは言ってない!……ただ……」
「ただ? なんだ?」
「えっと……仕事は大丈夫なのかなって……」
セスは、顔を上にして、周囲をぐるっと見渡す。
青い空と、赤く色づき始めている木々。
辺りは静かで、遠くから鳥の鳴き声が聞こえていた。
「息抜きには、とても良い」
「そっか、それなら良かっ……」
「俺の息抜きは、お前なのでな」
視線を、ティファに戻し、ニっと笑う。
婚姻をするのなら、従順で控えめな女がいいと思っていた。
だが、ティファには似合わない。
強情っぱりで、すぐムキになるティファを、セスは選んでいる。
従順でも、控え目でもないところをこそ、愛おしく感じる。
「ルーの心配してるんだよ!」
セスは、すうっと目を細めた。
ティファが、あ…という顔をする。
「ええーと……お、大取、大取ね、うん」
「やはり躾をせねばならんな。こう何度も同じことを繰り返すのは、お前が俺を、“舐めている”ということだ」
ロズウェルドでの民言葉を、セスは自分のものにしていた。
最初は意味不明と思ったが、案外、使い勝手が良かったのだ。
ティファは、最近、テスアの民の言葉をルーファスに教わっている。
またしても、なぜルーファスなのかと、思っていたところだった。
ティファが、小さく悲鳴をあげる。
立っていたティファを、がばっと抱き上げたからだ。
そのまま横抱きにして、ベンチに座る。
「ま、前々から思ってたんだけど、テスアに、そういう慣習ないよね?」
「そういうとは?」
「特別な関係の人しか名で呼んじゃいけない、とか」
「ないな」
ロズウェルドには、名の呼びかたに対して、おかしな慣習がある。
少なくとも、セスは、おかしいと思っていた。
周囲に愛称で呼ばれている者を正式名で、逆に、周囲から正式名で呼ばれている者を愛称で呼ぶと、それは「特別な仲」を意味するそうだ。
だから、セスは決めている。
(我が地の者がロズウェルドに来ることはないだろうが……ティファの正式名は明かさぬこととしよう)
ルーファスなどは真面目なので、正式名を知れば、慣習を知らず正式名で呼ぶに決まっていた。
特別な仲だと思っているのかと、ティファに意識させたくない。
周りに誤解させるのも嫌だ。
「だったら、別に良くない?」
「なにがだ? お前、開き直るつもりか?」
「いや、だってさぁ……そんなこだわることないかなぁって」
この程度の自覚しかないから、いつまでも「癖」が抜けないのだろう。
セスは目を細め、ティファを見つめて言った。
「なるほどな。お前は躾ではなく、仕置きを望んでおるようだ」
「え……そんなこと言ってないんだケド……?」
「そうかそうか。お前が望むのであれば、叶えてやらねばならん」
「だから、そんなこと言って……」
片手で、ティファの頬を、むにゅっと掴む。
唇が鳥の嘴のように尖っていた。
なんとも滑稽な顔だ。
「思えば、お前は、初めて出会いし頃より、俺に懸想をしておったな」
懸想、というところだけ、わざわざテスアの言葉に戻す。
ティファが面白おかしい顔のまま、手をばたつかせた。
その手を、反対の手で、簡単に捕まえる。
顔を、ぐっと近づけた。
「お前は、俺のものぞ? ほかの男の名を呼ぶことはまかりならん。よいな」
納得していないのか、ティファが尖った唇を、さらに尖らせる。
その唇にふれそうなほど、自分の唇を寄せた。
ふっと、軽く息をかける。
とたん、ティファの顔が赤く染まった。
「まだ強情を張るか? 俺は、それでもかまわん。いくらでも強情を張っておれ」
ティファの黒い瞳に、セスが映っている。
こういう時でも、ティファは視線をそらさない。
じっと、セスを見ている。
「今後、ほかの男の名を呼ぶたび、仕置きする。そこがどこであれ、誰がいようと仕置きされると覚悟しておけ」
言って、ティファに口づけた。
頬を掴むのをやめ、顎に手を添える。
強く押しつけては、繰り返し、軽く唇を合わせた。
捕まえていた手も放す。
無意識なのか、ティファが、その腕をセスの首に回してきた。
抱きしめかえし、何度も口づける。
もう少し、思い知らせてやろうかと思ったが、やめておいた。
素直に縋りついてくる姿が、愛らしかったからだ。
唇を離し、頬を撫でる。
手に熱を感じるほど、頬が赤くなっていた。
が、すぐに、ハッとした顔になる。
セスの首に両腕を捲きつけていることにも気づいたようだ。
狼狽えているティファに、セスは、ニっと笑って言った。
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