私の存在

戒月冷音

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第139話

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その日の午後、私は王子妃教育を終えた後、調理場へ向かう。
「ミシェル様、マルクス様から伺っております。明日の準備をなさると」
「はい。明日、私の兄妹が来るのでその準備を今日の内にしておきたくて・・・」
「私達に手伝える事が御座いましたら、いつでも声をかけてください」
「ありがとうございます」
私は料理長にお礼を言うと、まずは料理の下ごしらえにかかる。

今回は、角煮を作りたい。
角煮を作って、角煮マンを作ろうと考えていた。
それにはまず、トンのバラの部分の固まり肉を探す。
それに、焼き目を付けてから鍋に入れ、水をヒタヒタになるまで入れる。
そして、シャオと言う生姜に似た物と、リョクと言うネギに似た野菜を入れ、火にかける。
それから一時間煮込んだ後、湯をこぼしてお肉を洗い、鍋に戻してコールと糖、ユにその他の調味料を入れ、ゆっくりと時間をかけて煮込んでいく。
「まずはこのまま、一時間・・・」
お鍋に蓋をしてコトコト煮ている間に、他の料理の準備をしていく。


大体の品数が決まり、デザートの準備が出来たところで、マルクス様が顔を出した。
「ミシェル、お疲れ」
「マルクス様も、お疲れさまです。どうされたのですか?」
「あぁ、アクイラスに手紙を渡したら、即決したからそれを伝えに来た」
「お仕事の後に、渡したのですか?」
「あぁ、そうじゃなきゃ、まだ仕事終わってないって」
「そうなのですか?」
「会ってすぐ渡してたら、半日はミシェル自慢で終わってるからね」

お兄様はいったい、何をしておられるのか・・・

でも、それをよく分かっているマルクス様のお陰で、今日の仕事は無事に終わったようだった。
「それで、明日の仕込みは順調?」
「はい。
 あっ、マルクス様。少し味見をしていただきたいのですが」
「嬉しい言葉だね。いいよ。それで、何を味見すればいいの?」
「えっと、豚・・・ではないですね。トンの角煮なのですが」
「角煮っ?俺大好き」
「少し味が濃くなってしまってはいないかと、心配になっていまして・・・」

あの後、角煮を見るのが遅くなり、予想より少し煮詰まりすぎてしまった。
味は、私が食べて確認してはいるが、少し辛いような気がしていた。
そんなことを思いながら、鍋から少し角煮を切り取り、皿に置いてお出しする。

「いい色じゃないか」
「はい。色は、きれいなのですが・・・」
「苦味は、ないよね?」
「そこは、大丈夫だと思うのですが」
と答えたと同時に、マルクス様は角煮を口にいれた。
モグモグと租借しながら、目は嬉しいのかキラキラと輝く。

そして、こくんと飲み込んだ後
「うまいっ!」
と叫んだ。
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