この生の理

戒月冷音

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第80話

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昨日の書類を片付けていると、扉がノックされ
「失礼します」
と兄さんが入ってきた。その後に続いて
「失礼する」
「遅れてしまいましたわ」
ルーカス様とジュリア様が来た。

「昨日の分ですわよね。それ」
「はい。今日のはまだ届いておりません」
「じゃあ今のうちに、過去の分の整理をしましょう」
「了解」
「「かしこまりました」」
その後、先輩3人は過去の分の整理を、僕は文官の方が持ってきた今日の分の書類をの整理をして、昨日と今日の成果を、一緒に今日持ち帰ってもらえるように頑張った。
そして本日、昨日今日の2日分と過去1週間分の書類整理、及び決済を終えた。

ちょーっとくたびれた僕達は、その場で伸びていた。
休むついでにあの手紙を取り出すと、リリーベル様が反応したが僕は気にせずその手紙を開き読み始めた。
その内容は、まず自分がやってしまった事への謝罪。
ドラード子爵令嬢が僕に取った行動への謝罪。
執務をすべて任せてしまっている事への謝罪、などなど。あらゆることへの謝罪が綴られていた。

その後
『今、再教育を受けている俺に、こんな事を言われるのは嫌だとは思うのだが
 言わせて欲しい。
 必ず、君と同等の働きが出来るところまで回復し、そこに復帰すると誓う。
 だからそれまで、執務を頼みます。
 年下の君にお願いするような王子で申し訳ない。
 アークとルーカスにも迷惑をかけて申し訳ないと伝えて欲しい、必ず戻るからと』
最後の一文を声に出して読み、手紙をしまった。
「誰からの手紙?」
「アーサー王子殿下」
「なんで?」
兄さんの質問に、ルーカス様も反応する。
「ここに来る途中校長と一緒にした侍従にもらった。
 蝋印付きだから本人からだよ。声に出したのは、二人への文章だったから」
「そう」
兄さんはそこで話すのを辞めた。

するとルーカス様が
「アーサー殿下は、その…戻ってこられるのか?」
と聞いてきた。
本人から何も聞いていないのか、すこし心配そうだ。
「ルーカス様は、どうなってほしいですか?」
「ジョージ様。ルーカスはそればっかり気にしているのです。
 はっきり教えてあげて下さい」
「ジュリア様。意地悪ではないのです。
 兄さんの言葉はいつも聞いているので分かるのですが、
 ルーカス様とは余り、この事で話していませんから、いつか聞いてみたかったのです。
 ルーカス様、どうです?」
「俺は…戻ってきて欲しいと思ってはいる。
 いるのだか、あの時の状態で戻れるのかどうか…俺にはわからないから…」
「心配なんですね」
「あぁ…謹慎になってから、会ってもいない」

ルーカス様にも会ってあげろよバカアーサー。リリーベル様には会いに行ったのに、親友と言っていい相手に会いに行ってないなんて…
「戻ってきますよ。
 この手紙でも復帰を誓って居られましたし、戻らないなんて言ったら
 僕がスパルタで戻します。僕は臨時要員なんですから」
ルーカス様はホッとしていた。

多分アーサー殿下とルーカス様、そしてレリンシュラ候爵令息は幼い頃からの幼馴染のような存在だったんだろう。レリンシュラ候爵令息があんな事になってしまったから殿下もそうなったら…と言う考えになってしまうのだろう。
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