貴方の✕✕、やめます

戒月冷音

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第86話

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そうこうしている間に、スラヴェ様が返ってくる時間になった。
「マリア様。お出迎えをお願いできますでしょうか?」
「えっ!?私が…ですか?」
突然マークスが、そんな事を言った。
「ですが私が居ても、スヴェン様は喜ばないかと…」
私がそう言った瞬間、その場に居た使用人全員が
「「「「「そんな訳無い」」じゃない」ですかっ」
と声を揃えた。
「えっ…えぇっ!?」
そうしている間に、スラヴェ様の馬車が玄関前に到着した。


「急いで玄関へ」
「はい」
バタバタと使用人とともに、玄関へと向かう。
「おかえりなさいませ」
マークスの声に合わせ礼をする。
馬車を降りたスラヴェ様は、安心したかのような顔をしてこちらを見た。
「はー…居てくれた」
その言葉に皆が、私を見る。

「お早いお帰りでございますね」
マークスはそう言って、上着を預かる。
「急いで、仕事を終わらせてきた」
「それは…」
「マリアが何処かへ言ってしまわないか気が気じゃなくて、落ち着いて
 仕事したかもわからない」
「…間違いがなければいいですね」
「そのとおりだ」
マークスとそんな会話をしながら、私の方へ歩いてくるスラヴェ様。

小さな顔と、長い手足…
こんな素敵な方が、本当に私を望んでいるのかと、心配になっても仕方ないと思う。
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