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第118話
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それから半月後、夜会当日になった。
私は朝早くから準備に入り、ゆっくりと準備をしていく。
お腹が大きくなってから、足がむくみやすくなっていたので、マッサージで対処してもらい、お肌の手入れは重点的に、お化粧は程々にして夕方を迎えた。
「今帰った。マリアは…」
ラヴェ様の声と同時に、玄関に姿を見せた私は、ほぼ準備が終わっていた。
「おかえりなさいませ。準備は殆ど出来ておりますわ」
そう言って、数段の階段を侍女の手を借りながら降りると、すぐに駆け寄って下さる。
「ありがとう。あとは私が…」
そう言って侍女から私を受け取り、玄関脇の部屋に連れて行ってくれる。
「ここで、最後の仕上げをしております。ラヴェ様はご準備を…」
「あぁ。すぐに着替えてくる。ここで良いのか?」
「はい。この椅子で…」
ゆっくりと椅子に腰掛けると、ホッと息がこぼれる。
「大丈夫か?無理をしていないか?」
心配性の夫は、息を吐くだけでこの調子だ。
「ほらほら、急いでご準備くださいね。
こんな場所に長い間居ては、奥様が疲れてしまいますよ。坊ちゃま」
「マ、マーサ。分かった。急いで支度する」
「はいはい、急いでくださいませ」
マーサさんにそう言われ、名残惜しそうに私の手を離したラヴェ様は、バタバタと自室に戻っていった。
「もう少し落ち着いたと思っておりましたが、坊ちゃまは
坊ちゃまのままですね」
「マーサさんがそう言われるのなら、そうなのですね」
「昔から、急がせると慌てて、何かしらの怪我をされていましたから…」
ホホホッと笑って話しているけど、怪我などしないで…と願っていたが、帰ってきたラヴェ様の姿を見た時、どこかにぶつけたのね…と思うような歩き方をしていた。
私は朝早くから準備に入り、ゆっくりと準備をしていく。
お腹が大きくなってから、足がむくみやすくなっていたので、マッサージで対処してもらい、お肌の手入れは重点的に、お化粧は程々にして夕方を迎えた。
「今帰った。マリアは…」
ラヴェ様の声と同時に、玄関に姿を見せた私は、ほぼ準備が終わっていた。
「おかえりなさいませ。準備は殆ど出来ておりますわ」
そう言って、数段の階段を侍女の手を借りながら降りると、すぐに駆け寄って下さる。
「ありがとう。あとは私が…」
そう言って侍女から私を受け取り、玄関脇の部屋に連れて行ってくれる。
「ここで、最後の仕上げをしております。ラヴェ様はご準備を…」
「あぁ。すぐに着替えてくる。ここで良いのか?」
「はい。この椅子で…」
ゆっくりと椅子に腰掛けると、ホッと息がこぼれる。
「大丈夫か?無理をしていないか?」
心配性の夫は、息を吐くだけでこの調子だ。
「ほらほら、急いでご準備くださいね。
こんな場所に長い間居ては、奥様が疲れてしまいますよ。坊ちゃま」
「マ、マーサ。分かった。急いで支度する」
「はいはい、急いでくださいませ」
マーサさんにそう言われ、名残惜しそうに私の手を離したラヴェ様は、バタバタと自室に戻っていった。
「もう少し落ち着いたと思っておりましたが、坊ちゃまは
坊ちゃまのままですね」
「マーサさんがそう言われるのなら、そうなのですね」
「昔から、急がせると慌てて、何かしらの怪我をされていましたから…」
ホホホッと笑って話しているけど、怪我などしないで…と願っていたが、帰ってきたラヴェ様の姿を見た時、どこかにぶつけたのね…と思うような歩き方をしていた。
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