転生したら最弱キャラでした

霜月龍太郎(旧 ツン影)

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4 t h ストーリー 先代ジョーカーと月影

最弱のジョーカー

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 ディアボロスとの戦いから3日たった朝、僕は目を覚ました。
「目が覚めたか、月影殿」
 身体を起こしたら正面にネイバーが椅子に座っていた。
「うん。街は、街の人達は大丈夫!?」
「安心せい。月影殿のおかげで死者は出なかったし、街もそれなりに戻ってきておる」
「よかった」
 僕はホッとため息をついた。
「それよりも月影殿、身体のほうは大丈夫か?」
「うん。特にこれといった変化はないし、痛みもだいぶ引いてるよ」
 僕がそう話すとドアをコンコンと叩く音が部屋に響いた。
「入って良いぞ」
 ネイバーがそう言うとドアがガチャりと開いた。
「失礼します」
 聞き覚えのある声が聞こえた。
「月、影」
 レイナはそう言葉をこぼして僕に抱きついた。
「ちょ、レイナ?」
 レイナの目からは暖かい涙が流れていた。
「よかった。月影が、起きた。目を覚ました」
「レイナお姉ちゃん、そっちですごい音がしたけど、なにかあった?」
 レイナが開けたドアからこころが部屋に入ってきた。
「おにぃ、ちゃん」
「おはよう、こころ」
 こころは先程のレイナと同様、僕に抱きついた。
「お兄ちゃん、お兄ちゃん、おにぃちゃ~ん」
「レイナ、こころ、心配かけさせてごめんね」
 僕はそう言って2人の頭を撫でた。ネイバーは気を使ったのか部屋から出ていった。僕らは暫く抱きしめあった。

 「お兄ちゃん、私、レイナお姉ちゃんと一緒に街の復興を手伝ったよ」
「そっか。よく頑張ったな、こころ。偉いぞ」
 僕はそう言ってこころの頭を撫でた。こころは子猫のような笑顔をしていた。
「こころちゃん、私とも会話ができるぐらいになったわ。街の人とはまだ前みたいな状態だけど」
「そっか。レイナもありがとな、こころの面倒も見てくれて」
「どういたしまして」
 僕は一息ついて言った。
「レイナ、こころ。ごめん。僕達が集めたパワーストーンの力が、使えなくなった」
「それって」
「うん。初めてレイナと出会った時みたいに最弱状態になってる」
「それは、ネイバーのおじさんに、言った?」
「言ってない」
 2人はさっきまでの笑顔を失い、絶望したような顔をしていた。
「ごめん。レイナの両親の敵討ちは僕にはできない」
  ふざけないでよ
 レイナは小声でそう言って、僕の胸ぐらを掴んで叫んだ。
「ふざけないでよ!!何力を失ってるのよ!!月影の力は私だけでなくこの街の人やこの世界の人の希望なのよ!!それなのに力を失うなんて、ふざけないでよ!!」
 レイナはそう叫んで僕の身体を押して、部屋から出ていった。
「ごめん。ごめん、レイナ」
 僕は拳を握り締めながら、悔やみながらそう言葉をこぼした。
「お兄ちゃん」
 こころは惨めな僕の背中を撫でてくれた。

 私はジョーカーがいた部屋から走って出ていき、ネイバーの元へ向かった。
 心のどこかで私は喜んでいたんだ。月影と出会えて、私のパパとママの敵討ちができるって。けど違った。ジョーカーは弱かった。ジョーカーでも勝てなかったんだ。私の希望は、願いは叶わなかった。ジョーカーはディアボロスに負けた。しかも力を失った。やっぱりディアボロスには誰も勝てないんだわ。
「お嬢さん、そんなに涙を流してどうしたのじゃ?」
 気がつけば私はネイバーの元に着いていた。
「ネイバーさん。ジョーカーが、ジョーカーが力を失いました。だから私は強くなりたい!!私がディアボロスを倒します!!私の両親を殺したあの憎き魔王を倒します!!だから」
 私は頭を下げて言った。
「私を強くしてください!!」
 ネイバーさんは驚いていた。
「今の話、ほんとか?今の話、本当なのか!?」
 ネイバーさんは私の方に手を乗せてそう言った。私は頷いて、事実だと教えた。
「このことを街の人には絶対に言ってはならんぞ。この街の者どもは月影殿にディアボロスを倒してもらうという希望を持っておる。こんな時に街の者どもを絶望させれば、月影殿はこの街から追い出される。絶対に口にするのではないぞ!!」
 ネイバーさんはそう言った。
「それで、私を鍛えてもらう件は……」
「わかっておる。お嬢さんは儂が強くする」
「ありがとうございます!!」
 ネイバーさんはジョーカーと話すため、ジョーカーがいる部屋に向かった。

 「月影殿、話がある!!」
 ネイバーはそう叫んで僕がいる部屋に来た。
「何か用ですか?ネイバー。僕の身体は大丈夫ですよ。あ、そろそろ僕も街の復興を手伝うよ」
 僕がそう言っているとネイバーは僕の頬を思いっきり殴った。僕は殴られた勢いで壁に激突した。
「月影殿はそれどころじゃないじゃろ!!お主はこの世界の切り札なのじゃぞ!!忘れたとは言わせまい。お主は失った力を取り戻すためにトレーニングをしてれば良いのじゃ!!それ以外のことは考えなくて結構!!お主は邪魔じゃ!!」
「ネイバーの、おじさん。お兄ちゃんは、こ、このま、街のために、頑張ろうと……」
「こころ、いいよ」
 僕はそう言ってこころの言葉を切った。
「わかりました。力のことはレイナから聞いたんですね」
 僕は拳を強く握り締めた。
「今までお世話になりました。力を取り戻せるよう修行してきます」
 僕はそう言って荷物をまとめ始めた。
  お兄ちゃん
 こころは小声でそう言って、自分の寝ていた部屋に向かった。
(そうだよ。初めからわかってたじゃないか。僕には力はない。最弱キャラなんだって。今に知ったことじゃない。初めからわかっている事だったんだ。僕はただその現実から目を逸らしていただけ。何も成長してない。自分のことがあたかも特別、強いやつだと思い込んでいるだけで何もできない。力がないから守れない。力がないから大切なものを失う。力がないからそばにいた人が離れていく。僕は無力だ)
 僕は荷物をまとめ終え、リュックを背負ってネイバーの前に立った。
「今までありがとうございました」
 僕がそう言って立ち去ろうとするとネイバーは僕の耳元で囁いた。
  この建物の地下に初代ジョーカーが残した地図がある。それを持っていくとよい
「え?」
「お主ならあの地図を上手く使えるはずじゃ。儂も行ったが何も無かった。ただの神殿じゃった。じゃが初代ジョーカーが残したもの。ジョーカーであるお主ならなにか力になるじゃろ。それを使ってくれるといい」
「ありがとうございます!!レイナのこと、よろしくお願いします。力を取り戻したらまたこの街に戻ってきます。それまでは面倒みてやってください」
「承知した」
 ネイバーはそう言った。僕が部屋から出るとこころが荷物を持って待っていた。
「私、お兄ちゃんについて行く。もうお兄ちゃんと離れ離れになりたくない」
 こころは目をうるうるさせて言った。
「わかった」
 僕はこころの頭を撫でてそう言った。

 地下に向かって歩いていたら、レイナとすれ違った。
「失った力を取り戻してくるよ」
 僕はそうレイナに言った。レイナは笑って僕の耳元で
  さっきはごめん。私はこの街で待ってるから
と言って立ち去った。

 地下に着いた僕とこころはネイバーが言っていた地図をみつけた。
「こころ、これだよな?ネイバーが言ってた地図」
「そうだと思うよ、お兄ちゃん」
 僕は地図を手に取り、出口へ向かった。
「これが多分ネイチャータウンだから神殿は、ここから近いな」
「神殿に行ったら、お兄ちゃんの力は取り戻せる?」
 こころは不安そうに言った。
「わからないけど、僕の先代の人が残した地図だ。多分なにか掴めると思うよ」
「お兄ちゃんの力が戻ったら、レイナお姉ちゃんとお兄ちゃん、そして私の3人でまた一緒に笑って過ごせるよね?」
 僕は笑顔でこころに言った。
「うん。また3人で笑って過ごせるよ。そのためにも僕は力を取り戻す。そして強くなる。もう負けない。誰にも負けない力を手に入れてディアボロスを倒す!!絶対に!!」
 僕がそう言って意気込むとこころは笑った。
「なにかおかしなこと言った?」
「うううん。かっこよかったよ、意気込んでる時のお兄ちゃん」
「そっか」
 僕は地下から出て、街を出て、街に向かって大声で言った。
「僕は絶対に強くなって戻ってくる!!だからみんなも頑張ってくれよ!!」
 僕の声は街中に響いた。レイナにも聞こえたら……と少し思いながら街の外に出た。
 最弱キャラとなった僕。そんな僕の物語はここから始まる。これは僕が最弱から最高で最強のキャラになるまでの話だ。
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