私の夢

戒月冷音

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第14話 エルフィンside

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俺の横で眠るマチルダ様を見て、俺はやっと帰ってこれたという気持ちが湧いていた。
「エルフィンは、このために頑張ったのだな」
「父上…」
「いやいや、婿になるということは、それぐらいの気概がないと、無理だからな」
「えっ!?父上は違いますよね」
「違う。だが、立場上成功も失敗も知っている。
 成功は大体、お前のようなものだ。
 欲しいものを手に入れたいもののために必死に頑張り、努力した者。
 失敗したものは、婚約破棄したもの、女性に現を抜かし、学を疎かにした者は
 夫婦揃って縁を切られるか、領民から総スカンを食らってその立場をなくした」
「そうなのですね。
 ですが俺は、マチルダ様をそんなことにしたくない。
 彼女を護る為なら、俺は何だってやります」
そう言った時、うぅ~ん…とマチルダ様の声が聞こえた。

起こしてしまうと思った俺は、すぐに口をつぐむ。
「ははっ…そういうとこは、家に来た頃から変わらんな。
 では、私はこれで帰るとする」
「あっ…お見送りを…」
「いい。そのままで居てあげなさい。
 マチルダ嬢もエルフィンがいない間、だいぶ無理をしていたようだから」
「えっ!?」
「お前には教えなかったが、帰ってきたときのためにと
 仕事を前倒ししていたようだ」
「そんな…」
「彼女が起きたら、伝えてくれるか?」
「はい」
「今日から4日分の宰相府の仕事は、全て終わりましたと」
「了解しました」
「フッ…こちらに戻れば、マチルダ殿の従者だな。まぁではな」
「明日には会うでしょ」
「あぁ、そうだった。では明日」
「はい」

父上が帰り、部屋には俺とマチルダ様だけとなった。
肩から頭を下ろし、膝枕に変えるとマチルダ様が寝帰りを打つ。
俺に背を向けていたが、今は俺の腹に顔を埋めておられる。
スースーと息をするたび、俺はお腹に暖かい風が当たると、背中がゾワゾワっとする。

マチルダ様がそばにいるだけで、こんなに落ち着くものかと思うくらい、気持ちはゆったりとしている。
が、体の一部はちっとも落ち着いていない。


そんな状態でマチルダ様が起きるのを待っていると、数分後にもぞもぞと動き、うぅ~ん゙…と伸びをした後、ゆっくりと目を開けた…

「……あれ?私…あっ、あれ…」
「父上は、帰りましたよ」
「えっ!?いつ?」
「もう、半刻ほどになりますが…」
「じゃ、じゃあ私は、何で?」
「あぁ、途中でお眠りになられましたが、父上が起こさず此処から先は
 俺が覚えておき、後で伝えなさいと」
「わ、私そんな失礼を…」
寝起きでもお綺麗なマチルダ様は、慌てると可愛い。

俺はそんな事を思いながら、久しぶりのマチルダ様を堪能した。
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