私の存在

戒月冷音

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第132話

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「それは、想像ではなく?」
「では、ありません。私は確かにそこで育ちました。
 ただ、そこで生きたのは、15年です」
「では、15歳で亡くなった?」
「はい。事故で」
「それでその後、私の娘に生まれ変わったと?」
「多分、そうだと思います」
「それじゃあ、家庭教師に教えた・・・あの複雑な計算式や理論は・・・」
「あれは、前世の学校・・・学園で学んだ内容です」
「計算に、強かったのは?」
「日本では義務教育として、15歳まで学びの場所に通うのです。
 そこで教わりました」
お父様は、割りとすんなりと、信じてくれているようだった。

「料理に、詳しかったのは?」
「日本は、食文化が発達していて、実際一人暮らしで
 作っていたものだからです」
と、そこで、マルクス様が口を挟む。
「15で一人暮らし?」
「はい。私は前世で、育児放棄された子供だったので」
「「育児放棄・・・」」
お父様とマルクス様の声が、重なった。

「私の両親は、子供が3人いたのですが、長男を育てて疲れたと言って、
 最後の私は、乳母に預けられたままでした」
「乳母・・・」
「父親は、何をしていたんだ?」
「仕事です。
 自分は、それしか出来ないと言って、ほとんど帰ってきませんでした。
 まぁ、そのお陰で、お金だけはあったので」
「あぁ~・・・金だけ落とせば、親の役目を果たしていると思う奴だったか」
「でもそのお陰で今、日本の食べ物を俺達が食べれるんだよね」
突然マルクス様が、るんるんでそう話した。

「ん?」
今の違和感に、気付かないお父様ではない。
「あの・・・マルクス様?」
「ん?どうかしましたか?」
「いや・・・さっきマルクス様は、日本の食べ物と言われましたが、
 多分ミシェルは、そう言う紹介をしていないと思うのですが・・・」
「あっ・・・」
マルクス様はつい・・・みたいな顔をしているが、狙ったのでしょうね。
てへぺろ☆してます。

「お父様。私は、マルクス様にお会いした時に気がついたのですが、
 彼も同じだったのです。
 だからこうして、お父様に打ち明ける事は、体験済みなのです」
「えっ!?マルクス様が、打ち明けた・・・ということは、
 彼にも前世の記憶があって?
 父上・・・国王陛下はご存じ、ということか?」
「はい。そうなのです」
それにもお父様は、驚いた。
「マルクス様。国王陛下は、なんといわれておられました?」
「実は・・・」
マルクス様は、そこで少し笑って
「すみません。俺もそれを聞いたのは、ほんのついこの前で、
 先に気が付いたのは、ミシェルだったんです。
 彼女が、父上知っているということに気づいて、俺に教えてくれたのが
 きっかけだったんです」
お父様は、首をかしげた。
多分、何故私が?という気持ちだろう。
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