それは、噂から

戒月冷音

文字の大きさ
113 / 142

第114話

しおりを挟む
アリア様の授乳をしていると言う部屋に向かうと、侍女長の娘であるメイアが、小さな子を抱いていた。
「この子が、アリア?」
「メイリア様、お出迎えにも行かず・・・」
「挨拶は良いわ。それより、その子、大丈夫なの?」
「はい。母が、あちらでなんとか、命を繋いだようです」
「そう・・・ミルクは?」
「こちらに来て飲む回数を増やしておりますが、少しづつ、量が増えております」
「そう・・・それなら大丈夫ね。
 ここには、母親が沢山いるから、皆に手伝ってもらってね」
「はい。ありがとうございます。それから、母はどうしてますか?」
「マリスはまだ、眠っているそうよ」
「丸1日ですね」
「もう、そろそろ起きるだろうけど、思う存分、眠らせて上げましょう」
「ありがとうございます」
「それは私の言葉よ。
 本来ならクラウスがとる筈だった責任を、貴方の母親に取らせたのは私。
 だから、感謝しかないわ」

そんな話をして居ると、エドガーが来客を告げにやって来た。
「今日予定はなかった筈よ」
「それが、おいでになったのが、宰相閣下でして・・・」
それを聞いた私は、大急ぎで玄関に向かった。


「お待たせして申し訳ございません」
「そんなに待っていませんよ」
「それで、何かありましたか?
「それが・・・」
ローベン宰相から聞いたのは、クラウスの勝手な言い分だった。
離縁が確定した書類の窓口を、宰相様にしたのは、こういうことがあると予想されていたからだと、この時理解した。
「メフィスト公爵からの言い分は、メイリア嬢がこんなこと言うわけない・・・だそうだ」
なにそれ?
「私からの提案で、書類を作ったと言っても・・・ですか?」
「それ自体を、信じないんだ」
「じゃあ、とりあえず説得して、信じてもらうしかないですね」
「えっ・・・」
私はそう言うと、クラウス宛の手紙を書きはじめた。

離縁届けを、自分から申請したこと。
貴方は忘れているかもしれないが、白い結婚25年周年目だと言うこと。
そして、貴方の愛するイザリア様が、子供達の世話を放棄して、アクイリア侍女長が、命を懸けて守っていたこと。
貴方はその間、何をしていたのか・・・と言うことを書き記し、名前を書き、国王陛下から渡されたカロングラス家の蝋印で封をしたものを宰相様に預けた。

これで納得しなければ、クルセイダ公爵様とミッターマイヤー公爵様に立ち会っていただいた上で、会うしかないわね。
しおりを挟む
感想 26

あなたにおすすめの小説

「地味な婚約者を捨てて令嬢と結婚します」と言った騎士様が、3ヶ月で離婚されて路頭に迷っている

歩人
ファンタジー
薬師のナターリアは婚約者の騎士ルドガーに「地味なお前より伯爵令嬢が ふさわしい」と捨てられた。泣きはしなかった。ただ、明日から届ける薬が 一人分減るな、と思っただけ。 ルドガーは華やかな伯爵令嬢イレーネと結婚し、騎士団で出世する——はずだった。 しかしイレーネの実家は見栄だけの火の車。持参金は消え、借金取りが押し寄せ、 イレーネ本人にも「稼ぎが少ない」と三行半を突きつけられた。 3ヶ月で全てを失ったルドガーが街角で見たのは、王宮薬師に抜擢された ナターリアが、騎士団長と笑い合う姿だった。 「なあ、ナターリア……俺が間違っていた」 「ええ、知ってます。でも、もう関係のない話ですね」

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

【完結】意思という名の番(つがい)

しえろ あい
恋愛
公爵令嬢アンジェリカは、婚約者・王太子アルベルトの政務を裏で完璧に代行する「影の統治者」。 本能的な「番(つがい)」に溺れ、自分を「冷たい人形」と蔑む王太子に対し、アンジェリカは政権奪取の機を伺い始める。 第二王子レオナルドと密かな想いを通じあわせたことをきっかけに、知略と執着で愚かな王太子を破滅へと追い込む計画が動き出す。 神の定めた宿命を、人の意志でねじ伏せ、真の玉座を掌握する、残酷で美しい共謀劇。 ※小説家になろう様でも投稿しています

旦那様、そんなに彼女が大切なら私は邸を出ていきます

おてんば松尾
恋愛
彼女は二十歳という若さで、領主の妻として領地と領民を守ってきた。二年後戦地から夫が戻ると、そこには見知らぬ女性の姿があった。連れ帰った親友の恋人とその子供の面倒を見続ける旦那様に、妻のソフィアはとうとう離婚届を突き付ける。 if 主人公の性格が変わります(元サヤ編になります) ※こちらの作品カクヨムにも掲載します

【完結】君の世界に僕はいない…

春野オカリナ
恋愛
 アウトゥーラは、「永遠の楽園」と呼ばれる修道院で、ある薬を飲んだ。  それを飲むと心の苦しみから解き放たれると言われる秘薬──。  薬の名は……。  『忘却の滴』  一週間後、目覚めたアウトゥーラにはある変化が現れた。  それは、自分を苦しめた人物の存在を全て消し去っていたのだ。  父親、継母、異母妹そして婚約者の存在さえも……。  彼女の目には彼らが映らない。声も聞こえない。存在さえもきれいさっぱりと忘れられていた。

自称病弱ないとこを優先させ続けた婚約者の末路

泉花ゆき
恋愛
令嬢エルアナは、ヴィンセントという婚約者がいた。 しかし彼は虚言癖のあるいとこ、リリアンの嘘に騙されてエルアナとの大切な約束を破り続ける。 「すまない、リリアンが風邪を引いたらしくて……」 エルアナが過労で倒れても、彼はリリアンの元へ走り去る始末。 ついに重大な婚約披露パーティまでも欠席した彼に、エルアナは婚約者への見切りをつけた。 「さようなら、ヴィンセント」 縋りつかれてももう遅いのです。

私たちの離婚幸福論

桔梗
恋愛
ヴェルディア帝国の皇后として、順風満帆な人生を歩んでいたルシェル。 しかし、彼女の平穏な日々は、ノアの突然の記憶喪失によって崩れ去る。 彼はルシェルとの記憶だけを失い、代わりに”愛する女性”としてイザベルを迎え入れたのだった。 信じていた愛が消え、冷たく突き放されるルシェル。 だがそこに、隣国アンダルシア王国の皇太子ゼノンが現れ、驚くべき提案を持ちかける。 それは救済か、あるいは—— 真実を覆う闇の中、ルシェルの新たな運命が幕を開ける。

愛人の生活費も、お願いします 〜ATM様、本日もよろしくてよ〜【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
政略結婚で結ばれた王子ザコットと、氷のように美しい公爵令嬢ビアンカ。だが、ザコットにはすでに愛する男爵令嬢エイミーがいた。 結婚初夜、彼はビアンカに冷酷な宣言を突きつける。 「お前を愛することはない。俺には愛する人がいる。このエイミーだ」 だが、ビアンカは静かに微笑み、こう返す。 「では、私の愛人の生活費も、お願いします」 ──始まったのは、王子と王子妃の熾烈な政略バトル。 愛人を連れて食卓に現れるビアンカ。次々と辞表を出す重臣たち、そしてエイミーの暴走と破滅……。 果たして、王子ザコットの運命やいかに!? 氷の王子妃と炎の愛人が織りなす、痛快逆転宮廷劇! ⚠️ 本作は AI の生成した文章を一部に使っています。 コメディーです。

処理中です...