貴方の✕✕、やめます

戒月冷音

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第128話

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「お、おい…「マリア様。私があの時したことは、貴女様が言われたような
 いいものではありませんでした。
 私は貴女から、クーディアスを奪うことしか考えていなかった。
 今思うと、それがどれだけ貴女を傷つけ、侮辱する行為だったのか、
 よく分かります。
 ですので、これだけは言わせてください。
 あの時、貴女から無理やり奪ってしまったこと…本当に申し訳ございませんでした」
そう一気に言ったティスミル様は、ガバっと頭を下げた。
「ティスミル…」
クーディアス様は、ティスミル様を見た後、私を見てただ一言…
「君の気持ちも考えず…済まなかった」
と言った。

私はその言葉を聞いた時、自分では何も思わない…と感じた。
何かを思っていたのかも、分からなかった。
ただ…

「マリア、どうした?」
ラヴェ様にそう言われても、私は何のことかわからない。
首を傾げてその事を伝えると、ラヴェ様は私の目尻に親指をそっと当て、ゆっくりと動かした。
「…泣いてる」
そう言われて、気がついた。
私は両手で顔を隠し、指を少し動かすとピチャッと音がする。

何で?何で、私…

そう思うだけで、涙がが止まらない。
止めようとしても、後から後から流れてくる。
「ラヴェ…どうしよう。止まらない…」
私は、夫に助けを求めた。
夫は私をソフアに座らせると、そっと抱きしめ、背中をゆっくりと撫でてくれる。

「皆…少し席を外してくれないか。落ち着いたらまた、話そう」
「分かった。皆、下がるが良い」
国王陛下が仕切り、皆この部屋から下る。
「ちゃんと知らせろよ」
「あぁ…」
そのやり取りの後、小部屋のカーテンが閉じられ、国王陛下と王妃様も裏からでていく。
そうしてこの部屋には、私とラヴェの2人だけになった。
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