83 / 330
第83話
しおりを挟む
「何をびっくりしているんですか?」
僕が声を掛けるとアーサー殿下はビクッとした後、僕の後ろにいる女性とを気にした。
「声をかけますか?
彼女に話しかけられた時、挙動不審だったので声をかけたのですが」
「あ、た、助かった。有り難う」
「いえ」
「それで、彼女はなぜ泣いているのだろうか?」
そう、僕の言葉に震え出した彼女は、今僕の後ろで泣いている。
多分、殿下に礼を取らなかったことを思い出し、どうすることも出来なくなった状態で放置したため、涙が溢れ出したのだろう。
本当に女って泣いても様になるから男より得だよな。
「殿下に挨拶も名乗りもしていない事に、さっき気がついたようで」
「あぁー」
「それで感情が、溢れてしまったのかと」
「それを放っておくのか?」
「どうするのですか?僕は固まった殿下を優先しただけですが」
「すまん。いや、済まない」
「それで殿下は、彼女をどうしますか?」
僕は身体の向きを変え、殿下に彼女が見えるようにする。すると殿下はビクッとして身構える。
やっぱりこういう行動は苦手になったのか。
殿下はゆっくりと彼女に近づき
「君には申し訳ないが、今遊び呆ける事はできない」
「ひっ、いえ。わっ、私の、方こそ…申し訳ございません。無神経でした」
彼女はそう言うと慌てて涙を拭いて、頭を下げた後教室を出ていった。
「すみませんが」
僕はさっきの彼女と、よく一緒にいる女性に声をかけ
「彼女にコレを渡してくださいませんか?」
と言ってハンカチと、小さな飴が数個入った小袋を渡す。
「それから、きついことを言って申し訳ないとお伝え願えませんか?」
と頼んだ。
女性はハンカチなどを受け取り
「分かりました。必ず渡してお伝えします」
と言って追いかけていった。
殿下の所に戻ると
「ああするのが、正解なのか?」
と聞いてきた。
「何が正解かは僕にも分かりません。
ただ、さっきは殿下を優先してきつく言ってしまったので、
それで萎縮してしまったら、彼女らしさはなくなってしまいますから…
誤りたかったんです」
「そうなのか…」
殿下は色々なことを知っていこうとしているように見える。
僕が最初にあった殿下は思い込みが激しく、頭でっかちで、自分本位のことしか言わないと言う感じで、できれば関わりたくない種類の性格だった。
だけど今の殿下は、理解らないこと、知らないことを、知ろうとしている。
自分の考え…妄想込み…でねじ伏せ、聞かなければ権力を使っていた人とは、思えない変わりっぶりだった。
だから聞いてみた。
「殿下は、王位を継ぐ…そのお気持ちをまだ持って居られますか?」と。
僕が声を掛けるとアーサー殿下はビクッとした後、僕の後ろにいる女性とを気にした。
「声をかけますか?
彼女に話しかけられた時、挙動不審だったので声をかけたのですが」
「あ、た、助かった。有り難う」
「いえ」
「それで、彼女はなぜ泣いているのだろうか?」
そう、僕の言葉に震え出した彼女は、今僕の後ろで泣いている。
多分、殿下に礼を取らなかったことを思い出し、どうすることも出来なくなった状態で放置したため、涙が溢れ出したのだろう。
本当に女って泣いても様になるから男より得だよな。
「殿下に挨拶も名乗りもしていない事に、さっき気がついたようで」
「あぁー」
「それで感情が、溢れてしまったのかと」
「それを放っておくのか?」
「どうするのですか?僕は固まった殿下を優先しただけですが」
「すまん。いや、済まない」
「それで殿下は、彼女をどうしますか?」
僕は身体の向きを変え、殿下に彼女が見えるようにする。すると殿下はビクッとして身構える。
やっぱりこういう行動は苦手になったのか。
殿下はゆっくりと彼女に近づき
「君には申し訳ないが、今遊び呆ける事はできない」
「ひっ、いえ。わっ、私の、方こそ…申し訳ございません。無神経でした」
彼女はそう言うと慌てて涙を拭いて、頭を下げた後教室を出ていった。
「すみませんが」
僕はさっきの彼女と、よく一緒にいる女性に声をかけ
「彼女にコレを渡してくださいませんか?」
と言ってハンカチと、小さな飴が数個入った小袋を渡す。
「それから、きついことを言って申し訳ないとお伝え願えませんか?」
と頼んだ。
女性はハンカチなどを受け取り
「分かりました。必ず渡してお伝えします」
と言って追いかけていった。
殿下の所に戻ると
「ああするのが、正解なのか?」
と聞いてきた。
「何が正解かは僕にも分かりません。
ただ、さっきは殿下を優先してきつく言ってしまったので、
それで萎縮してしまったら、彼女らしさはなくなってしまいますから…
誤りたかったんです」
「そうなのか…」
殿下は色々なことを知っていこうとしているように見える。
僕が最初にあった殿下は思い込みが激しく、頭でっかちで、自分本位のことしか言わないと言う感じで、できれば関わりたくない種類の性格だった。
だけど今の殿下は、理解らないこと、知らないことを、知ろうとしている。
自分の考え…妄想込み…でねじ伏せ、聞かなければ権力を使っていた人とは、思えない変わりっぶりだった。
だから聞いてみた。
「殿下は、王位を継ぐ…そのお気持ちをまだ持って居られますか?」と。
2
あなたにおすすめの小説
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
宿敵の家の当主を妻に貰いました~妻は可憐で儚くて優しくて賢くて可愛くて最高です~
紗沙
恋愛
剣の名家にして、国の南側を支配する大貴族フォルス家。
そこの三男として生まれたノヴァは一族のみが扱える秘技が全く使えない、出来損ないというレッテルを貼られ、辛い子供時代を過ごした。
大人になったノヴァは小さな領地を与えられるものの、仕事も家族からの期待も、周りからの期待も0に等しい。
しかし、そんなノヴァに舞い込んだ一件の縁談話。相手は国の北側を支配する大貴族。
フォルス家とは長年の確執があり、今は栄華を極めているアークゲート家だった。
しかも縁談の相手は、まさかのアークゲート家当主・シアで・・・。
「あのときからずっと……お慕いしています」
かくして、何も持たないフォルス家の三男坊は性格良し、容姿良し、というか全てが良しの妻を迎え入れることになる。
ノヴァの運命を変える、全てを与えてこようとする妻を。
「人はアークゲート家の当主を恐ろしいとか、血も涙もないとか、冷酷とか散々に言うけど、
シアは可愛いし、優しいし、賢いし、完璧だよ」
あまり深く考えないノヴァと、彼にしか自分の素を見せないシア、二人の結婚生活が始まる。
おしどり夫婦の茶番
Rj
恋愛
夫がまた口紅をつけて帰ってきた。お互い初恋の相手でおしどり夫婦として知られるナタリアとブライアン。
おしどり夫婦にも人にはいえない事情がある。
一話完結。『一番でなくとも』に登場したナタリアの話です。未読でも問題なく読んでいただけます。
俺の可愛い幼馴染
SHIN
恋愛
俺に微笑みかける少女の後ろで、泣きそうな顔でこちらを見ているのは、可愛い可愛い幼馴染。
ある日二人だけの秘密の場所で彼女に告げられたのは……。
連載の気分転換に執筆しているので鈍いです。おおらかな気分で読んでくれると嬉しいです。
感想もご自由にどうぞ。
ただし、作者は木綿豆腐メンタルです。
帰国した王子の受難
ユウキ
恋愛
庶子である第二王子は、立場や情勢やら諸々を鑑みて早々に隣国へと無期限遊学に出た。そうして年月が経ち、そろそろ兄(第一王子)が立太子する頃かと、感慨深く想っていた頃に突然届いた帰還命令。
取り急ぎ舞い戻った祖国で見たのは、修羅場であった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる