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第15話
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私は、自分の不甲斐なさに落ち込んだ。
たとえ前倒しで仕事をしていたとはいえ、本人が帰ってきた日に、彼のお父様となった宰相閣下の前で、値落ちするなんて…
「マチルダ様?大丈夫ですか?」
「あぁ。ごめんなさい。それで、宰相閣下のお話は?」
「はい。明日は話していた通り、親同士の手続きの後、
俺がこの家に移ります。
そして、公爵としての勉強を…」
私はエルフィンがこの家に移ると聞いた瞬間、ピッタリと彼を抱きしめた。
やっと…やっと彼がまた、我が家にいてくれる。
それだけで私は、天にも昇る気持ちになった。
「あ、あの…マチルダ様?」
「あら、いつまで継承付きなの?マチルダと呼んで」
「えっ、ですが…」
「貴男はヴェルテ公爵。私はリーンクリフ公爵。立場は同じよ」
「俺は公爵ではなく、子息です」
「同じよ。これから我が家だけの授業を、お父様から受けるのだから」
「えっ、お館様が講師なのですか?」
「家は特殊だから、代々当主が教えるのよ」
「では次は、マチルダ様が?」
「マーチールーダ」
「マチルダ…が、教えるのですか?」
「そうよ。私が公爵だもの」
その後、エルフィンは一度ヴェルテ家に帰った。
そして次の日。
「おはようございます。リーンクリフ公爵」
「おはようございます。ヴェルテ公爵。昨夜は失礼いたしました」
「いえいえ。
貴女が頑張っておられることは、ここに居る誰もがよく存じております」
「ありがとうございます。では中へどうぞ」
そう言って応接にお連れすると、お父様が先に来て待っていた。
「あらお父様。お着きになられたのですね」
「あぁ、遅れてすまん」
「お母様は?」
「久しぶりだと言って着いてきた。今はメイド達と話している」
「そうですか。ではこちらへ」
私はヴェルテ公爵を、中へと誘う。
「おぉ、お久しぶりですな、リーンクリフ公爵」
「公爵は娘だ。俺は隠居した」
「羨ましい。私も早くそうなりたいものです」
「うちの娘は、有能だからな」
お父様から、信じられない言葉を聞いた。
「何だマチルダ」
「いいえ。何も…」
「俺だって、褒めることもあるぞ」
「ありませんわ。私とここに居た時は一度もありません。
これはお母様のおかげですね」
「マチルダ殿にかかれば、公もタジタジですな」
ハハハハッ…
ヴェルテ公爵の笑いにお父様は言葉をなくした。
「では、今日の仕事を終わらせましょうか」
私がそう言うと、2人の公爵に気合が入る。
ヴェルテ公爵公爵がエルフィンの書類を出し、お父様がそれを読み確認する。
「うむ。ここまで出来ていれば後は、うちの勉強だけで済みそうだ。
ありがたい」
「いや。エルフィンの意欲がすごかったからね。私も久しぶりに楽しかったよ」
「鬼の教官が、戻ってきたか?」
「そこは息子に聞いてくれ」
ヴェルテ公爵は若い頃、学園の教師も兼任していた。
教え方はすっごく怖いらしいのだが、内容は分りやすく墓えやすい。
そんな先生だったので、鬼の教官と呼ばれていたらしい。
たとえ前倒しで仕事をしていたとはいえ、本人が帰ってきた日に、彼のお父様となった宰相閣下の前で、値落ちするなんて…
「マチルダ様?大丈夫ですか?」
「あぁ。ごめんなさい。それで、宰相閣下のお話は?」
「はい。明日は話していた通り、親同士の手続きの後、
俺がこの家に移ります。
そして、公爵としての勉強を…」
私はエルフィンがこの家に移ると聞いた瞬間、ピッタリと彼を抱きしめた。
やっと…やっと彼がまた、我が家にいてくれる。
それだけで私は、天にも昇る気持ちになった。
「あ、あの…マチルダ様?」
「あら、いつまで継承付きなの?マチルダと呼んで」
「えっ、ですが…」
「貴男はヴェルテ公爵。私はリーンクリフ公爵。立場は同じよ」
「俺は公爵ではなく、子息です」
「同じよ。これから我が家だけの授業を、お父様から受けるのだから」
「えっ、お館様が講師なのですか?」
「家は特殊だから、代々当主が教えるのよ」
「では次は、マチルダ様が?」
「マーチールーダ」
「マチルダ…が、教えるのですか?」
「そうよ。私が公爵だもの」
その後、エルフィンは一度ヴェルテ家に帰った。
そして次の日。
「おはようございます。リーンクリフ公爵」
「おはようございます。ヴェルテ公爵。昨夜は失礼いたしました」
「いえいえ。
貴女が頑張っておられることは、ここに居る誰もがよく存じております」
「ありがとうございます。では中へどうぞ」
そう言って応接にお連れすると、お父様が先に来て待っていた。
「あらお父様。お着きになられたのですね」
「あぁ、遅れてすまん」
「お母様は?」
「久しぶりだと言って着いてきた。今はメイド達と話している」
「そうですか。ではこちらへ」
私はヴェルテ公爵を、中へと誘う。
「おぉ、お久しぶりですな、リーンクリフ公爵」
「公爵は娘だ。俺は隠居した」
「羨ましい。私も早くそうなりたいものです」
「うちの娘は、有能だからな」
お父様から、信じられない言葉を聞いた。
「何だマチルダ」
「いいえ。何も…」
「俺だって、褒めることもあるぞ」
「ありませんわ。私とここに居た時は一度もありません。
これはお母様のおかげですね」
「マチルダ殿にかかれば、公もタジタジですな」
ハハハハッ…
ヴェルテ公爵の笑いにお父様は言葉をなくした。
「では、今日の仕事を終わらせましょうか」
私がそう言うと、2人の公爵に気合が入る。
ヴェルテ公爵公爵がエルフィンの書類を出し、お父様がそれを読み確認する。
「うむ。ここまで出来ていれば後は、うちの勉強だけで済みそうだ。
ありがたい」
「いや。エルフィンの意欲がすごかったからね。私も久しぶりに楽しかったよ」
「鬼の教官が、戻ってきたか?」
「そこは息子に聞いてくれ」
ヴェルテ公爵は若い頃、学園の教師も兼任していた。
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そんな先生だったので、鬼の教官と呼ばれていたらしい。
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