貴方を忘れる

戒月冷音

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第56話

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「リリスは、大丈夫だったの?」
「私は、魔力量は少ないですが、生活魔法を一通り覚えておりますので、
 それで何とか、誤魔化しておりました」
「そう言うので、誤魔化せるものなのね」

私は、誤魔化すなんて考えられなかった。
どれだけ頑張っても、お母様が言う通りに魔法が使えず、ずっと比べられた。
「貴女が、魔法の得意なあの子と一緒になれるだけでも、
 有り難いと思いなさい。
 私のお陰で、あの子の子供を産めるのだから」
そう、言われ続けていた。

あの子、あの子・・・娘である私より、大切にされる婚約者が嫌だった。
そして、私の婚約が破棄された時は・・・
「だから言った通りになったじゃない。
 貴女は結局、魔法が使えない役立たずだったってことよ」
と言われ、お母様の仕事を押し付けられた。
「魔法が使えない貴女は、これぐらいしか出来ないでしょ」
と言ってこの日以降、お母様専属の侍女が、私の部屋に書類の山を置くようになったのだった。

「マリア様。
 私を含め多くの使用人は、奥様ではなくマリア様を、
 応援しております」
「そ、そうなの?」
「当たり前です。
 奥様は、侯爵家に居るのではありません。
 クルーシュ伯爵家の奥様です。
 なのに、自分のお子様よりも、他家の子供を優先するなんて・・・
 あんまりです」
お兄様とクライスは、私のように扱っていなかったから、大丈夫だと思っていたのだけれど、今日のお父様の話では、お兄様達もやり直しと言うことだったし・・・

リリスから聞いた話しも合間って、お母様が侯爵家に帰される可能性が、一気に高まった。
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