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紗凪 6
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「ボクなんて、居なくなった方がいいのかな」
大輝の温もりに包まれながら、そんな言葉を続ける。
だけど、本気でそう思ったわけではなくて、受け止めてくれる大輝がいたからこその言葉だった。
「居なくなるんだろ?」
ボクを抱き寄せる腕を緩めながら口を開いた大輝の声色は喜悦に満ちていて、思わず顔を上げる。
「不細工な顔、」
大輝の存在に安心して感情のままに涙を流したボクは、さぞかし汚い顔をしていたのだろう。嬉しそうにそう言うと、涙を舐め取るかのように顔中に唇を落とす。
「紗凪はずっとここに居たらいいんだよ。
ずっとオレの側に居るんだから、他の人から見たらいないのと同じだろ」
言い聞かせるようにこんな言葉を口にして、「諦め悪いよね」と振動し続けるスマホに視線を向ける。
「紗凪が出ると思ってるのかな」
馬鹿にするような口調は、普段見せる顔とは違い、少しずつ少しずつ、本当に少しずつだけど、姉と話していた時に感じた違和感が強くなっていく。
「自分たちが突き放したのに、それなのに今更縋るとか、あの人もそうだけど、紗凪には何しても大丈夫だって、思いすぎなんじゃない?」
心配しているというよりも、ボク以外を嘲るような言葉を繰り返しながらも唇を落とし続ける。
「大丈夫って?」
「紗凪なら何言っても大丈夫って。
紗凪なら何やっても大丈夫って。
だから紗凪があの人と付き合ってたって知ってたのに、奪うために連絡してくるんだよ。
お腹の子のことを言えば紗凪が逆らわないって思ってたんじゃない?」
「やっぱりそうなのかな、」
「お母さんだって、紗凪の口から聞きたかったなんて言ってたけど、そんなふうには思えなかったよな。
オレには、紗凪に認めさせるために問いつめているようにしか思えなかった」
ボクと同じように感じていたようで、ボクの欲しい言葉をくれる大輝は唇を落とすのをやめ、もう一度ボクを抱きしめる。
同じ気持ちでいてくれることに安心するものの、それでも消えない違和感の理由を考えながら口を開いてみる。
「写真って、誰が撮ったのかな」
ずっと気になっていたことだった。
姉には誰かに恨まれているのではないかと言ったけれど、姉が貴哉と別れてから短くない年月が経っている。
姉が妻となり、母となったように母の周りの人たちだって同じようにその頃とは違う人生を送っているだろう。それなのに貴哉に執着し、姉を挑発するために何枚も何枚も写真を送るような行動を繰り返すだろうか。
「お姉さんに恨みを持つ人とか」
「でも、姉さんに恨みを持ってるならもっと直接的な何かがあるんじゃない?」
「じゃあ、あの人のことが好きな人とか」
「だったら直接ボクに嫌がらせすればいいと思うけど。
それに、姉さんと別れてから誰とも付き合ってなかったわけじゃないはずなのに、」
「長続きしなかったとか?」
「でも、」
「そんなに気にすることないんじゃないの。
紗凪に直接何かあったわけじゃないし」
そう言いながら抱きしめる大輝の鼓動に少しだけ変化が現れる。
「直接何かあったわけじゃないって言っても知らない誰かにずっと見られてたなんて、気持ち悪いし。
だって何枚もあったってことはひと月に一枚だったとしても何ヶ月も撮られてたってことだよ?
それが何ヶ月かに一枚だったら1年以上でしょ」
そう。
偶然撮った写真を送っただけなら理解できないこともない。
貴哉に対して想いを抱いたまま過ごしていた誰かがボクというパートナーの出現によってその想いを成就できなくなってしまったとしても、その矛先を姉にに向ける理由が分からない。
もしも姉と義兄が円満であったなら無駄な労力になるだけだし、ボクと姉の仲が良ければこんなふうに拗れることもなかっただろう。
出向先で貴哉と再会して可愛がってもらっていると告げ、過去を懐かしむだけで終わるような出来事。
写真が送られてきたとしても『こんな写真、送られてきたんだけど?』と姉から連絡をもらい、『何がしたいんだろうね』と笑って終わるような取るに足らないこと。
何枚も何枚も送られていたとしても、関係性の良い姉弟なら「また来たんだけど、何か心当たりある?」「気持ち悪いね」「気を付けなさいよ」で終わったであだろうこと。
「ふたりで出かけるのだって、日にちとか、曜日とか決まってたわけじゃないからずっと見張られてたかもしれないんだよ?
いつからなのか、
何でなのか、
貴哉が見張られてたのか、
ボクが見張られてたのか、
誰が、何のために、
今だって見張られてるかもしれないし、ここがバレてまた実家に写真とか送られたらどうすればいいの?」
考えれば考えるほど怖くなって大輝に縋りたくなるけれど、ボクの言葉で変化する鼓動に違和感は不安に変わっていく。だけど、大輝を信じたくて言葉を続ける。
「今度は大気にも迷惑がかかるかもしれない。
会社にも迷惑がかかるかもしれない」
「オレは別に何があっても迷惑だなんて思わないし、会社だって直接連絡来れば対応すればいいだけだし、取引先なんて分からないだろうし。
紗凪は心配しすぎだって」
「でも、今だってもしかしたら」
「だから、大丈夫なんだってば。
誰にも見張られてなんかないし、お姉さんのところに写真が送られるようなことだってもう無いし」
デモデモダッテと言い続けるボクを安心させるための言葉がボクの動きを止める。その確信に満ちた言葉は、ボクの不安を肯定する。
「何で見張られてないし、写真を送ることはないって大輝が言い切れるの?」
「何でって、あの部屋から出たんだから」
「何でボクがあの部屋が出たって、写真を送って人は知ってるの?
それにボクがいないことに気付いたら逆に探すんじゃないの?」
姉と話していた時に感じた違和感は確信に変わり、大輝の言葉の綻びを探す。
「それに、姉さんは貴哉とボクがまだ一緒にいるって勘違いしてるんだから、写真はまだ送られてきてるって考える方が自然なんじゃないの?
写真はまだ送られてるかもしれないし、あの家を出た時も、大輝の家に行った時も見張られてたのかもしれない。
もしかしたらこの部屋だって見張られてるかもしれないし、見張られてなかったとしても、今も探されてるかもしれない」
違和感に気付きながらも見て見ぬ振りをしていた。
貴哉のことを好きな人がボクのことを疎ましく思い、姉に写真を送ったのかもしれない。この場合、ボクが弟だと知っていたと仮定すると姉の結婚式に参列していた誰かが疑わしいことになる。
もしもボクのことを弟と知らなかったとしても、自分の元婚約者が同性のパートナーを持ったことを姉に知らせれば、何らかのアクションを起こすことを期待していたことになる。この場合、姉の結婚式には参列していない誰かが疑わしいけれど、こっちにいた頃の姉の交友関係なんて把握していないから写真を送った人物を予想することすらできない。
だから、追求することを諦めた。
結婚式に出席した誰かを探すことも、こっちにいた頃の姉の交友関係を探ることも、実家を離れ、貴哉から離れたボクにできることはなかったから。
【写真】という存在を恐れ、写真撮った人物を恐れ、写真を撮られてきたことに怯えていたけれど、ここに来て違和感の正体に目を向ける。
気になりはしていたものの、あえて目を逸らし続けてきて事実。
ターゲットは本当に姉、もしくは貴哉だったのだろうか。
ボクの姉である紗羅と、ボクと付き合っていた貴哉とボク、紗凪。
姉と貴哉の共通の知り合いにばかり目を向けていたけれど、ボクを含めた3人と直接の交流はなくてもその存在を把握しているただひとりの人物。
それは。
「ねえ、写真を送ったのって、大輝なの?」
腕の中で緊張しながら発した言葉に返事は返ってこなかったけれど、ボクを抱きしめる強さと早くなった鼓動がその答えだった。
大輝の温もりに包まれながら、そんな言葉を続ける。
だけど、本気でそう思ったわけではなくて、受け止めてくれる大輝がいたからこその言葉だった。
「居なくなるんだろ?」
ボクを抱き寄せる腕を緩めながら口を開いた大輝の声色は喜悦に満ちていて、思わず顔を上げる。
「不細工な顔、」
大輝の存在に安心して感情のままに涙を流したボクは、さぞかし汚い顔をしていたのだろう。嬉しそうにそう言うと、涙を舐め取るかのように顔中に唇を落とす。
「紗凪はずっとここに居たらいいんだよ。
ずっとオレの側に居るんだから、他の人から見たらいないのと同じだろ」
言い聞かせるようにこんな言葉を口にして、「諦め悪いよね」と振動し続けるスマホに視線を向ける。
「紗凪が出ると思ってるのかな」
馬鹿にするような口調は、普段見せる顔とは違い、少しずつ少しずつ、本当に少しずつだけど、姉と話していた時に感じた違和感が強くなっていく。
「自分たちが突き放したのに、それなのに今更縋るとか、あの人もそうだけど、紗凪には何しても大丈夫だって、思いすぎなんじゃない?」
心配しているというよりも、ボク以外を嘲るような言葉を繰り返しながらも唇を落とし続ける。
「大丈夫って?」
「紗凪なら何言っても大丈夫って。
紗凪なら何やっても大丈夫って。
だから紗凪があの人と付き合ってたって知ってたのに、奪うために連絡してくるんだよ。
お腹の子のことを言えば紗凪が逆らわないって思ってたんじゃない?」
「やっぱりそうなのかな、」
「お母さんだって、紗凪の口から聞きたかったなんて言ってたけど、そんなふうには思えなかったよな。
オレには、紗凪に認めさせるために問いつめているようにしか思えなかった」
ボクと同じように感じていたようで、ボクの欲しい言葉をくれる大輝は唇を落とすのをやめ、もう一度ボクを抱きしめる。
同じ気持ちでいてくれることに安心するものの、それでも消えない違和感の理由を考えながら口を開いてみる。
「写真って、誰が撮ったのかな」
ずっと気になっていたことだった。
姉には誰かに恨まれているのではないかと言ったけれど、姉が貴哉と別れてから短くない年月が経っている。
姉が妻となり、母となったように母の周りの人たちだって同じようにその頃とは違う人生を送っているだろう。それなのに貴哉に執着し、姉を挑発するために何枚も何枚も写真を送るような行動を繰り返すだろうか。
「お姉さんに恨みを持つ人とか」
「でも、姉さんに恨みを持ってるならもっと直接的な何かがあるんじゃない?」
「じゃあ、あの人のことが好きな人とか」
「だったら直接ボクに嫌がらせすればいいと思うけど。
それに、姉さんと別れてから誰とも付き合ってなかったわけじゃないはずなのに、」
「長続きしなかったとか?」
「でも、」
「そんなに気にすることないんじゃないの。
紗凪に直接何かあったわけじゃないし」
そう言いながら抱きしめる大輝の鼓動に少しだけ変化が現れる。
「直接何かあったわけじゃないって言っても知らない誰かにずっと見られてたなんて、気持ち悪いし。
だって何枚もあったってことはひと月に一枚だったとしても何ヶ月も撮られてたってことだよ?
それが何ヶ月かに一枚だったら1年以上でしょ」
そう。
偶然撮った写真を送っただけなら理解できないこともない。
貴哉に対して想いを抱いたまま過ごしていた誰かがボクというパートナーの出現によってその想いを成就できなくなってしまったとしても、その矛先を姉にに向ける理由が分からない。
もしも姉と義兄が円満であったなら無駄な労力になるだけだし、ボクと姉の仲が良ければこんなふうに拗れることもなかっただろう。
出向先で貴哉と再会して可愛がってもらっていると告げ、過去を懐かしむだけで終わるような出来事。
写真が送られてきたとしても『こんな写真、送られてきたんだけど?』と姉から連絡をもらい、『何がしたいんだろうね』と笑って終わるような取るに足らないこと。
何枚も何枚も送られていたとしても、関係性の良い姉弟なら「また来たんだけど、何か心当たりある?」「気持ち悪いね」「気を付けなさいよ」で終わったであだろうこと。
「ふたりで出かけるのだって、日にちとか、曜日とか決まってたわけじゃないからずっと見張られてたかもしれないんだよ?
いつからなのか、
何でなのか、
貴哉が見張られてたのか、
ボクが見張られてたのか、
誰が、何のために、
今だって見張られてるかもしれないし、ここがバレてまた実家に写真とか送られたらどうすればいいの?」
考えれば考えるほど怖くなって大輝に縋りたくなるけれど、ボクの言葉で変化する鼓動に違和感は不安に変わっていく。だけど、大輝を信じたくて言葉を続ける。
「今度は大気にも迷惑がかかるかもしれない。
会社にも迷惑がかかるかもしれない」
「オレは別に何があっても迷惑だなんて思わないし、会社だって直接連絡来れば対応すればいいだけだし、取引先なんて分からないだろうし。
紗凪は心配しすぎだって」
「でも、今だってもしかしたら」
「だから、大丈夫なんだってば。
誰にも見張られてなんかないし、お姉さんのところに写真が送られるようなことだってもう無いし」
デモデモダッテと言い続けるボクを安心させるための言葉がボクの動きを止める。その確信に満ちた言葉は、ボクの不安を肯定する。
「何で見張られてないし、写真を送ることはないって大輝が言い切れるの?」
「何でって、あの部屋から出たんだから」
「何でボクがあの部屋が出たって、写真を送って人は知ってるの?
それにボクがいないことに気付いたら逆に探すんじゃないの?」
姉と話していた時に感じた違和感は確信に変わり、大輝の言葉の綻びを探す。
「それに、姉さんは貴哉とボクがまだ一緒にいるって勘違いしてるんだから、写真はまだ送られてきてるって考える方が自然なんじゃないの?
写真はまだ送られてるかもしれないし、あの家を出た時も、大輝の家に行った時も見張られてたのかもしれない。
もしかしたらこの部屋だって見張られてるかもしれないし、見張られてなかったとしても、今も探されてるかもしれない」
違和感に気付きながらも見て見ぬ振りをしていた。
貴哉のことを好きな人がボクのことを疎ましく思い、姉に写真を送ったのかもしれない。この場合、ボクが弟だと知っていたと仮定すると姉の結婚式に参列していた誰かが疑わしいことになる。
もしもボクのことを弟と知らなかったとしても、自分の元婚約者が同性のパートナーを持ったことを姉に知らせれば、何らかのアクションを起こすことを期待していたことになる。この場合、姉の結婚式には参列していない誰かが疑わしいけれど、こっちにいた頃の姉の交友関係なんて把握していないから写真を送った人物を予想することすらできない。
だから、追求することを諦めた。
結婚式に出席した誰かを探すことも、こっちにいた頃の姉の交友関係を探ることも、実家を離れ、貴哉から離れたボクにできることはなかったから。
【写真】という存在を恐れ、写真撮った人物を恐れ、写真を撮られてきたことに怯えていたけれど、ここに来て違和感の正体に目を向ける。
気になりはしていたものの、あえて目を逸らし続けてきて事実。
ターゲットは本当に姉、もしくは貴哉だったのだろうか。
ボクの姉である紗羅と、ボクと付き合っていた貴哉とボク、紗凪。
姉と貴哉の共通の知り合いにばかり目を向けていたけれど、ボクを含めた3人と直接の交流はなくてもその存在を把握しているただひとりの人物。
それは。
「ねえ、写真を送ったのって、大輝なの?」
腕の中で緊張しながら発した言葉に返事は返ってこなかったけれど、ボクを抱きしめる強さと早くなった鼓動がその答えだった。
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