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第7話
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王宮に着いて、廊下を歩く。
お父様のエスコートは、久しぶり。
「お父様のエスコートは、これが最後でしょうか…」
「馬鹿を言え、婚姻式の時がある」
「ふふっ…そうでしたわね」
「…お前の願いは、あの時から変わらんのか?」
「変わりませんわ」
「そうか…では、そのための準備を始めておくぞ」
私は嬉しくなって、お父様にしがみつき
「ありがとうございます、お父様」
と、お礼を言った。
「一体誰に、似たのやら」
「お父様ですわ。お母様一筋ですものね」
「当たり前だっ」
「私も、一筋ですわ」
「ふぅ~…分かったよ」
お父様は呆れたような声を出し、天を仰ぐ。
そんなお父様に、微笑みながら顔を近づけ、小声で伝える。
「お父様、先程から後をつけている者がおりますが…」
「ん?あぁ、あれはカンツェ侯の子飼だ」
「やはり…カンツェ侯でしたか」
「ん?何かあったか?」
「実は、私宛に、王家の蝋印を押した手紙が届きまして…」
「何だと?」
「内容は、王妃様が第二王子の相手に私を…というものでした」
「そいつは馬鹿か?妻帯者に相手を見つけてどうする」
「さぁ?私にも理解しかねます」
「そうだなぁ」
「取り敢えず今日、その封筒を持ってきております」
「中身は?」
「腹立たしかったので、燃やしました」
「……お前らしいな」
そんな話をしている間に、国王陛下と宰相閣下の待つ部屋につく。
「先程のことは、手続きが済み次第、お伝えしなさい」
「畏まりました」
そして私達はノックをし、部屋に入った。
手続きはつつがなく終わり…
「ではこれで、終了となります。公爵閣下、お疲れ様でした」
「色々ご迷惑をおかけした私を、面倒見てくださりありがとうございました。
これからは娘を、よろしくお願いします」
「マチルダ嬢は、君よりしっかりしている。大丈夫だ」
「そうですね。
いつぞやの夜会でも、ランドクリフ王太子殿下を助けておられた」
「そうだ。ランドが礼を言っておったぞ」
「もったいないお言葉でございます。
あの…国王陛下」
「何だ?」
「時間の方はございますでしょうか?」
「何か相談でもあるのか?」
「はい。数日前、私宛にこのようなものが届きまして…」
私は封筒を裏返し、蝋印を見えるようにした状態で宰相閣下にお渡しした。
「これは?」
「私宛に届いた、手紙の封筒でございます。その印をご確認ください」
「王家の…いや、これは違う。似て非なるものだ」
「偽造か?」
「のようでございます」
さすが宰相。見ただけで判別できるとは…
「手紙の中身は、あまりにもバカバカしい内容でしたので、火にくべました」
「覚えているだけ話せ」
「リーベルト第二王子殿下のお相手に、王妃様が望んでおられる…と」
「何だと!」
国王陛下が立ち上がり、怒りをあらわにする。
「誰だ?」
「すぐに調べましたところ、カンツェ侯爵に繋がりました」
「王妃の弟か。分かった。トール」
「はっ。すくに確認し、対処いたします」
「王妃の立場を使うなど、あってはならん。
それにしても、リーベルトの予想が当たったな」
「そうでございますね」
その後の話で、リーベルト第二王子の婚姻を隠していた理由がこれだったと知った。
リーベルト殿下は、絶対いつか兄上を脅す材料に使われると考え、自分の愛する人を守る為にも、結婚した事自体を隠すと決めた。
その方が一石二鳥で、犯人も捕まえやすいとの判断だった。
お父様のエスコートは、久しぶり。
「お父様のエスコートは、これが最後でしょうか…」
「馬鹿を言え、婚姻式の時がある」
「ふふっ…そうでしたわね」
「…お前の願いは、あの時から変わらんのか?」
「変わりませんわ」
「そうか…では、そのための準備を始めておくぞ」
私は嬉しくなって、お父様にしがみつき
「ありがとうございます、お父様」
と、お礼を言った。
「一体誰に、似たのやら」
「お父様ですわ。お母様一筋ですものね」
「当たり前だっ」
「私も、一筋ですわ」
「ふぅ~…分かったよ」
お父様は呆れたような声を出し、天を仰ぐ。
そんなお父様に、微笑みながら顔を近づけ、小声で伝える。
「お父様、先程から後をつけている者がおりますが…」
「ん?あぁ、あれはカンツェ侯の子飼だ」
「やはり…カンツェ侯でしたか」
「ん?何かあったか?」
「実は、私宛に、王家の蝋印を押した手紙が届きまして…」
「何だと?」
「内容は、王妃様が第二王子の相手に私を…というものでした」
「そいつは馬鹿か?妻帯者に相手を見つけてどうする」
「さぁ?私にも理解しかねます」
「そうだなぁ」
「取り敢えず今日、その封筒を持ってきております」
「中身は?」
「腹立たしかったので、燃やしました」
「……お前らしいな」
そんな話をしている間に、国王陛下と宰相閣下の待つ部屋につく。
「先程のことは、手続きが済み次第、お伝えしなさい」
「畏まりました」
そして私達はノックをし、部屋に入った。
手続きはつつがなく終わり…
「ではこれで、終了となります。公爵閣下、お疲れ様でした」
「色々ご迷惑をおかけした私を、面倒見てくださりありがとうございました。
これからは娘を、よろしくお願いします」
「マチルダ嬢は、君よりしっかりしている。大丈夫だ」
「そうですね。
いつぞやの夜会でも、ランドクリフ王太子殿下を助けておられた」
「そうだ。ランドが礼を言っておったぞ」
「もったいないお言葉でございます。
あの…国王陛下」
「何だ?」
「時間の方はございますでしょうか?」
「何か相談でもあるのか?」
「はい。数日前、私宛にこのようなものが届きまして…」
私は封筒を裏返し、蝋印を見えるようにした状態で宰相閣下にお渡しした。
「これは?」
「私宛に届いた、手紙の封筒でございます。その印をご確認ください」
「王家の…いや、これは違う。似て非なるものだ」
「偽造か?」
「のようでございます」
さすが宰相。見ただけで判別できるとは…
「手紙の中身は、あまりにもバカバカしい内容でしたので、火にくべました」
「覚えているだけ話せ」
「リーベルト第二王子殿下のお相手に、王妃様が望んでおられる…と」
「何だと!」
国王陛下が立ち上がり、怒りをあらわにする。
「誰だ?」
「すぐに調べましたところ、カンツェ侯爵に繋がりました」
「王妃の弟か。分かった。トール」
「はっ。すくに確認し、対処いたします」
「王妃の立場を使うなど、あってはならん。
それにしても、リーベルトの予想が当たったな」
「そうでございますね」
その後の話で、リーベルト第二王子の婚姻を隠していた理由がこれだったと知った。
リーベルト殿下は、絶対いつか兄上を脅す材料に使われると考え、自分の愛する人を守る為にも、結婚した事自体を隠すと決めた。
その方が一石二鳥で、犯人も捕まえやすいとの判断だった。
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