貴方の✕✕、やめます

戒月冷音

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第124話

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「失礼いたします。ご、ご挨拶させて頂いてもよろしいでしょうか?」
入口でそう声をかけてきたのは英雄…クーディアス・ファル騎士爵様だった。

「…よく、ここに来れたな」
「こ、国王陛下の、ご指示でしたので…」
ファル様が話す間、ティスミル様はファル様の後ろに控え、カーテシーをしたまま動かなかった。
「兄上…分かった。入れ」
ラヴェ様にそう言われ、頭を上げたファル様は私を見た瞬間、ビクッと跳ねた。
「どうした?我が妻に、なにか?」
「い、いいえ。何もございません」
「そうか。それで、何か話でもあったのか?」
ラヴェ様がそう言うと、ティスミル様が私の前まで来て膝をつき
「申し訳ございませんでした」
と言って頭を下げた。
それに続き、ファル様も
「マ、コーラル夫人のおかげで、私の領は何とかやって行けております。
 領民は皆、貴方様に感謝し、今も貴方様の教えを守っているくらいです。
 本当にありがとうございました」
そう言って頭を下げた。

私とラヴェ様は、顔を見合わせ首を傾げる。
「コーラル夫人…マリア様が居なくなってから、領地は一時荒れました。
 しかし、マリア様が使用人と共に動いてくださっていたおかげで、
 何も知らなかった私が主人になっても、使用人達は、マリア様がこうしておられた。
 ああしておられたと、思い出して動いてくれました。
 貴方様の教えが、私を…そして、クーディアスを支えてくれたのです。
 ですので、今日会うことが出来れば、領民と使用人を代表して、
 マリア様にお礼を伝えようと思い、今ここにおります」
ティスミル様の説明で、やっとわかった。
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