貴方を忘れる

戒月冷音

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第132話

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その冷気は、ゆっくりとジューンの周りに集まる。
「おばさまも、言ってらしたわ」
「おばさま?」
「貴方の母親よ。
 魔力がないのが悪いって。だから自分が、実家から冷たくされたって」
「マリアは、魔力がないのではない」
ラートがそう、声をあげた。
「そうよ。マリアちゃんに、魔力はあるわ。ただうまく使えないだけよ」
お義母様まで・・・本当にデラクール家の皆様はお優しいです。

「それに、自分が親から冷たくされたからって、子供を縛り付けるのはおかしいわ」
お義母様の言葉に、ジューンが反応した。
「縛り付けるって、何?」
「彼女はね、自分の時間何て、なかったのよ」
「なんで?あったじゃない」
「それは、何時の事を言ってるの?」
「え~~っと・・・」
「お義母様。ジューンが、他の女性の事を覚えているわけないです」
「失礼ね。覚えてるわよ」
「貴女は覚えていないわ。
 覚えてるのは、自分の排卵日と、遊んでいる男性の休日。
 それから、アントニーが家にいる日・・・でしょ」
私が言ったことが当たっていたようで、顔を真っ赤にして立ち上がると
「あんたなんか・・・貴方なんか・・・大っ嫌いよっ」
「嬉しいわ。やっと親友ではなくなった。私にだって、友を選ぶ権利はあるもの」
それを聞いたジューンは、くるっと後ろを向くと、走ろうとした。
しかし、横から出てきたアントニーの手に捕まり、逃げることが叶わなかった。


「マリア・クルーシュ伯爵令嬢様。
 全ての事に関して、本当に申し訳ございませんでした。
 俺が知っていることを全て話し、両親とグランと侯爵に、きちんと責任を取らせます。
 本当に申し訳ございませんでした」
アントニーは私に、深々と頭を下げた。そして、顔を上げてラートを見ると
「コンラート・デラクール侯爵令息様。
 私の妻が、とてつもなく失礼なことを言いまして、申し訳ございません。
 二度とこのようなことが起きぬよう、厳しくしつけますので、今回はどうぞ
 お許しください」
と言ってもう一度、頭を下げた。

「俺は気にしていないから、別に良いけど」
「じゃあ私と・・・「黙ってろ」
「出来れば二度と、顔も見たくないよね」
「それには、深く同意いたします」
「あはは・・・君は、同意しちゃ駄目でしょ」
「ですが、したくもなります。毎回毎回こうなので・・・」
「・・・君とは、友達としてあってみたかったな。気が合ったかも、しれない」
「ありがとうございます。そう言ってもらえただけで・・・ありがたいです」
その話の後、アントニーは、ジューンを近衛兵に渡し、自分もそこに続いた。
国王陛下と王妃に深々と頭を下げ、この場を荒らしたことを、詫びているようだった。
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