無翼龍闇Ⅰ ～出会編～ 改

第2章 龍牙と従兄弟

第55話

そして、流也さん達が帰った後、私達は隣の部屋に入った。

「あーここが一週間淋の部屋かぁ」
「最初よりすッげーきれーになってねーか？」

さっき来た業者さんは、水道・電気・その他の片付けや、家具の搬入をしてくれたようで、新しいソファーや冷蔵庫
クローゼットも置いてあった。

そして、カーテンで囲えるようになってるベットも、隅に設置してあった。

至れり尽くせり･･･

もちろん、シャワーとトイレも使用可能。



小さなキッチンもあり、簡単なことは出来そうだったので、みんなが部屋の中を見ている間、お湯を沸かし
インスタントだけど、コーヒーをつくった。
いろいろな、感謝のお礼として･･･

『皆さん･･･どうぞ』
「「「「「「えっ？」」」」」」
「淋さん。どうしたんですか？これ」

ソファーと一緒にある机の上には、人数分のコーヒーと買ってきていたお菓子。

みんなの驚きの顔と、敦也さんの質問に
『今日、突然ここに来て
　一週間お世話になる上に、この部屋の事とか
　さっき飛び出しちゃった事とか･･･いろいろと、
　その･･･ご心配やご迷惑をかけてしまったので･･･
　本当に、すみませんでした。
　ささやかですが、お礼です』

頭を下げて言った後、顔を上げると
みんな、にっこり笑顔で
「そういう事なら、みんないただこう」
「「「いっただっきまーす」」」
「ありがとな」
そう言って、コーヒーを飲みながら話をし始める。

私はなんだか少し、うれしくなってそれを見ていた。

すると祐樹が
「見て!!淋、笑ってる。初めて見た！うれしい」

ニコニコしながら言うと、みんなが私のほうを見て口々に

「本当だ。初めてだな」
「かわいいな」
「笑えるじゃんか!!」

と言う･･･？

“笑ってる？私が？
　どうして、何で笑ったの？
　今まで必要ないから･･･笑っても、誰も喜ばないないから
　笑わなかったのに･･･”