貴方の✕✕、やめます

戒月冷音

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第78話

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ダイニングに着くと、美味しそうな匂いに惹かれる。
コーラル様が椅子を引くので、そこに座る。
その横の席にコーラル様が座ると、メイド達が動き出す。
次々と料理が運ばれ、グラスにワインが注がれる。
すべての準備が終わるまで、そう時間はかからなかった。

「では頂こうか」
家の主人と一緒に食べる夕食。
一生懸命マナーを思い出しながら、いただく。
「やはり、マナーはしっかりしているようだね。教える必要はなさそうだ」
「いいえ。
 今までほとんど使いませんでしたので、合っているのかは保証しかねます」
「そんなにかしこまる必要はないよ」
とは言われても、こんな豪華なお屋敷で粗相をするわけには行かない。
そう思いつつニッコリと微笑むと、コーラル様は顔を真っ赤にして顔を背けた。

「全く…10代の若者ではないのですから、しっかりなさってください」
そうマークス様に言われ、コホンと咳をすると
「分かっている。分かっているから言うな」
慌てるコーラル様はかわいい…
「ふふふっ」
私が笑うと、何故かこの場にいる皆さんの表情が明るくなる。
まさか…
そう思ってマークスに確認すると、この屋敷の使用人の殆どが知っていて、成就を願っていると言われてしまった。

私が真っ赤になって俯くと
「お前達、マリア様を困らせるな」
「失礼いたしました。では私共は、席を外させていただきます。」
と言って、マークス達使用人はすべて退出してしまった。
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