貴方を忘れる

戒月冷音

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第136話

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それから、コルニア夫人の話を、ジルコニア侯爵が話してくれた。
彼女は、アントニーを手に入れるために使った魅了の薬3本以外に、まだ7本も、持っていた。
グラント侯爵の親族からもらったのは、全部で10本。

あの日はその中から、効かなかった時の事を考えて、余計に2本持って私の家に来たらしい。
入ろうとして止められた2人に1本ずつ使い、様子がおかしくなったのを見て、1本で足りると確証して、本番に挑んだのだとか。

それであの・・・思い出したくもないほどの音が、響いていたのね。
記憶が戻ったことで、はっきりと思い出せる。
ジューンの蕩けた顔と、コーフンして真っ赤になったアントニーの顔。
そして、ガタガタと揺れる本棚に・・・・・・

私は久々に、気持ち悪くなった。

「大丈夫か?」
前屈みになりかけた私を、ラートが支えてくれる。
「マリア。大丈夫か?」
「マリア?」
「姉上・・・」
お父様とマドルお兄様とクライスも、心配そうにしている。
「だ、大丈夫です・・・続けて」
「けど・・・」
「お父様。私は、本当の事が知りたいのです。
 あの時は、記憶を消して逃げてしまった・・・
 でも、その後でジューンが普通に暮らしているのが、納得できなかったの。
 あの時、薬をかけられた2人は、今も不自由な生活をしているのに・・・」
あの時の2人は、薬の効果が消えた後、目を覚ましたが、体の一部が不自由になり、元の仕事に戻れなくなってしまっていた。
その2人のために、私が逃げるわけにはいかない。

「ジルコニア侯爵様。それでジューンは、これからどうなりますか?」
私は体を起こし、まっすぐ侯爵様を見てそう言った。
「コルニア夫人は、鉱山での労働、もしくは娼館での仕事になります」
「娼館は、避けた方がいいです。彼女は、男性を食べ慣れていますから」
私の話しに、ジルコニア侯爵は眉間にシワを寄せ、嫌悪の表情を作った。
「それでは、コルニア子爵のお子は?」
保証しきれないとは思っているが、そうだとも言えない。

「それは、個人の事になりますので、私からは言えません」
「それはそうですね。幼子を悲しませるのは、俺も本意ではない」
そうしてその後も話しは続き、ジルコニア侯爵様は、コルニア夫人を子爵と離縁させることを決めた。
その理由が、今よりもっと重い罰を与えることが出きるから。
そして、自慢げに言っていた、王命により結婚したと言う言葉に、傷をつけることが出来るからだった。
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