私の存在

戒月冷音

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第169話

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「あの・・・どうしてこのような、状態なのでしょうか?」
私の言葉に答えてくれたのは、マルクス様。
「昨日、眠ってしまったミシェルを連れて帰って、ベッドに寝かせ、
 ルーザが着替えさせたのは良いが、
 俺のシャツを全く離そうとしなかったので、仕方なく横に寝たんだ。
 そしたら深夜、ミシェルが起き上がったかと思って俺も目を覚ますと、
 寝ぼけたまま、俺のシャツのボタンを外し、
 シャツをひんむいてから、ダイブしてきた」
「えっ!?わ、私が・・・ですか?」
マルクス様は、無言で頷く。

「それでその後、俺にしがみついたまま眠ったから、寝る位置を戻して
 布団を掛けた」
マルクス様がそこまで言うと、ちょっと怖い顔になったルーザさんが
「マルクス様、信じてはおりますが、確認いたします。
 手は、出しておられませんね?」
と聞いた。
するとマルクス様は
「出してない。・・・って言うか、出せるかっ。
 こんなに俺を信用して、安心しきって寝てる可愛いミシェルに、
 手を出すなんて事・・・死んでもやらねぇよ」
叫んだ。
それを聞いたルーザさんはほっとして
「朝食の、準備をして参ります。こちらにお持ちしますね」
といって下がっていった。

けれど私は、顔が真っ赤になって、心臓がバックンバックンいってる。
「ミシェル?どうした?」
そう言って、上半身裸のまま顔を覗き込んでくる。
「えっ、あの・・・何でも、ありません」
私は、すこーし顔をそらしながらそう答えるが、なかなか気付いてもらえない。
「ミシェルは、二日酔いにはなってないよな」
そう聞かれ、私はブンブンと首を縦にふる。
「良かった」
「良かったではありません。ふ、服を着てください」
「あ・・・ごめん」
そう答えはしたものの、着ていたはずのシャツが見つからず、
「あれ~・・・どこだ?」
と言って、部屋中を探し始めた。

私は顔を隠し、ベッドに突っ伏して、シャツが見つかるのを待つ。
そして、見つけた先は・・・
「ミシェル、あの・・・その手を・・・」
「手?」
そう言われて手の下を見ると、顔を隠すためにかき集めた布団と一緒に、クシャッとしたシャツが私の手の中にあった。
「ご、ごめんなさい・・・」
そう言って、くしゃくしゃのシャツを差し出すと、マルクス様はそれに手を通し
「俺は一度、部屋に戻ってくるから、ミシェルも
 朝食を食べれるように、準備して」
そう言い、部屋を出ていった。
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