この生の理

戒月冷音

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第258話

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それから数時間後、
ユーリとアレスが魔石を発見し壊したことで、効力をなくしたウルフ達が、どんどん減っていった。

「はぁーーーーっ・・・これで、終わったかぁ?」
全身を血だらけにしながら、僕はそう呟いた。
「そのようですね」
フランの声に安心した僕は、上着を脱いでから馬車に近付いた。
「ご報告申し上げます。
 とりあえず、魔獣の群れは居なくなりました。
 ですが、負傷者が多数います。
 ここで魔物避けを使い、一度休息を取ることを推奨いたします」
と進言すると、王弟陛下が窓を開け
「ジョージ殿の提案を受け入れる。
 グリューラ隊長に、その旨を伝えよう」
と言ってくださった。
「ありがとうございます」


その後道から外れ、草原の場所で陣を張った隊は、馬車を中央にして円を囲むようにテントを設置していった。
「へぇ~・・・いつも、こんなことしてるんですか?」
「いつもはもう少し簡易だが、概ねそうだな」
僕の問いに答えてくれるのは、グリューラ隊長。
他の隊員の動きを見ながら、僕の問いに答えてくれる。
「そう言えば、辺境の方々はどうするんだ?
 テント等を、設置した様子がないが・・・」
「あぁ、僕達は地面に寝ることはないですね」
「寝ないのか?」
「いや、寝ますよ。僕達の寝具は、これです」
そう言って四角い木に網が巻いてある道具を見せる。
「これは?」
「これはハンモックと言って・・・フラン、パトリック」
「「はいっ」」
「これをいつもの通りに、設置して」
そう言って渡すと、2人は端を探して、互いに1つずつ持つと、巻いてある網をほどいていく。
そして草原の際に生えているしっかりした木に、縛り付けた。
「これで良いですか?」
「ありがとう」
僕が礼を言うと、嬉しそうに持ち場に戻っていく。

「あれが・・・ハンモック?・・・ですか?」
「です」
「これは、どうやって?」
「こうやって寝るんです」
僕はそう言うと、網の部分に寝転がる。
ゆらゆら揺れるのは、あの2人が丁度良い弛みを持たせてくれたから、ふわふわして気持ちいい。
「それは、便利だな」
「そうですね。木が2本あるところなら設置可能です。
 ただ、草原は設置無理ですが」
そんな話をしていると、タンザ公爵とアレキウス王弟陛下が、ハンモックを見にやってきた。
「ジョージ殿。それは?」
「ハンモックと言う、寝具です」
「寝具?へぇー、こんなものがあるんだな。
 俺もちょっと、寝てみて良いか?」
と、ワクワクしながら聞いたタンザ公爵は、僕の降りるときの勢いを真似して乗ったが、勢いがありすぎて反対側に落ちた。
「だっ、大丈夫ですか?」
タンザ公爵は辛うじて、片手でハンモックを掴んだ為、勢い良く地面に叩きつけられることはなかったが
「びっくりしたぁー」
と青ざめながら、こっちを見ていた。
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