貴方の✕✕、やめます

戒月冷音

文字の大きさ
133 / 164

第134話

しおりを挟む
「マリア、大丈夫?」
カーテンが開く音に気づいて、振り返ったお姉様が、声をかけてくれる。
「大丈夫ですわ。ご心配を掛けてしまいましたわ」
「心配なんて、私達が勝手にするの。妊婦は心配かけても、気にしちゃだめよ」
「それは、エルだからできることだろ」
「まぁ、アル。それはどういう意味」
「「「アルフォンス殿下」」」
部屋の前に集まっていた淑女?の皆さんが、何時もはいない人の登場に驚く。

アルフォンス殿下は、こういう集まりにほとんど出席しない。
イーギル王太子殿下を表、自分は裏…という形を、守るためだと聞いていた。
けれど今回は…多分、お姉様が行くと言ったのだと思う。
「アルフォンス殿下。お姉様にお付き添い頂き、ありがとう存じます」
私がそう言い、頭を下げると
「マリア、君のほうが立場は上なのだから、必要ないんだよ」
と、ラヴェ様が教えてくれた。
けれど
「ラヴェ様、分かってはおりますが、おそらくここには
 お姉様が引っ張ってこられたのです。
 ですから、これぐらいは…」
と言うと、アルフォンス殿下がすっごく嬉しそうに
「お兄様って、呼んでもいいよ」
と言ってくださった。

「何だ。お兄様って、アルフォンス第二王子殿下でいいんだよ。マリア」
「ですが…事実、お義兄様ですわ」
「嬉しい~。エル、マリア様がお兄様って~」
「良かったわね、アル。だから来てよかったでしょ?」
「うんっ。うん」
こんなに喜んでもらえて、よかった。
こんな騒ぎに巻き込んだのは、私なのに…

お姉様も、昔のままじゃ、こんな事をしようなんて思わなかっただろう。
けれどアルフォンス様が頑張ってくださったおかげで今、お姉様は私を心配してくださっている。
私からすれば、嬉しい変化だ。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

旦那様に学園時代の隠し子!? 娘のためフローレンスは笑う-昔の女は引っ込んでなさい!

恋せよ恋
恋愛
結婚五年目。 誰もが羨む夫婦──フローレンスとジョシュアの平穏は、 三歳の娘がつぶやいた“たった一言”で崩れ落ちた。 「キャ...ス...といっしょ?」 キャス……? その名を知るはずのない我が子が、どうして? 胸騒ぎはやがて確信へと変わる。 夫が隠し続けていた“女の影”が、 じわりと家族の中に染み出していた。 だがそれは、いま目の前の裏切りではない。 学園卒業の夜──婚約前の学園時代の“あの過ち”。 その一夜の結果は、静かに、確実に、 フローレンスの家族を壊しはじめていた。 愛しているのに疑ってしまう。 信じたいのに、信じられない。 夫は嘘をつき続け、女は影のように フローレンスの生活に忍び寄る。 ──私は、この結婚を守れるの? ──それとも、すべてを捨ててしまうべきなの? 秘密、裏切り、嫉妬、そして母としての戦い。 真実が暴かれたとき、愛は修復か、崩壊か──。 🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。 🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。 🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。 🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。 🔶 いいね❤️励みになります!ありがとうございます!

幼馴染を溺愛する旦那様の前からは、もう消えてあげることにします

睡蓮
恋愛
「旦那様、もう幼馴染だけを愛されればいいじゃありませんか。私はいらない存在らしいので、静かにいなくなってあげます」

貴方なんて大嫌い

ララ愛
恋愛
婚約をして5年目でそろそろ結婚の準備の予定だったのに貴方は最近どこかの令嬢と いつも一緒で私の存在はなんだろう・・・2人はむつまじく愛し合っているとみんなが言っている それなら私はもういいです・・・貴方なんて大嫌い

家出したとある辺境夫人の話

あゆみノワ@書籍『完全別居の契約婚〜』
恋愛
『突然ではございますが、私はあなたと離縁し、このお屋敷を去ることにいたしました』 これは、一通の置き手紙からはじまった一組の心通わぬ夫婦のお語。 ※ちゃんとハッピーエンドです。ただし、主人公にとっては。 ※他サイトでも掲載します。

思い出さなければ良かったのに

田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。 大事なことを忘れたまま。 *本編完結済。不定期で番外編を更新中です。

<完結> 知らないことはお伝え出来ません

五十嵐
恋愛
主人公エミーリアの婚約破棄にまつわるあれこれ。

これ以上私の心をかき乱さないで下さい

Karamimi
恋愛
伯爵令嬢のユーリは、幼馴染のアレックスの事が、子供の頃から大好きだった。アレックスに振り向いてもらえるよう、日々努力を重ねているが、中々うまく行かない。 そんな中、アレックスが伯爵令嬢のセレナと、楽しそうにお茶をしている姿を目撃したユーリ。既に5度も婚約の申し込みを断られているユーリは、もう一度真剣にアレックスに気持ちを伝え、断られたら諦めよう。 そう決意し、アレックスに気持ちを伝えるが、いつも通りはぐらかされてしまった。それでも諦めきれないユーリは、アレックスに詰め寄るが “君を令嬢として受け入れられない、この気持ちは一生変わらない” そうはっきりと言われてしまう。アレックスの本心を聞き、酷く傷ついたユーリは、半期休みを利用し、兄夫婦が暮らす領地に向かう事にしたのだが。 そこでユーリを待っていたのは…

許婚と親友は両片思いだったので2人の仲を取り持つことにしました

結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
<2人の仲を応援するので、どうか私を嫌わないでください> 私には子供のころから決められた許嫁がいた。ある日、久しぶりに再会した親友を紹介した私は次第に2人がお互いを好きになっていく様子に気が付いた。どちらも私にとっては大切な存在。2人から邪魔者と思われ、嫌われたくはないので、私は全力で許嫁と親友の仲を取り持つ事を心に決めた。すると彼の評判が悪くなっていき、それまで冷たかった彼の態度が軟化してきて話は意外な展開に・・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

処理中です...