私の存在

戒月冷音

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第161話

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それから数日後・・・

「ミシェルっ!ミシェルっ」
と慌てたお兄様が、昼の王宮を大慌てで、私の部屋までやってきた。
「どうなさったのですか?お兄様」
その時私は、デビュタントの打ち合わせをマルクス様としていて、そこにお兄様が飛び込んできた。
「アクイラス。
 いくら妹の部屋であっても、ノックをしないのはどうかと思うが?」
「す、すまない。マルクス。だ、だが、それどころではないんだ」
「だから、どうなされたのですか?」
「きいた。効いたんだ」
「何が?」
「ミシェルが、言っていただろ。
 俺が今まで、メルトリアに構いすぎていると」
「あぁ、実家に帰った時に、お話ししたことですね」
「そうだよ。
 それで、少しの間、仕事以外の関わりを辞めていたんだ。
 そしたら・・・」
「「そしたら?」」
私とマルクス様は揃って、その先を促した。

「き、今日、ルーベル公爵閣下が俺のところに来て」
ふむふむ・・・
「メルトリアが、俺との婚約を、望んでいる・・・と」
それをきいた瞬間、私とマルクス様は向かい合って
「「やったーーーっ!!」」
とハイタッチをした。


「やっとかー」
「あぁ・・・」
「お兄様、頑張られました」
「ありがとう、ミシェル」
「いいえ。私はなにもしていません」
私達は、お兄様の恋愛成就を喜んだ。

その後、お兄様は正式にメルトリア・ルーベル公爵令嬢と婚約し話題をさらった。
公爵家同士の婚姻は、余り行われない。
しかし、お兄様が幼い時から、メルトリア様に猛アタックしていたことを知らない人はいないため、誰も反対しなかった。
「アクイラスの、作戦勝ちだろ」
「マルクスは、そう思うのか?」
「そりゃそうだよ。
 あれだけ何度も告白して、振られているのを皆見てる。
 皆が、良かったと言っているよ」

お兄様は何かあると、私の王城の部屋に来るようになった。
その理由は、来る度にマルクス様が居るから。
と言っては居るが、実際は今まで、帰ったら話が出来るお姉様が居たのに、居なくなって寂しいから、私のところに来て話している。

そんなお兄様に、今日はおやつを作っておいたのだ。
「お兄様。マルクス様。今日はおやつを作って参りました」
「お菓子?俺が知らないやつ?」
「はじめて作りました。
 マルクス様は、知っていますか?フロランタン」
「ん?フロラン・・・あーあれか?アーモンドの敷き詰めてある」
「はい。それです」
「ちぇっ、やっぱりマルクスは知ってたか」
「仕方ないよ。日本のお菓子だから」
そう言うとマルクス様は、にこにこしながらお兄様を見た。
やっぱりそこは、譲れないのですね。
お兄様は少し悔しそうにしたが、お菓子の誘惑には敵わなかったようで、私が持っているお菓子のお皿を見た瞬間、破顔した。
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