10 / 84
頭痛に苦笑 2
しおりを挟む
シェルニティは、彼の淹れてくれた紅茶を手に、居間のソファに座っている。
昼食後に父を見送り、そのあとは、彼と畑仕事に精を出した。
夕食をすませ、こうして寛ぐのが日常になっている。
(あら? 彼、なにか魔術を使っているみたい)
シェルニティの魔術関連の知識は、たいして多くはない。
貴族教育の一環で習ったことと、本に書いてあることだけだ。
彼女自身は魔力顕現していないため、多くを学ぶ必要がなかった。
それでも、基本的な部分は押さえている。
たとえば、魔術の発動には「動作」が必要だということやなんかだ。
ただ、彼の場合、ほとんど動作は見受けられない。
料理中もそうだった。
魔術を使っていると聞かされていても、気づけずにいる。
彼は、特異な魔術師なので、動作は不要なのかもしれない、と思っていた。
が、近くで「観察」していると、気づくこともある。
どういう種類かはともかく、魔術を使っているのではないかと思える微妙な仕草の変化があった。
(これは伝えておくべきね。動作を読まれるのは、危険なことらしいもの)
魔術は、発動に動作を必要とする。
その動作がなにかを知っている相手には、対処されてしまうのだ。
魔術師が動きの見えにくいローブを身につけているのも、そのためらしかった。
けれど、彼は、ローブなんて着ない。
ほとんど民服で過ごしている。
今日は、青みがかった紫の上着に黒い幅のあるズボン姿。
上着は、胸元が編み上げになっていた。
そうした姿に見慣れているせいか、彼の正装や礼装姿に、シェルニティは、どきどきしてしまうのだ。
堅苦しさがまるで感じられず、あたり前に着こなしていて、凛々しさが際立つ。
民服の時の、穏やかでのんびりとした雰囲気とは違い、ピリッとしていた。
どちらの彼も好ましいのだけれども。
「今、あなた、魔術を使っていたのでしょう?」
彼が、少し驚いたような表情を浮かべる。
やはり魔術師にとっては、重大事なのだろう。
彼の動作は、動作というより仕草に近いため、わからないことも多くある。
が、ひとつでも気づかれるのは、不本意に違いない。
「きみに隠し事はできないね」
彼は、嫌そうな顔はせず、にっこりした。
シェルニティは、逆に真面目な顔で言う。
自分が気づいたということは、ほかの人にも気づかれる可能性があるのだ。
危険が伴うのであれば、気をつけてほしかった。
「魔術を使っている時、ほんの少しだけれど、あなた、瞬きの間隔が長くなるの」
「へえ。それは、私も気づかなかったな」
「本当に、ちょっとだけだから、気づく人は少ないかもしれないわ。でも……」
紅茶をテーブルに置き、シェルニティは、両手で彼の右手を握る。
彼の瞳を、じっと見つめた。
「瞬きなんて、意識してするものではないから、気をつけるのは難しいことよね。でも、気をつけてほしいの」
ゆるく彼の目が細められる。
彼の左手が、シェルニティの手の上に重ねられた。
「きみが、そう言うのなら、精一杯、努力をするよ」
「あなたは大きな魔術が使えるし、とても強いけれど、なんでもできるというわけではないのだもの……あなたを失ったらと思うと……とても怖いわ」
彼に会うまで、シェルニティは「不安」という感覚すら知らずにいた。
叱られることはあっても、命の危険に晒されたことなどなかったからだ。
けれど、少し前、クリフォード・レックスモアに、彼女は殺されかけている。
死が足元にまで迫ってきたのだ。
それが、彼には起こらない、とは思えなかった。
まともに自死もできず、死からは、ほど遠かったはずの自分にさえも起こったのだから。
「私も、きみを失ったらと思うと、とても怖い。きっと恐ろし過ぎて耐えられないのだろうね。だから、怒りに置き換えてしまうのだと思う。そうしなければ、自分を保っていられなくなるから」
自分が死ぬのだって、当然に、怖い。
苦しかったり、痛かったりするのも嫌だ。
けれど、彼を失うことは、比較にならないくらいに怖いと感じる。
「同じなのに……違うのね」
「そうだね。私も、そう感じるよ」
自分が死ぬと、彼には会えなくなるし、ふれることもできない。
彼が死ねば、彼には会えなくなるし、ふれることもできない。
結果は同じだ。
なのに、違う。
遺される、という意味において。
自分には感情も感覚もあるのに、相手がいない。
きっと、その際に「感じるもの」が怖いのだ。
実感したいなどとは、到底、思えなかった。
「私は、いなくなったりしないよ、シェリー。私がいなくなれば、これ幸いにと、きみの隣におさまろうとする者が現れるに違いないのでね。私以外の者を、きみの隣に侍らせるなんて許せるわけがない」
彼の軽口に、心が軽くなる。
彼は、できないことは言わないし、できない約束もしないのだ。
降りかかる危険を、ちゃんと避けてくれると信じられた。
「そんな人いるかしら? 私には、思いつかないわ」
「いるさ。たとえば、ほら、そう……アリスとか」
ぷっと、シェルニティは吹き出す。
アリスというのは、この近くに住んでいるらしき「馬」のことだ。
彼に飼われているのではないが、呼ぶと現れる。
呼ばれなくても、ひょっこり顔を出すこともあった。
アリスは、シェルニティのお気に入りなのだ。
たびたび、彼は、アリスが「馬」に見えなくなるらしかった。
そして、彼女がアリスを可愛がると嫉妬をする。
いくら「たてがみにしか口づけない」と誓っても。
「恋敵を蹴散らすためにも、私は生きていなくちゃあね」
「あなたが、そう思ってくれるのなら、それでかまわないわ」
すいっと、彼が顔を寄せ、シェルニティの頬に口づけた。
それから、なぜか小さく唸る。
「うーん、これでは、身がもたない」
「どういうこと?」
「きみを抱き上げて、ベッドに連れて行きたくなる」
「そうなの? 私、まだ、それほど眠くはないけれど?」
彼が小さく笑いながら、シェルニティの耳元で囁いた。
「ベッドに行くのは、眠い時ばかりではないのじゃないかな?」
一瞬、考える。
すぐに気づいた。
シェルニティは、貴族教育を受けているのだ。
(そ、そうよね。そうよ……だって、私たちは、婚約しているのだもの……)
婚姻前にベッドをともにすることは、よくあることで、めずらしくない。
意識すると、急に頬が熱くなってくる。
今まで、シェルニティに性的なものを求める男性はいなかった。
そのため、知識はあっても、慣れていないのだ。
どう返答をすればいいのか、わからない。
「このまま、きみを連れて行ってしまおうか」
「えっ?」
驚いて、シェルニティは、ぴょんっと飛びあがってしまった。
彼が、くすくすと笑っている。
「きみは、本当に可愛いね、私の愛しいシェリー」
昼食後に父を見送り、そのあとは、彼と畑仕事に精を出した。
夕食をすませ、こうして寛ぐのが日常になっている。
(あら? 彼、なにか魔術を使っているみたい)
シェルニティの魔術関連の知識は、たいして多くはない。
貴族教育の一環で習ったことと、本に書いてあることだけだ。
彼女自身は魔力顕現していないため、多くを学ぶ必要がなかった。
それでも、基本的な部分は押さえている。
たとえば、魔術の発動には「動作」が必要だということやなんかだ。
ただ、彼の場合、ほとんど動作は見受けられない。
料理中もそうだった。
魔術を使っていると聞かされていても、気づけずにいる。
彼は、特異な魔術師なので、動作は不要なのかもしれない、と思っていた。
が、近くで「観察」していると、気づくこともある。
どういう種類かはともかく、魔術を使っているのではないかと思える微妙な仕草の変化があった。
(これは伝えておくべきね。動作を読まれるのは、危険なことらしいもの)
魔術は、発動に動作を必要とする。
その動作がなにかを知っている相手には、対処されてしまうのだ。
魔術師が動きの見えにくいローブを身につけているのも、そのためらしかった。
けれど、彼は、ローブなんて着ない。
ほとんど民服で過ごしている。
今日は、青みがかった紫の上着に黒い幅のあるズボン姿。
上着は、胸元が編み上げになっていた。
そうした姿に見慣れているせいか、彼の正装や礼装姿に、シェルニティは、どきどきしてしまうのだ。
堅苦しさがまるで感じられず、あたり前に着こなしていて、凛々しさが際立つ。
民服の時の、穏やかでのんびりとした雰囲気とは違い、ピリッとしていた。
どちらの彼も好ましいのだけれども。
「今、あなた、魔術を使っていたのでしょう?」
彼が、少し驚いたような表情を浮かべる。
やはり魔術師にとっては、重大事なのだろう。
彼の動作は、動作というより仕草に近いため、わからないことも多くある。
が、ひとつでも気づかれるのは、不本意に違いない。
「きみに隠し事はできないね」
彼は、嫌そうな顔はせず、にっこりした。
シェルニティは、逆に真面目な顔で言う。
自分が気づいたということは、ほかの人にも気づかれる可能性があるのだ。
危険が伴うのであれば、気をつけてほしかった。
「魔術を使っている時、ほんの少しだけれど、あなた、瞬きの間隔が長くなるの」
「へえ。それは、私も気づかなかったな」
「本当に、ちょっとだけだから、気づく人は少ないかもしれないわ。でも……」
紅茶をテーブルに置き、シェルニティは、両手で彼の右手を握る。
彼の瞳を、じっと見つめた。
「瞬きなんて、意識してするものではないから、気をつけるのは難しいことよね。でも、気をつけてほしいの」
ゆるく彼の目が細められる。
彼の左手が、シェルニティの手の上に重ねられた。
「きみが、そう言うのなら、精一杯、努力をするよ」
「あなたは大きな魔術が使えるし、とても強いけれど、なんでもできるというわけではないのだもの……あなたを失ったらと思うと……とても怖いわ」
彼に会うまで、シェルニティは「不安」という感覚すら知らずにいた。
叱られることはあっても、命の危険に晒されたことなどなかったからだ。
けれど、少し前、クリフォード・レックスモアに、彼女は殺されかけている。
死が足元にまで迫ってきたのだ。
それが、彼には起こらない、とは思えなかった。
まともに自死もできず、死からは、ほど遠かったはずの自分にさえも起こったのだから。
「私も、きみを失ったらと思うと、とても怖い。きっと恐ろし過ぎて耐えられないのだろうね。だから、怒りに置き換えてしまうのだと思う。そうしなければ、自分を保っていられなくなるから」
自分が死ぬのだって、当然に、怖い。
苦しかったり、痛かったりするのも嫌だ。
けれど、彼を失うことは、比較にならないくらいに怖いと感じる。
「同じなのに……違うのね」
「そうだね。私も、そう感じるよ」
自分が死ぬと、彼には会えなくなるし、ふれることもできない。
彼が死ねば、彼には会えなくなるし、ふれることもできない。
結果は同じだ。
なのに、違う。
遺される、という意味において。
自分には感情も感覚もあるのに、相手がいない。
きっと、その際に「感じるもの」が怖いのだ。
実感したいなどとは、到底、思えなかった。
「私は、いなくなったりしないよ、シェリー。私がいなくなれば、これ幸いにと、きみの隣におさまろうとする者が現れるに違いないのでね。私以外の者を、きみの隣に侍らせるなんて許せるわけがない」
彼の軽口に、心が軽くなる。
彼は、できないことは言わないし、できない約束もしないのだ。
降りかかる危険を、ちゃんと避けてくれると信じられた。
「そんな人いるかしら? 私には、思いつかないわ」
「いるさ。たとえば、ほら、そう……アリスとか」
ぷっと、シェルニティは吹き出す。
アリスというのは、この近くに住んでいるらしき「馬」のことだ。
彼に飼われているのではないが、呼ぶと現れる。
呼ばれなくても、ひょっこり顔を出すこともあった。
アリスは、シェルニティのお気に入りなのだ。
たびたび、彼は、アリスが「馬」に見えなくなるらしかった。
そして、彼女がアリスを可愛がると嫉妬をする。
いくら「たてがみにしか口づけない」と誓っても。
「恋敵を蹴散らすためにも、私は生きていなくちゃあね」
「あなたが、そう思ってくれるのなら、それでかまわないわ」
すいっと、彼が顔を寄せ、シェルニティの頬に口づけた。
それから、なぜか小さく唸る。
「うーん、これでは、身がもたない」
「どういうこと?」
「きみを抱き上げて、ベッドに連れて行きたくなる」
「そうなの? 私、まだ、それほど眠くはないけれど?」
彼が小さく笑いながら、シェルニティの耳元で囁いた。
「ベッドに行くのは、眠い時ばかりではないのじゃないかな?」
一瞬、考える。
すぐに気づいた。
シェルニティは、貴族教育を受けているのだ。
(そ、そうよね。そうよ……だって、私たちは、婚約しているのだもの……)
婚姻前にベッドをともにすることは、よくあることで、めずらしくない。
意識すると、急に頬が熱くなってくる。
今まで、シェルニティに性的なものを求める男性はいなかった。
そのため、知識はあっても、慣れていないのだ。
どう返答をすればいいのか、わからない。
「このまま、きみを連れて行ってしまおうか」
「えっ?」
驚いて、シェルニティは、ぴょんっと飛びあがってしまった。
彼が、くすくすと笑っている。
「きみは、本当に可愛いね、私の愛しいシェリー」
0
あなたにおすすめの小説
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
冷徹宰相様の嫁探し
菱沼あゆ
ファンタジー
あまり裕福でない公爵家の次女、マレーヌは、ある日突然、第一王子エヴァンの正妃となるよう、申し渡される。
その知らせを持って来たのは、若き宰相アルベルトだったが。
マレーヌは思う。
いやいやいやっ。
私が好きなのは、王子様じゃなくてあなたの方なんですけど~っ!?
実家が無害そう、という理由で王子の妃に選ばれたマレーヌと、冷徹宰相の恋物語。
(「小説家になろう」でも公開しています)
捨てられ侯爵令嬢ですが、逃亡先で息子と幸せに過ごしていますので、邪魔しないでください。
蒼月柚希
恋愛
公爵様の呪いは解かれました。
これで、貴方も私も自由です。
……だから、もういいですよね?
私も、自由にして……。
5年後。
私は、ある事情から生まれ育った祖国を離れ、
親切な冒険者パーティーと、その地を治める辺境伯様のご家族に守られながら、
今日も幸せに子育てをしています。
だから貴方も勝手に、お幸せになってくださいね。
私のことは忘れて……。
これは、お互いの思いがこじれ、離れ離れになってしまった一組の夫婦の物語。
はたして、夫婦は無事に、離婚を回避することができるのか?
【完結】きみの騎士
* ゆるゆ
恋愛
村で出逢った貴族の男の子ルフィスを守るために男装して騎士になった平民の女の子が、おひめさまにきゃあきゃあ言われたり、男装がばれて王太子に抱きしめられたり、当て馬で舞踏会に出たりしながら、ずっとすきだったルフィスとしあわせになるお話です。
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
英雄魔術師様とのシークレットベビーが天才で隠し通すのが大変です
氷雨そら
恋愛
――この魔石の意味がわからないほど子どもじゃない。
英雄魔術師カナンが遠征する直前、フィアーナと交わした一夜で授かった愛娘シェリア。フィアーナは、シェリアがカナンの娘であることを隠し、守るために王都を離れ遠い北の地で魔石を鑑定しながら暮らしていた。けれど、シェリアが三歳を迎えた日、彼女を取り囲む全ての属性の魔石が光る。彼女は父と同じ、全属性の魔力持ちだったのだ。これは、シークレットベビーを育てながら、健気に逞しく生きてきたヒロインが、天才魔術師様と天才愛娘に翻弄されながらも溺愛される幸せいっぱいハートフルストーリー。小説家になろうにも投稿しています。
【完結】領主の妻になりました
青波鳩子
恋愛
「私が君を愛することは無い」
司祭しかいない小さな教会で、夫になったばかりのクライブにフォスティーヌはそう告げられた。
===============================================
オルティス王の側室を母に持つ第三王子クライブと、バーネット侯爵家フォスティーヌは婚約していた。
挙式を半年後に控えたある日、王宮にて事件が勃発した。
クライブの異母兄である王太子ジェイラスが、国王陛下とクライブの実母である側室を暗殺。
新たに王の座に就いたジェイラスは、異母弟である第二王子マーヴィンを公金横領の疑いで捕縛、第三王子クライブにオールブライト辺境領を治める沙汰を下した。
マーヴィンの婚約者だったブリジットは共犯の疑いがあったが確たる証拠が見つからない。
ブリジットが王都にいてはマーヴィンの子飼いと接触、画策の恐れから、ジェイラスはクライブにオールブライト領でブリジットの隔離監視を命じる。
捜査中に大怪我を負い、生涯歩けなくなったブリジットをクライブは密かに想っていた。
長兄からの「ブリジットの隔離監視」を都合よく解釈したクライブは、オールブライト辺境伯の館のうち豪華な別邸でブリジットを囲った。
新王である長兄の命令に逆らえずフォスティーヌと結婚したクライブは、本邸にフォスティーヌを置き、自分はブリジットと別邸で暮らした。
フォスティーヌに「別邸には近づくことを許可しない」と告げて。
フォスティーヌは「お飾りの領主の妻」としてオールブライトで生きていく。
ブリジットの大きな嘘をクライブが知り、そこからクライブとフォスティーヌの関係性が変わり始める。
========================================
*荒唐無稽の世界観の中、ふんわりと書いていますのでふんわりとお読みください
*約10万字で最終話を含めて全29話です
*他のサイトでも公開します
*10月16日より、1日2話ずつ、7時と19時にアップします
*誤字、脱字、衍字、誤用、素早く脳内変換してお読みいただけるとありがたいです
老聖女の政略結婚
那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。
六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。
しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。
相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。
子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。
穏やかな余生か、嵐の老後か――
四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる