有って無き者

戒月冷音

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第130話

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その日の帰りの馬車で、エルフィン殿下に確認すると、色々準備するものがあるから、数日後に連絡すると言われ、おとなしく離宮に帰った。

同日夜に、メイサの家に行くと、やっぱり妹がいなかった。
「こんばんわ、お母様」
「カ、カサンドラ様・・・こんばんわ」
「ライヤさんは、いらっしゃるかしら?」
私の後ろにメイサが控えているが、話さないように言っている。

「ラ、ライヤ・・・ですか?」
「えぇ。まだ完全に直っていないので、様子を見に来たのですが?」
「そ、それが、午後から出掛けてしまって、まだ戻ってこないのです」
ほらね、やっぱり。
ライヤさんは、今まで通りの行動をした。
そして多分、痛みが予想より早く戻ったため、帰れなくなっている。

「どこに行ったか、分かります?」
「え・・・えっと・・・」
私は母親をほおって、歩き出す。
「カサンドラ様?どちらに?」
「貴方はそこから、動かないのでしょう。
 だったら私が、探しに行くしかないじゃない」
「でも、どこにいるか・・・」
「お母様。貴方は、娘を見ておられますか?」
私は前回来たときに思っていたことを、聞く。

「えっ・・・それは、どう言うことですか?」
「前回来たときに思ったのだけれど、あなた、自分がいっぱいいっぱいで
 見れていないのではないかしら」
私がそう言うと、お母様は顔を真っ赤にして怒り始めた。
「わ、私が子供を見ていないですって!
 バカにしないでよっ!あなたに何が分かるのよっ」
そう言って私に突っかかってくるが、私は落ち着いたまま
「では何故、すぐにライヤさんを探しに行かないのですか?」
「えっ・・・それは、あなた達が来ると思って・・・」
「私達は、今日来るとは言いませんでした。
 勝手に理由にしないでください」
「わた、私は・・・」
お母様に構っていては、ライヤさんの方もいけないことをしそうだ。

なので
「メイサ。あなたに、お母様を任せるわ。
 私は、だだっ子の相手をしてくる」
「畏まりました。
 ライヤは多分、通りを越えた酒場か、マニクラ男爵のお屋敷かと」
「了解」
そう言うと私は、スカートを翻して走り出した。

メイサに任せたから、お母様は静かになる。
『なんで?』
あの母親、何故かライヤに歯向かえないの。
でもメイサには、相談できるみたいだから。
『なんで、言い返せないんだ?』
多分、夫の子ではないからでしょう。
『なんで、分かるんだ?』
あの母親は平民。多分メイサの父親もそう。
でもライヤは・・・
『父親がなくなった後に、落とした男の子ってことか?』
多分そう
そんなことを話しながら町の中を探していると、案の定な声が聞こえてきた。
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