私の夢

戒月冷音

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第16話

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「後は、エルフィンとマチルダ嬢との、婚約の手続きです」
「それはすぐに行う。今日中に、提出する」
「国にか?」
「あぁ…」
私は、それを聞いて嬉しかった。
ようやく、エルフィンが私の婚約者になる。
子供の頃からの夢が、やっと叶う…



5歳の時、私の眼の前に現れた。
それまでは騎士団長様に憧れていた私は、エルフィンを見てひと目で恋に落ちた。
あこがれの人に似ているのに、どこかスマートで知的な男性。
侍従見習いと、お父様に紹介された時には、心臓が止まるかと思った。
その後、私専属の侍従になったエルフィンは、本当にかっこよく素晴らしい紳士になっていた。
しかし、等の本人は自分は、平民なので待遇が良すぎだと…お父様に言ったそうだ。

そんな事を言われたら、私はどうしようもない。
私は生まれが公爵家。それは、どうしたって変えられない。
だから一時、エルフィンを諦めた。
平民だから無理と言われてしまえば、お終いだから。
諦めて…お父様が勧める相手と、婚約した。
けれどその男は、私の親友と嘘をついて近づいた伯爵令嬢と不貞を犯し、勝手に婚約破棄をした。
そんな事をしておきながら、私の家を継ぐと大声で宣言していた元婚約者は、国王様の決定を勝手に変更したとみなされ、実家の侯爵家を勘当、不貞の相手との結婚を王命で決められた。
この2人は、離縁も出来なければ、実家にも戻れなくなった。
まぁ、そこは私には関係ないから、勝手にやってほしい。


そんなこんなで、私が独り身になった瞬間、私の中のエルフィン熱が戻ってきた。
婚約者が居なくなり、自分に釣書の山が届くようになると、どれを見てもエルフィンと比べてしまう。
侯爵家3男…伯爵家次男…子爵家…
とこの家でも、嫡男でなければ私の家に婿入りできるのなら、平民でもいいじゃないか。
そう思った私はお父様に相談に行った。

すると
「やはりその願いは変わっていなかったか…」
と言割れた。

その、願い?
そうだった…私は彼を諦める前、お父様に私の願いとして伝えていたのだ。
エルフィンが好きなのだと。
叶うなら彼と一緒になりたいと…
それなら、今から準備すればいい。
彼の気持ちを聞いて、やる気があるのなら勧める。
今のエルフィンならば、平民という理由は通用させない。
その理由は、我が家で礼儀と教養とマナーに置いて、エルフィンに勝てるものは、執事長以外居ないからだ。

その後私は彼の気持ちを確認し、私が女侯爵になったらという条件の元、全てを準備していった。
全ては、エルフィンを手に入れるため。
まずは私が、女侯爵になる。
その後、エルフィンを公爵家の養子に。
そして今日、私とエルフィンの婚約が整ったのである。
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