貴方の✕✕、やめます

戒月冷音

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第34話

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だから…私は席を立ち、侯爵様の前に膝をつくと
「イルデアス侯爵様。お顔をお上げ下さい」
と言って、肩に手を置く。
「ファル夫人。本当に申し訳「良いのです」
「はい?」
「その様に謝罪して頂く必要はございませんので、
 席に戻って頂けますでしょうか」
と、ゆっくり落ち着いて話した。
「わ、分かり…ました」
侯爵様が席に座り直した所で、私は本題に入る。

「本日、侯爵様に起こし頂いたのは、私の望みを叶えてもらうためなのです」
「夫人の…頼み?ですか?」
「はい」
「私に出来ることでしたら、力になりますが…」
「まぁ、本当ですか」
「えぇ⋯」
「それでは、私とティスミル様の立場を、入れ替えて頂けませんか?」
「はぁ?」
「マリアっ!それは許さないとあれほどっ」
クーディアス様はずっとそう言って私を離そうとしない。

その理由を絶対言わないから、侯爵様に来て頂き強制的に動かそうと思った。
「クーディアス殿」
「は、はい」
「その理由を聞きたい」
「えっ!?えっと…」
「その様に声を荒立てるほどの相手が居るにも関わらず、娘に手を出した。
 では、何故手放したくないのかを、教えて頂きたい」
「そ、それは…」
そのまま話し合いが、ストップしてしまった。
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